ベン・トー~if story~ vol.4
プロローグ
夏休み最終日。俺は重大な事実に気付いた。
「……宿題、やってねぇ…」
正直、詰んだと言わざるを得ない。何せ、夏休みに入ってから立て続けのイベントですっかり宿題のことなど抜けていたからだ。
「とにかくだ。まずは…」
まだ慌てる時間じゃない。俺は携帯を持って奴に電話をかける。
「もしもし?」
「藤澤、俺だ。俺」
「オレオレ詐欺ならお断りだ」
「冗談言ってる場合じゃない。緊急事態だ」
「何だよ、緊急事態って。俺は眠いんだが」
「宿題が終わってないんだ」
「宿題?そんなの始めに終わらせとけよ」
「お前とは頭の出来が違うんだよ」
「で?写させろってか」
「済まん、そういうことだ」
「はぁ…。それじゃあお前のタメにならないからな。今から行って、わかんねぇとこは教えてやるよ」
「わかった」
「謝礼は学食1ヶ月分な」
「わかったよ」
15分程して藤澤が家にやってきた。
「上がってくれ」
「言われなくても」
二人で部屋へ。
「さ、始めるか」
腰を降ろして宿題に取りかかる。最も、藤澤は暇なので雑誌を読んだりし始めた。
「つーかよ、藤島」
「ん?」
「お前、槍水仙を読んだ方が良かったんじゃねーの?彼女だろ」
「あ…」
「アホだなー」
「いや、でも…先輩を呼んだら勉強どころじゃなくなりそうだし」
「あー、そうか。だよな」
そんな会話を交えながら黙々と俺は宿題を進めていき、わからないところを藤澤に聞く。そのうち藤澤は暇をもて余してゲームを始めた。今はソニックをやっている。
そんなこんなで夏休み最終日は過ぎていった。
ちなみに宿題は頑張ったものの間に合わず、結局途中から藤澤のを写させてもらった。ありがとう、藤澤。
作品名:ベン・トー~if story~ vol.4 作家名:Dakuto