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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第76話

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  憂 「あと、お姉ちゃんの彼氏の光さん達も歌詞作りに参加してくれて、入校許可してもらいながら毎日のように軽音部に顔覗かせに来てるみたいだよ。でも、その帰りに例の怪獣事件によく遭遇するんだって・・・・だからお姉ちゃんが心配になるよ・・・。」

  純 「確かに、いろんなでかい怪物があらわれてるからねー・・・・ニュースで毎日のように取り上げられて、耳にタコが出来るくらい報道してるからなー・・・・私達も以前に襲われたし!でも、ホントあの時はエクスカイザーと火鳥さんには助けられたよ〜!」

  夏の日のデストリアン襲撃の記憶が憂に甦る。あの時、憂は喰われる寸前でエクスカイザーに助けられたのだ。それを思い返すたびに、憂はエクスカイザーに感謝せずにはいられなかった。

  憂 「私も思い返す度にエクスカイザーに感謝したくなるよ。ホントあのときはどうなるかと思ったから・・・。」

  純 「正に九死に一生だったよね・・・・話を元に戻すけど、男子高生が平日に来るなんて多分、前代未聞だよね・・・・あ!そうだ!今度の土曜なんだけどさ、練習終わった後にジャズ研の友達と合コンいくんだ!憂もどう?来て見る?」

  純の突然の「合コン」への誘いに、憂は戸惑った。

  憂 「へ?合コン?!」

  純 「そ、合コン!ジャズ研のコの男友達を通してやることになったんだよ。唯先輩も彼氏いるんでしょ?だったらここは、憂もそろそろ彼氏作らないと!」

  憂 「で、でもいいよ〜・・・そういうのは〜・・・。」

  純 「こーいうのはタイミング!いってみよーよ!」

  純の誘いを断る憂。まだ彼女の中では恋愛というものはピンときていなかった。むしろ、唯の恋愛模様を見守る側でいるほうがよかった。

  憂 「うーん・・・やっぱりいいって〜。純ちゃん達で頑張って来て!」

  純 「もー!憂のいけずー!まぁ、そこまで言うなら無理に強要しないよ。よっし、じゃあ私はその合コンで彼氏候補ゲットするから!!」

  憂 「あははは〜・・・頑張って!」

  その時、純は憂の様子に異変を感じた。

  純 「あれ?憂?ちょっと顔色悪くない?」

  憂 「え?そんなことないよ〜・・・大丈夫だから!」

  純と別れた後、憂はいつものように夕食の献立の買い物をする。その最中自らの体調の異変を感じていた。

  憂 (あれ・・・なんか気だるい・・・)

  それでも憂は買い物を続ける。夕食を楽しみにしてくれている唯や勇の為にも。だが、帰り道。歩を進めるにつれ、憂の体調が次第に崩れていく。

  憂 (なんだか、頭がぼーっとしてきた・・・寒気もする。風邪引いちゃったみたい・・・)

  その時だった。1人の男子高校生が憂に目掛けて走ってきた。

    タタタタ・・・

  憂 (??)

  男子高校生 「あ、あの!!お、俺、前からずっと声かけようと思っていたんだけど、ひ、一目見て君の事が・・・そのえっと・・・・ゴメン!俺ってウブだから・・・いまままで・・・これ!読んでください!!俺の想いと、ケー番・メルアドが書いてありまッス!!じゃあ!!」

    ズダダダダダアアアアア!!

  男子高校生は嵐のようにラブレターを渡し、顔を真っ赤にして嵐のように走り去っていった。

  突然の事にキョトンとしてしまう憂だが、だるさにみまわれふらっとなってしまう。憂は渡されたラブレターをカバンにしまうと、献立の袋とカバンを手になんとか家まで歩いていく。

  唯 「ただいまー。」

  夕闇に街が包まれる頃、唯が帰宅する。だが、明かりはついているが憂の返事がない。

  唯 「??憂〜?」

  そっと居間をのぞくと、ソファーの上でぐったりしている憂を発見する。唯は急いで憂の傍にかけよった。

  唯 「憂?!どーしたの?!大丈夫?!」

  すると憂は辛そうな声で唯に話しかけた。

  憂 「お姉ちゃん・・・なんだか風邪引いちゃったみたいで・・・。」

  唯が憂のおでこに手をあてる。唯の手には高い熱が伝わる。

  唯 「スゴイ熱だよ?!と、とにかく部屋にいこう!!」

  憂 「そ、そうだね・・・でも夕飯の支度が・・・。」

  唯 「私がやるから大丈夫だよ!でも・・・・どうやれば・・・えーと、うーんと・・・とにかく憂は部屋で寝てなきゃあっ!」

  憂 「そうだね・・・・ありがとう・・・。」

  憂は自分よりも唯の事が、そして告白してきた男子高校生が気になっていた。憂に寄り添っていた唯は、憂がもっていたラブレターに気づく。

  唯 「ん?これはなーに?」

  憂 「あ・・・これは、さっき渡されたラブレターだよ・・・突然告白されちゃって・・・。」

  唯 「ふおおおおお!!!う、憂にもついに春がやってきたぁあ〜!!」

  声のキーを低くしながら驚く唯。勢いで中身を空けて読もうとする。

  憂 「あ・・・まだ私も読んでないんだから・・・空けちゃダメだってば・・・!」

  唯 「えへ〜・・・そーだよねぇ・・・ごめん、憂。でもこんないいことがあったタイミングで風邪ひいちゃうなんてぇ・・・・なんだかかわいそうだよぉ〜。」

  憂に抱きついてほっぺをすりすりしてくる唯。風邪が移るといけないと思い、憂はあえて拒んだ。

  憂 「だめだよ、お姉ちゃん・・・風邪が移っちゃう!」

  部屋でベットに就いた憂を心配しながら唯はドアを閉める。  

  唯 「それじゃ、何かあったら呼んでね・・・。」

  憂 「うん・・・あ、部屋の明かりは付けておいて・・・。」

  唯 「うん・・・いい子にして休んでね〜。」

    ぱたん・・・

  憂 「ふう・・・ごほっ、ごほごほ!はぁ・・・本当にだるいよ・・・。」

  しばらくして、勇とエクスカイザーが帰宅した。台所を散らかしながらおかゆを作っていた唯は、真っ先に勇にかけよった。

  唯 「勇兄ぁああちゃん!憂が!憂がぁああああ!!」  

  勇 「おわあ!何だ?!!憂に何かあったのか?!!」

  勇は唯の様子から過剰なまでに嫌な事態を想像してしまう。だが、次の唯の言葉でがくっとなる。

  唯 「風邪ひいちゃったぁ・・・。」

  勇 「・・・・・はぁ・・・てっきり俺は事故か例の連中に見舞われたと思ったぜ・・・。」

  唯 「でも、熱もスゴク高そうだったし、すごくだるそうだったんだよ?!」

  勇 「とにかく落ち着け!とりあえず俺に診せてみろ!」

  勇はとにかくお白湯と葛根湯、体温計を持って憂の部屋にいった。熱を測ってみると、39度6分の熱がでていた。

  勇 「こりゃ、高いな!とりあえず今は葛根湯飲んどけ!明日は俺が有休取るから、医者にいくぞ、憂!」

  憂 「うん・・・ありがとう、勇兄ちゃん・・・。」

  勇 「おう!そんじゃあ、出来る家事は俺がやるからな!唯、今日はレトルトのカレーだけどがまんしてくれよ!」

  唯 「うん・・・。」