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剣ノ一声

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と、清二は今後の不安を俺に伝えた。俺はそんなことお構いなしに言い返す。俺だって日頃から女子達に厄介払いをされてきた問題児でもある。

「気にすんなって?言わせるだけ言わしてやれ?自分達の立場がどういう状況かをまだ理解できていないんだろうよ?」

そう、妖魔の「餌」だということが、今この学園の生徒、教員全ての人材は知る由もない。また話はそれるが、今回は入学する際の受付のために新一年生の生徒達が来たためであって本当の入学式

は明日からになる。

「それにしても、こうも女だらけなら精神的に辛いものだな?それに・・・・・・・・」

俺は言いかけながら目の前に置かれていたベッドを、何と、あり得ないことに軽々と片手で抱え上げたのだ!ベッドの重さは八十キロ以上。それを片手で?非常識もいいところである。

だが、清二や弥生は驚きはしなかった。弥生はともかく、戦空士として戦える俺と未だ戦空士の姿を発しない清二は旅の道中でどうも人間離れした身体能力や怪力が身に感じていた。

「こんな怪力も知らない内に付いちまった・・・・・・・・」

「ああ、あの時一斉はよく耐えたよ?」

清二は俺の忍耐に関心を寄せた。あの警備員のオバハンがあまりにも失礼極まりない態度を取ったことで普段の一斉ならブチ切れて暴力沙汰を起こしていたことだろう。

「何とか耐えて見せたよ?けど、これ以上言われていたらさすがに半殺しにしていたな?」

「ま、今度から気をつけようぜ?」

                                          *

翌日。俺達は教室の一年一組へと編入され、それぞれ机も用意されていた。違うと言ったらやはり制服の差であろう。俺達三人は白い襟の軍服に黒い軍靴。まるで将校だな?しかし、軍

オタの俺と清二はむしろテンションが高まっている。あと、弥生だけは下半身はスカートのため丈の短さに恥じらいを感じて李うようだ。前々から軍服に憧れていたんだから仕方がない。

そして、、状況はあまり好ましくはなかった。理解できない目線で周りの女子生徒らが俺達を見つめてくる。まぁ、出来るだけ気にしないでおこうと軍服のベルトに戦空士の軍刀を納めて気を引き締める。

「・・・・・・・・・・・・」

ジィ・・・・・・

・・・・・やはり、視線がきつい。今まで生きてきた中でこれほど精神的な辛さは身に覚えがないであろう。勿論、今後もこのような視線が釘付けで向けられることなら俺と清二はいつ

しや暴走してしまうのかわからない。けっして、下心MAXで暴走するのではなく、精神的での話だが・・・・・・・・・・・・

「さすがに、これはキツイ・・・・・・・!」

「思った以上だな?」

「いい加減見つめないでもらいたいよ・・・・・・・」

「でも、ある意味興味のある目線だったらいいよな・・・・・・?」

「それは同感だね?」

そう二人が会話を飛ばし合っていると、俺は一番席の前側に一人、それも俺達と同じ男子の後ろ姿を目にしたのだ。確か、ISで初の男性操縦士が出たと聞いたことがある。ド田舎に住ん

でいたから詳細は不明だが・・・・・・・?

「おい、見ろよ一斉」

「あ?」

「ほら、よく見たらあの子も男子だぜ?もしかして世界で初の男性操縦士っていう人かな?」

「ああ、確かに、スカートじゃなくてズボンはいているから・・・・・・・確か名前は、織斑一夏だったっけ?」

「そうだ、そうだよ?確かそういう名前だったな?」

そのとき、教室のドアから一人の女性教員?らしき人物が教卓へと立った。見るからにまだ幼さが残る顔つきだ、いや・・・・本当に教師なのか?その優しそうな眼鏡をかけた女性は笑ん

で教卓の前に立つと、黒板上のホログラム画面に自分の名刺映像を映し出して自己紹介した。

「みなさん!入学おめでとうございます。私は副担任の山田真耶です♪この三年間を楽しい学園生活にしていきましょうね?」

と、一生懸命に笑顔で自己紹介している彼女を見て俺と清二は心の中で何だかエールを送りたくなってきた。それに胸も、巨乳だし・・・・・・・目の付けどころがない!

「では、五十音順に自己紹介をしていきましょう?まずは・・・・・・・・・・」

入学してきたら当たり前にやる生徒一人一人の自己紹介を述べていく。そして、一人、また一人と自己紹介が終わるうちに俺達の番が近づいてくるのだ・・・・・・・が。

「あぁ・・・・・面倒くせぇ・・・・・・・・」

自己紹介している合間にも清二はともかく俺は天井か窓際の空を見ながらあくびをかましていた。て、いうかISの生徒でも何でもない俺達が自己紹介する必要なんてあるのか?

「では・・・・・次は式波さん?自己紹介を」

「は、はい!」

いくつもの列が終わって次にきたのは弥生の番だ。一様無関係の俺達も自己紹介することになるのか。

「えっと・・・・・式波弥生です!その・・・・ISとは無関係な者ですが、よろしくお願いします」

一様の自己紹介を述べると、真耶は首をかしげて質問を飛ばす。

「え?無関係な人?どういうことですか?」

「その・・・・・政府から学園へ来るよう言われましたので、ISとは別行動を取らせていただくことに・・・・・・・・」

「そ、そうですか・・・・・・・(別の行動って何だろう?)じゃあ、次の人」

疑問を浮かべる顔をした真耶だったが、とりあえず怪しまれずに済んだようだ。いや、弥生が女の子だからそうだろうけど・・・・・・・・・・

「でも、俺と清二は男だからな・・・・・・・・・?」

俺と清二は男だから自己紹介した際はどうなるんだろ?まぁ、いいか・・・・・・・・・

「じゃあ次は・・・・・勝山・・・・君?」

織斑一夏の他に男子が、それも二人もいるとは少し疑問に思うが、とにかく自己紹介を尋ねる真耶。

「あ、僕ですか?」

「は、はい・・・・・その、自己紹介してくれるかな?」

そう言って巨乳の胸元を揺らしてくるので勝山は赤くなりながら真耶から目を出来るだけそらしながら詰まる口調で自己紹介した。

「え、えぇっと・・・・・・勝山清二です。その、式波さんと同じ者ですのでそれほど気にしないでくだ・・・・・さい」

「あの、まだ他には?」

「ほ、他にも!?」

まだ他にも自己紹介はないのかと思って真耶が問いかける。すると清二は一息ついたところで再び驚いたので周囲の生徒がクスクスと笑いをこらえている。

「あっ・・・・・その、なかったら別に・・・・・」

「え、えぇと・・・・・・・落ち着け、落ち着け清二!」

そんなテンパった彼を見て真耶は苦笑いを浮かべて。

「その、もしよかったら他の人へ回します・・・・・・?」

ドンッ・・・・・・

「ひぃっ・・・・・・」

するといきなり清二が机をたたくので真耶は気弱な顔で怯えてしまった。

「・・・・・・以上です・・・」

「え?あ・・・・はい、じゃあ次の人」

あーあー、清二のやつ出だしから滑ってやがる・・・・・・・・・まぁ、普通こういう場所に来ちまったらそうなるわな?ま、俺は焦ることなくひとことだけいってから居眠りとしよう。
作品名:剣ノ一声 作家名:伊波鷹元