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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第77話

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  第77話 「ビーストロイド」


  憂は、セキをしながら部屋でメールを打っていた。だが、メールの相手は、梓でも純でも唯でもない。告白してきた男子高校生・清次へ送るメールを打っていたのだ。

  憂 「ごほッ、ごほッ・・・・はぁ・・・まだ直らないなぁ・・・純には合コンとか男の子とかはいいよって言ったけど、実際に告白されちゃうとやっぱり考えが変わっちゃうなぁ・・・。」

  調度その時、憂に告白した男子高校生・天田清次のところにメールが届く。内容を確認した彼はすぐに憂からのメールだと気づいた。

  清次 「お!メール・・・・ひょっとして・・・・・・・・・おおお!!!この前告白したコからメールが!!!やったああああ!!!」

  歓喜に満ちて叫ぶ清次。だがそこは公衆の面前だった。誰もが白い目で通りすがっていく。

  清次 「は・・・・・?!!しまった・・・・!!!」  

  改めて場所を移してメールを読む清次。この時に返信し合うことで、初めてお互いの名を知った。

  清次 「憂・・・・憂ちゃんていうのか?!」

  憂 「清次君ていうんだ・・・・・・・相模ヶ丘高校のコなんだねぇ・・・。」

  ポチポチとメールを打ち続ける憂。ぎこちないながらも、また新たな恋が芽生えようとしていた。

  清次 「憂ちゃん・・・・。」

  清次が公園で幸せに浸っていると、何処からともなくかっ飛んで来た野球のボールが清次の頭に直撃する。

    ズドコオオッッ!!

  清次 「でぃがぁっ!!!」

  叫び声を上げた後にプルプルと激痛に耐える。

  野球少年 「すんませーん!大丈夫すか?!」

  清次は激痛に耐えながら心の中でなんちゃって俳句をうたう。

  清次 (しあわせの・・・直後に来るは・・・地獄かな・・・・!!!)



  一方で、芽生える恋もあれば、朽ちる恋もあった。聡の友人、當哉が失恋して川原で砕けていた。

  當哉 「はははは〜・・・・ふられたぁああ〜・・・・奥田先輩にふられたぁ〜・・・・。」

  どよーんとしてしまっている當哉。同じ部活の先輩・奥田直に告白してフラレタのである。琢磨がなだめた。

  琢磨 「ま・・・そのなんだ・・・しかたねーって・・・先輩は受験生なんだろ?」

  當哉 「ああ・・・・それ以前、年下にはきょうみねーって・・・・。」

  琢磨 (でたー!!年上女性が年下男子をふったときのナンバーワンの決まり文句ーっっ!!!年上??・・・・そーいえば、さやかちゃん・・・・確か俺のいっこ上だったよーな・・・。)

  琢磨もいっこ上のさやかにどう思われているか俄かに不安になる。聡も當哉の手前、非常に気まずくなっていく。

  聡 「・・・・。」

  一方でツレが振られる中で、自分は事もあろうか転校生の美少女、千石撫子と仲良くなってしまっている。横から撫子が顔を覗かせる。顔を赤くして動揺する聡。

  撫子 「聡君、どうしたの?」

  聡 「うおおおお?!」

  撫子 「あ、ごめん!ビックリしちゃったかな?!」

  聡 「あ、いやぁ・・・そんなこと・・・。」

  ちらっと當哉を見る聡。羨ましいような、はたまた恨めしそうな目でこちらを見ている。正直、視線が痛い。

  聡 (うお・・・。)

  當哉 「うううー・・・・さーとーしいいいい!!」

  がさがさと這いながら聡に高速で接近する當哉。がしっと聡にすがる。

  撫子 「きゃ?!」

  聡 「だああああ?!なんだ、なんだ?!!」

  當哉 「なんで聡ばっかいー思いしてんだよ〜・・・家に帰ればかわいいねーちゃんも、さやかちゃんもいるしー。」

  聡 「何言ってやがる?!いーかげん立ち直れよ!!てかお前シスコンかよ?!!」

  當哉 「おめーに言われたかねーわああああっ!!!」

  聡 「んだと、おめぇえええ?!!」

  勢いでけんかしはじめる二人。撫子も困った表情でおろおろしてしまう。その時、そんな聡と當哉に琢磨が言い放った。

  琢磨 「やめやめ!!撫子ちゃんが困ってるぞ!!當哉!!いつまでもぐじぐじしてんなって!!次の新たな恋を探せよ!!」

  當哉 「俺だって頭じゃわかってらー!!おめーも毎夜さやかちゃんとラブラブしやがってー!!!」

  琢磨 「ああ?!うっせー!!!ツレにあたるなぁ!!!」

  更に悪化。時同じくして、さやかが聡の家で洗濯物をたたみながらクシャミをした。

  さやか 「えっくしっ!・・・・ぐすっ・・・あー・・・夕時になると涼しくなってきたな・・・もう、秋か・・・。」

  日が落ちるのが早くなってきた五時代の夕方の空を見つめるさやか。哀愁が漂う光景に、ふと出てきた街のことを想い始める。

  さやか 「はぁ・・・あたしもよくこんな遠くの街に来れたもんだ。これじゃ、杏子とやってること一緒だ。まどか達・・・どうしてるのかな??」

  故郷の街の友人達を思い出していた。だが、ここまで来てしまった以上、魔法少女の運命と戦い続けるしかない。更にいうなれば新たな居場所を見つけたのだ。

  さやか 「・・・・なーんて!あたしはもう、過去は捨てて今を闘うって決めたんだ!それに、新しい恋も見つけたから・・・・琢磨くん・・・。」



  琢磨 「はっくしっっ・・・!!」

  聡 「はぁ〜・・・・まったく・・・。」

  當哉 「どーでもいー。」

  散々バトルしたあと、しばらく対岸を眺めながらたそがれる男子3人。この状況を見て、撫子は聡と當哉の間に座って當哉を優しくなぐさめる。

  撫子 「當哉君・・・・大丈夫だよ。また新しい恋がくるって!だからそんなにやけにならないでさ、がんばって!ね?」

  撫子の天使のような微笑に聡と當哉は二人して赤くなる。

  當哉 「お、おう!」

  聡 (や、優しいっ!!)

  だが、内心的に當哉はもやもやしたままだった。當哉にとって奥田直は、それほどまでに一途に想い続けてきた憧れの人だったのだ。

  當哉 (奥田先輩・・・・はぁ・・・・。)

  その日の帰り道。聡は撫子と一緒に帰る。近所ではないが、家の方角は一緒の為にこういったシチュエーションが生まれつつあった。

  聡 (信じらんねー・・・まさか、こうやって撫子ちゃんと一緒に帰れる日々が到来するなんて!)

  聡はその環境に感動すら覚えた。聡が撫子に視線を向けた瞬間、撫子が満面の笑みでこの前のお礼を口にした。月下の戦いの時のことだ。

  撫子 「聡君・・・ホントにこの前はありがとう!」

  聡 「え?!この前・・・あ!!お、俺はただ無我夢中に行動しただけさ!!」

  聡は急に言われたばかりに一瞬なんのことかわからなかった。が、すぐにあの日の夜のことだと察する。照れ隠しで建前を言って見せた。

  撫子 「聡君達が来てくれなきゃ、私は本当に死んじゃってたよ・・・あんな大きなヘビの呪いだったなんて、今思い返しても恐い・・・・!!」

  きゅっと目を瞑る撫子。そんな彼女の表情を見た聡は、本音を口にした。