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魔法少女リリカルウィッチーズvol.4

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A班、C班、D班が後退する。代わりに今呼ばれた班が前に出て配置につく。後退した先の野戦病院ではシャマル率いる医療班が慌ただしく治療を行っていた。
「出血が酷いわ…。魔法だけでは限界があるから緊急手術を行いたいところね」
だがそんな暇がないのはシャマル自身、理解していた。
「シャマル先生、ここは私達に任せてください!」
「俺達だけでもやってみせます。だから、救える命を救ってください!」
思い悩むシャマルに、他の医療班のスタッフが声をかける。
「皆…ありがとう。これより緊急オペを行います!二人でいいわ、手の空いている人はついてきて!」
シャマルと医療班のスタッフ二人は負傷した男性隊員を連れて野戦病院の手術室へ入っていく。

「我が求めるは鋭き矛と疾く駆ける風。勇敢な彼の者に祝福を与え給へ!」
キャロが詠唱を終えるとガリューの腕の刃と足に魔力が付与される。この魔力ブーストにより、ガリューは一時的ではあるがネウロイを瞬時に倒せるくらいの力を手にした。
というのがほんの数分前の話である。
「ガリューに負けてられない。キャロ、私達も!」
「うん、ルーちゃん!」
二人は協力して究極召喚をしようとしていた。戦況は有利に進んでいるように見えるが、実際の所は手が足りていない。このままでは押しきられる。そう考えた二人は広範囲殲滅のために喚び出すことにしたのだった。まずキャロが魔力ブーストで自らの魔力をルーテシアに分け与える。ルーテシアは魔法陣を展開、究極召喚に必要な準備を整えていく。そして、
「究極召喚、白天王!」
そう唱えた直後、二人の背後から巨大すぎる程の生物が姿を現した。その場にいた人間はおろか、遠く離れた場所からもその姿はありありと確認できた。これこそがルーテシアの究極召喚、白天王である。ちなみにキャロも、似たような巨大な竜を喚び出すことが出来る。
「白天王、お願い」
ルーテシアが言うと白天王は腹部の水晶に力を溜め始める。ネウロイ達は警戒して次々に光線を放つが小型ネウロイ程度の攻撃では白天王にはあまり効果が見られない。白天王はすぐさま反撃に転じる。腹部の水晶から魔力砲撃を扇状に放つ。これだけで数十いたネウロイが一瞬で消し飛んだ。

「何アレ!?」
ルッキーニが白天王の攻撃を見ながら叫ぶ。
「ルーテシアの白天王の攻撃だよ」
フェイトが教える。
「あれ、ルールーがやったんだぁー!」
「多分、キャロも協力してるはず。今のルーテシアじゃ究極召喚なんて出来ないはずだから」
「そうだね。はやてちゃんから聞いた話だと、今のルーテシアの魔力ランクはB+。とても無理だね…」
なのはが口を挟む。本来、ルーテシアはSランク相当の力を持つ。が、今は先の事件での処分があるために魔力を封印されている。今回ははやての要請により世界の危機ということで特例が認められて封印が弱められ戦線に復帰したものの、全開というわけにはいかなかった。
「でもこれで、地上部隊は安心じゃないかな?」
「うん。でも、私達も出来る限りフォローしよう」
なのはとフェイト、二人は引き続き航空ネウロイを撃破しつつ地上部隊のフォローに回る。

「詠唱完了。発動まであと10秒」
はやては詠唱を終えてネウロイを照準する段階に入っていた。
「リィン、一番効果的な配置は?」

「今のネウロイの位置だと…こことこことここに出現させればいいです」
リィンは的確な攻撃位置を割り出す。
「了解や!」
そして10秒が経つ。
「遠き地にて、闇に沈め。デアボリック・エミッション!」
飛び回るネウロイの周囲に魔力スフィアが複数出現し、それらが一斉にネウロイへ魔力攻撃を浴びせる。しかもうまい具合に逃げられないように仕掛けたため、どこへ行こうと魔力ダメージをネウロイは負ってしまう。そのまま限界を越えたネウロイ達は粉々に砕けていった。
「坂本少佐、今です!」
ここぞと通信を入れる。
「了解だ!」
美緒達突撃班は右側面から一気に巣へと接近していく。

ティアナ達は順調に砲台を無力化していくことに成功し、遂に最後の一門を破壊した。
「これで最後ね。二人とも、ひとまずお疲れ様」
「お疲れー」
「これで空の皆さんが行動しやすくなりますね」
司令本部へ通信を入れ終えたティアナ。
「っ!?」
ふと目をやった先に、ソレはあった。
「ティア、どしたの?」
スバルが問いかける。
「しっ、アレ!」
小声で二人に指差す先を見るよう促す。やはりソレを見た二人も驚いて絶句する。
「あの輝き…コア、ですよね?」
エリオが確認をとる。
「間違いなく、ね」
「でも、だとしたらあの大きさは…」
ここでスバルがはっと気付く。
「もし巣が囮だとしたら…坂本少佐達が危ない!」
「ええ、そうね」
三人が見たのは巨大なコアだった。恐らくは巣の物だろう。コアが巣の外に出ているというのも驚くべきことではあるが、それ以上に三人の目を惹いたのはそのコアが分割して聖王のゆりかごに同化していったことにある。つまるところ、今、巣の内部は空っぽなのだ。下手をすれば内部は大量のネウロイで占められている可能性もある。
「坂本少佐、引き返してください!巣の内部にネウロイのコアはありません!」
ティアナは大急ぎで美緒達に通信を入れた。

美緒達は巣の内部に突入していた。
「よし、このまま奥へ進むぞ!」
突撃班四人は奥へ奥へと進んでいく。
「それにしても、やけにあっさり通してくれたな」
エイラが言う。確かに、もう少し抵抗があってもいいはずではあった。
「ふむ…エイラ、お前の言うことは最もかも知れんぞ?」
美緒が言う。その先にはうじゃうじゃとネウロイが待ち構えていた。
「ここで私達を叩く算段だったようですね」
サーニャが言って、フリーガーハマーの安全装置を解除する。
「サーニャちゃん、私達が引き受けるから先に行って!」
芳佳がネウロイの光線を防ぎながら言う。
「先に行ってって、この数だぞ!?」
エイラが無茶だと言いたげにそう言う。
「大丈夫だ。私と宮藤で、何とかしてみせるさ。エイラ、サーニャの護衛は頼んだぞ」
といっても美緒自身、限界が近かった。それでも年長者として皆を不安にさせまいと、そう言って笑う。
「絶対…絶対、無事でいろよ!」
「少佐、芳佳ちゃん。十分、気を付けて」
絶対ダカンナー!というエイラの声を残し、二人は奥へと進んでいく。
背中合わせにネウロイと対峙する美緒と芳佳。
「済まんな、宮藤。こんな危険なことに付き合わせて」
「坂本さんには傷一つ付けさせません!」
「ふふ…よし、覚悟はいいか?」
「はい!」
その返事に、すっかり頼もしくなったなと美緒は思い、言う。
「行くぞ!」