魔法少女リリカルウィッチーズvol.4
11th MISSION
首都へと攻撃に出たセイバーズ。次々と来襲するネウロイを打ち倒して着実に巣への道を歩んでいく。
「間もなく目的のポイントに到達。各自、自らの行動内容を再確認せよ」
ミーナが指示を出す。
「ここからはプラン通り、隊を分けての行動や。皆、よろしゅうな」
はやての指示で空戦部隊は坂本班、ミーナ班、スターズ、ライトニングと分かれ、それぞれ配置につく。陸戦部隊も援護してくれる空戦部隊の側まで出る。
「それじゃあミーナさん、お願いします」
「了解。全隊、行動開始!坂本班の突入を援護せよ!」
ミーナが号令をかけると各隊は行動を開始する。
「まずは私達で対空砲火を叩く!スバル、エリオ。行くわよ!」
ティアナが二人を引き連れて対空砲火の破壊に向かう。
「私も協力するわ」
追い付いたギンガがティアナに言う。
「いえ。ここは私達に任せてください。少数の方が動きやすいですし、ギンガさんは残る陸戦部隊の主力です。キャロやルーテシアと一緒にこの本部を守ってください」
ティアナはそう指示を出す。
「…了解。こっちは任せて」
「お願いします」
ティアナの指示を聞いたギンガは引き返していった。
砲台近辺で護衛を担当していた小型の陸戦型ネウロイは異変に気付いた。何やらカサカサと動く気配を感じ取る。そちらを向き、レーザーを撃つ。が、当たった様子はない。またカサカサと動く気配がある。そちらへ近付く。
と、そこにいた人影。それはティアナだった。見つかって身を隠そうと走るティアナ。ネウロイもこれを追いかける。
【よし、かかった!二人とも、今よ!】
ネウロイを砲台から引き剥がすことに成功すると、念話でティアナはスバルとエリオに合図を出す。合図を出してここにいるティアナは本物で、走り回っているのはフェイク・シルエットで造り出した偽者である。
スバルとエリオは合図を受けて砲台へと向かう。
「エリオ、一撃で決めるよ!」
「はい!」
エリオは魔法陣を展開して魔力を集めていく。スバルが砲台へ接近し、右拳を砲台へと叩き付ける。
「振動拳!うおぉぉぉぉっ!!」
スバルの固有ISによって砲台は内部から破壊されていく。ミシミシと音を立て始め、拳の当たった部分にはひびが入っていく。
「エリオ、あとはお願い!」
攻撃を終えてその場からスバルが避けると、魔力チャージを終えたエリオがストラーダの穂のブースターを使って砲台へと突っ込んでいく。
「いくよ、ストラーダ!」
〔スピーアシュナイデン〕
エリオは真上へ跳ぶと、ストラーダで砲台の砲身を切り裂き、次いで本体を一刀両断してみせた。斬られた砲台は粉々の破片となって砕け散る。
「まずは1つ、ですね」
「次、行くわよ」
一息吐く間も無く、三人は次なる砲台の破壊へ向かう。
地上部隊は、おびただしい数のネウロイの襲撃を受けていた。
「なんちゅう数だ。敵さんも本気ってことか」
ゲンヤがその数を見てぼやく。
「ぼやいてる暇はないですよ、三佐」
はやてが空から通信を入れる。
「だな。お前に言われるようになっちゃ、いよいよ俺も終わりかな」
「そんなことありませんて」
ハハ、と笑うゲンヤにはやては言う。
「地上部隊の指揮は任せろ。お前は航空隊の指揮を頼む。って、俺が命令する立場じゃねぇよな。お前さんのが立場は上な訳だからよ」
「気にせんでええですよ。今まで通り、いきましょう」
「よし、始めるぞ!A班~C班はギンガと共に正面、D班、E班は側面に展開。他は後方待機。俺たちの仕事はあくまでも本命がケリを着けるまでの時間稼ぎだ。このラインだけは何が何でも死守する。いいな!」
