Someday, Somehow
後を追ってしえみがあたふたと車を降りる。そして、トランクから運び出される荷物を拠点に運ぶ仕事を手伝う。
「杜山さん。あなたはここから他の候補生たちと合流だそうよ」
奥村がトランシーバーを手に拠点のある所を指差して見せた。その先に、祓魔塾の仲間たちがいた。しえみの姿を認めて、燐と廉造が手を振った。
「じゃあね」
「あの、有難うございました。いろいろご迷惑をかけてしまって……」
その言葉に、女研究者がにっこりと笑って、手を差し出してきた。
「また、会いましょう」
必ず、と握手を交わして、足早に立ち去っていく彼女の後姿を見送る。車内で見せた寂しそうな雰囲気は、もう任務への集中で掻き消えている。きっと彼女も、あの研究室の人たちも皆、迷って、道を見出して、また迷って、それでも自分なりの答えを見つけて。そうして進んで行くに違いない。
「しえみ、どうしたんだ?」
燐が声を掛けてくる。
「燐、私、頑張るね!」
少年が、大丈夫か? と言う気遣わしげな顔をした。いきなり言われたら、驚くよね。しえみは笑った。
「なんか、嬉しそうだな?」
彼の言葉に、うん、と答えた。そう、嬉しかった。初めて会うタイプの大人の女性だった。そして、強くて、優しい、祓魔師だ。
これまでの自分からは、想像も出来ないような出会いだ。あのまま、燐に会わず、祓魔塾にも通っていなかったら、けして出会うことはなかっただろう。
思いがけない出会いが、また新しい出会いと、思いがけない場所に自分を進める。
おばあちゃん。私、いつか、きっと……。
作品名:Someday, Somehow 作家名:せんり