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彼女の名はマドンナ

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その日、隊主会にて今回の大きな戦いについての話し合いがされていた。
虚圏からの大きな侵略があるとされていた。いや、間違いなく大きな戦いが起こることは確実であった。
隊主会が行われ十三隊の隊長たちが集まるのは一番隊にある一室である。その近くに黒崎四席は執務を行っていた。
これからある戦に備えて、後ろからサポートする為に様々な手回しを行わなければならなかった。
そんな中一護は山本に呼ばれた。
はて?まだ隊主会が行われているはずであるがと一護は首をかしげた。

そんなことを考えながら一護は部下の鏡の様に上司のもとに駆けつける。
隊主会室の入口に膝をつく。
「黒崎、参りました。」
「うむ」
「お呼びと伺いましたが」
「うむ、此度の戦い、おぬしも参加せよ」
その言葉にその場にいた隊長達も驚いた。
まさか、後方指揮のトップと言っていい黒崎四席を総隊長が戦場に駆り出すとは思ってもみなかった。
「いやです」
一護は即座にはっきりと言い切る。
黒崎四席のその返事にさらに隊長達は驚いた。
あの部下の鏡と言っていい黒崎四席がそんな返事をするとはだれ思ってもみなかった。

窘める様に山本は一護を呼んだ。
「黒崎」
「いやです」
また黒崎四席は同じ返事を繰り返す。その様子は少しすねているようであった。
山本はため息をつく。
その様子に一護は恨めしそうに山本のことを見た。

「重國様は私に戦えと仰るんですね」
「そうじゃ」
「どうしてもですか」
「そうじゃ」

山本の答えを聞いて一護は山本から目を逸らして少し口を尖らせるようにむーと黙り込む。

一番隊の主従の間でそのような会話がされる中、その場にいた隊長達は混乱した。
今、黒崎四席は総隊長のことを重國様と呼ばなかったかっ?!
なぜ名で総隊長を呼ぶのか、いつにない黒崎四席の態度にも混乱した。


しばらく沈黙が続いたあと一護が口を開いた。
「いやです」
「我儘を申すでない」
「女心をわかっていらっしゃらないのは重國様です」
「なに?」
「好いた殿方の前で醜い姿など見せたい女などおりません」
そういい、黒崎四席はプイッとそっぽを向く。

その場にいた一部の隊長を除き隊長達は衝撃を受けた。
まさか、護廷のマドンナが総隊長のことを好きだったとは!多くの隊長達は一護が総隊長のことを思っていることを知らなかった。
その意外な事実を思わぬ形で知り各々に衝撃を与えた。
その横で驚かなかった一部の隊長である浮竹と京楽は胸を押さえる。
未だに憧れている初恋の女性は己の師を思っている事実はいくつになっても切ない。
しかも、一護の思いはどこまでも一途だ。
実に…切ない。



「黒崎」
山本は幼子を呼びかけるように名前を呼んだ。それでも一護はそっぽを向いたままだ
「一護」
次に山本は下の名前を呼んだ。
それに一護はピクリと反応する。そうして、ちらりと山本を盗み見てから少しして沈黙をやぶった。

「…私の戦いをみて重國様は私を厭ったりされませんか?」
一護は首をかしげながら問う
「ならん。一度でもわしがそんなことをしたか」
一護はその言葉にフルフルと首を振った。
その様子がまるで少女の様でそれを見ていた隊長達は胸をときめかせた。

「では、一番隊の名に恥じぬ戦いをご覧に入れます。見ていてくださいね、重國様」
一護は立ち上がり嫣然と笑った。
それはその場にいた隊長達が息をのみまた頬を染めるのに十分魅力的なものであった。






一番隊四席黒崎一護。
彼女は正しく護廷の高嶺の花。
多くの隊士の心を討ち取る護廷のマドンナ。

そんな彼女の好きなものは山本総隊長。

作品名:彼女の名はマドンナ 作家名:アズ