FATE×Dies Irae2話―1
「当たりだな。古今東西の英雄英傑が万能の願望機をめぐって覇を競う……いかにも連中が好きそうなシチュエーションだ」
『ごもっとも。そもそも、城の一部になっているはずの神父が聖杯とやらの召喚に、ただの偶然で応じるわけがねえ。それも、よりにもよって英雄として、だ。あり得ねえよ。ああ、そういやそっちはどうよ?』
「生憎と空振りだ。櫻井のほうもな。お前が電話をかけてくる直前に連絡があった。とはいえ、俺も櫻井も今は国外だ。おっとり刀で駆けつけても、合流するには二、三日はかかる」
『ああ、それなら多分心配ねえさ。具体的にどう絡んでいるかは分からねえが、おそらく今回の黄金錬成と聖杯戦争の進行は同期しているはずだ。仮にも英雄同士の殺し合い。二日三日でカタのつく話でもあるまい。それにやつらの筋書きじゃあ、端役とはいえ一応俺らも舞台役者なわけだし。まさか役者が揃わないうちに幕だなんて、んな興醒めなことにはならねえさ』
「なるほど、違いない。あのいけすかない蛇野郎がこだわりそうなことだ。とはいえ、いずれにせよもたもたとはしてられない。出遅れればそれだけ対応が難しくなるのは確かだからな。俺たちもすぐにそっちに行く。それまであまり無茶をするなよ司狼。まあ、お前に言っても無駄だろうけどな」
『当然。お前らが来るまえに、おいしいところはこの俺が全部いただいちまうぜ。見せ場無くなってても文句言うなよ――蓮』
「言ってろ。櫻井には俺のほうから連絡しておく。じゃあな。武運を祈る、司狼」
『おうよ』
作品名:FATE×Dies Irae2話―1 作家名:真砂