二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ベン・トー~if story~ vol.4

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

16部 決闘


そして1週間が過ぎた。
俺は毎日沢桔姉妹の元で特訓に励んだ。流石に二人に勝つことは敵わなかったが、それでも以前よりは強くなれたと実感している。
そんな折、佐藤からレッドバロンが俺と一騎討ちをしようと言ってきたと聞かされた。何でも俺が負けたらレッドバロンは先輩を彼女にするつもりらしい。
「藤島、大丈夫か?」
佐藤が訊いてくる。
「ああ。俺だってこの1週間、黙っていたわけじゃないからな」
俺は戦場となるスーパーへ向かった。

スーパーに到着すると、神代が待っていた。
「神代!勝負だ!」
俺の声に神代が振り向く。
「来たか、ボーイ。わざわざやられに来てくれるとは…怖じ気づいて逃げるかと思っていたよ」
「俺だってただ1週間を過ごしたわけじゃない。それを今から見せてやる。お前なんかに槍水先輩は、絶対渡さない!」
「オーケー。それじゃあ君を倒して、堂々と彼女を戴こうじゃないか」
こうして、俺と神代の一騎討ちが始まる。
半額神のおじさんが去り、戦いの火蓋が落とされる。一斉に弁当へ殺到する狼達。しかし、俺と神代は別だった。互いに相手へ向かって一直線に突っ込む。
まずは神代が仕掛けてくる。小手調べと言ったところか。軽いミドルキックを繰り出す。俺はそれを見切り、身を翻しながら相手の背後へ回ると同時に裏拳を放つ。背中に入る。だが軽い。
続けて神代は、そのまま後ろ回し蹴りを仕掛けてくる。俺はその足を掴み、そのまま遠心力を使って神代の体勢を崩し、腹へ拳を叩き込む。
「ぐぅ…っ!ちょっとはやるようになったな?」
クリティカルヒットかに思えたが、どうやらそうでもなかったようだ。
次に神代は真っ直ぐ突っ込んできて、そのまま蹴りを放つと思いきやカウンターを打とうとする俺の目の前で屈んで頭突きを仕掛けてきた。といっても、腹に入ったのでタックルに近い形になっているが。これも重い一撃で、かなり効いた。見かけによらず、神代は筋肉があるのかもしれない。
神代はこの一撃で俺を押し倒せると思ったのだろう。だが、ここで俺は倒れなかった。突っ込んできた神代の頭を掴むと、膝蹴りをお見舞いする。顔面ではなかったが、胸骨へヒットした。離れた神代が咳き込んでいる。ここがチャンスとばかりに俺は神代へ接近する。
「一対一でカウンターを決めて相手に隙が出来たとき。これはチャンスです。あなたの持つ飛びきりの一撃をお見舞いしてあげましょう」
鏡の言葉を思い出す。特訓していたハイキック。これを神代の頭部に放つ。ハイキックは隙だらけの神代に楽々命中する。……決まった。そう思った。
だが、
「何…!?」
すんでの所で、受け止められていた。
「今のは危なかったぜ、ボーイ。どうやら少し舐めていたようだ」
「くそっ…!」
脚を離そうとする。が、ガッチリ掴まれて離すことが出来ない。
「ここからは、本気だ…!」
ブンッ!と音がしそうな勢いで、気付けば俺は投げ飛ばされていた。そのままカゴ置き場に突っ込む。
「がはぁっ!!」
苦しい、息が思うように出来ない。ヤバイ、早く立たないとやられる!思いはするが体が動かない。
神代が凄い速度で迫ってくる。どうやら止めを刺すつもりみたいだ。
「彼女は戴くよ、ボーイ。恨むなら自分の弱さを恨むんだな!」
ああ…やっぱり俺は弱かった。1週間で強くなろうなんて間違ってたんだ。どんなに努力したところで弱者は弱者でしかない…。
「諦めるな、藤島!」
「!」
先輩の声が聴こえる…。負けるなって、そんな思いが伝わってくる。
「私が好きなのはお前だけだ!私は、お前の彼女でいたい!」
先輩…!
「何を言っても、これで終わりだ!」神代が必殺の蹴りを放ってくる。
「…は?」
俺はその脚を掴んで突き放す。
「俺は負けない!先輩の彼氏で居続けるために!俺も先輩が大好きだから!」
今は、負ける気がしなかった。
あんなに見えなかった神代の動きがよく見える。どこへ回ろうと、まるで背中にも目が付いたかのように動きを把握し、的確なカウンターを繰り出せる。
「藤島のやつ…レッドバロンを圧倒してるな」
「ああ。って、奢莪!いつの間に!?」
「ん?今来たとこ」
どんなに素早く動こうと、それについてこられるのではレッドバロンの真骨頂も発揮出来はしないだろう。素早く動いて死角へ回ってからの重い一撃による一発K.O.。それが神代のやりかただと見抜いたのはこの状態に入ってからだ。
そして、勝負は決まる。再び死角へ回る神代。俺はそれに気付かない振りをする。予想通り、神代はハイキックを繰り出してきた。俺は瞬間、身を反転させながら屈み、ハイキックを回避すると神代の顎へ渾身の右アッパーを放つ。見事クリーンヒットして、神代はその場に倒れた。
「はぁ、はぁ…やっ…た?」
その瞬間、周囲からワッと歓声が上がった。いつの間にか皆、俺と神代の戦いに見入っていたらしい。弁当争奪戦もそっちのけだった。

作品名:ベン・トー~if story~ vol.4 作家名:Dakuto