ゲンヤの言葉に、男達はおおーっ!という雄叫びで返す。
「私ら航空隊は飛来する航空ネウロイを撃滅して突入部隊のために道を開くで。キャロとルーテシアは状況に応じた支援を頼むな」
「了解です」
「了解」
「私達の班も坂本班と六課の突入部隊の巣までの護衛を行う」
はやてとミーナが指示を出す。
「行動開始!」
「全機、フォーメーションβ!」
その声で、全員が行動を始める。
「我々も出るぞ!」
美緒が突入部隊の面々に言う。ちょうどその時、三つ目の対空砲台が破壊された所だった。ティアナから通信が入る。
「坂本少佐、今がチャンスです。右側面から巣に接近してください」
「了解した。お前達の働きに感謝する」
「いえ、御武運を」
通信を切ると、坂本班となのは達隊長陣も護衛部隊に続く。
「ミーナ、向かって右から来るネウロイを優先的に撃破してくれ!」
美緒が通信を入れる。
「了解。全機、右から来るネウロイを優先的に撃破せよ!」
「中佐、皆を向かわせなくても大丈夫やで」
はやてがミーナへ通信を入れる。
「八神二佐、それは一体…」
「私の攻撃で一気に殲滅する。だから皆には他の方向からの襲来を警戒させておいてほしいんよ」
「…了解。全機、行動内容を変更。管理局航空隊と協力し、他の方向から襲来するネウロイを撃破せよ。また、八神二佐が攻撃するまでの間、彼女の直掩にあたれ」
はやては呪文詠唱と魔力チャージを始める。他の皆は散開してまばらに襲い来るネウロイの撃破にあたる。
「こいつ、速い…!」
そんな中、管理局武装航空隊の一人が一際動きの素早いネウロイと対峙する。砲撃するものの、かすりもしない。
「どうしたら…」
「私に任せな!」
航空隊員に代わってシャーロットが彼に通信を入れてネウロイを追う。するとネウロイもシャーロットの方へ向かってきた。両者は交差する。
「スピード勝負で私に挑もうなんて100光年早いぞ!」
方向転換したシャーロットはネウロイを追う。
「は、速い…」
それを見ている先程の武装航空隊員。彼を狙うネウロイがいた。が、彼からは死角になっていて見えず、気付かない。ネウロイが光線を撃とうとした瞬間、それを弾丸が貫いた。ネウロイは四散する。
「え!?」
そこへ来て、ようやく狙われていたことに気付く隊員。
「危ないところでした。大丈夫でしたか?」
そんな彼の元へ、リーネが飛んでいく。
「あ、はい。平気です。ありがとうございます」
礼を述べる隊員。
「しかし、イェーガー大尉ってとんでもなく速いんですね」
「はい。私達の部隊でも一番速く飛べる人ですよ。もしかしたら、全ウィッチで最速かもしれないです」
隊員の言葉にリーネが答える。
「ちょっとリーネさん、悠長にお喋りしている暇はありませんわよ!」
そこへペリーヌが来てそんなことを言う。が、彼女が言うことは最もだ。今は作戦行動の最中なのだから。
「すみません!」
リーネは謝ると、ペリーヌについて行って戦線に戻った。
「今だ、撃てーっ!」
地上部隊は陸戦ネウロイと一進一退の攻防を続けていた。
「よし、脚部を破壊した。これで奴は動けない!」
「油断するな、再生するんだぞ!今が好機だ。撃てっ、撃てーっ!」
倒れて動けなくなったネウロイに集中砲火を浴びせる。こうしてまた一体撃破することに成功した。
「よし、次だ!」
その時、別のネウロイの腹部から光線が放たれる。一斉にバリアを展開して防御する管理局員達。だが、爆風はバリアを易々と貫通し、管理局員達に傷を負わせていく。
「負傷者の多い班は一旦退がれ!F~H班、代わりに出ろ!」
作品名:魔法少女リリカルウィッチーズvol.4 作家名:Dakuto