二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

マドンナの涙~if~

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

一護から今までが嘘のように力が抜ける。
だらりと腕が落ちる。
「浮竹隊長、日番谷隊長。腕を離していただけますか?」
口調が元に戻っている。浮竹は離しても大丈夫なものかとちらりと京楽を見る
「もうしませんよ」
そういいながら一護は浮竹をみてぎこちなく笑う。
京楽がその様子を見て頷くので浮竹はそっと離した。それに習う様に日番谷も離す。

一護はすっと床に落ちた斬月の鞘を拾い、キンっと斬月をしまった。
その姿に普段の快活さ、覇気はなかったが先ほどとも打って変わって静かなものであった。
「見苦しいところをお見せしました。数々の無礼失礼いたしました事、お許しください。」
と一護はその場にいる隊長達に頭を下げた。
そして、そのまま一護は背を向け扉の方へと向かう。

一護ちゃんと後ろから声がかかる。

「生きることを考えて」

少しの真の後、振り返らず一護は言った。

「・・・あの方が守りたかったものを守る為に生きて戦おうと思います」

そうして、一護は一度も振り返ることなく隊首会議場を後にした。


外は未だに雨が降っている。
一護は濡れるのも構わず、尸魂界は未曽有の事態に混乱しどこも怒号やヒトの気配であふれている。今だけは喧騒から離れようと一護は人気のない場所へと足を進める。
一人になりたいときに訪れる場所。世間から忘れ去られた場所がぽつりと存在した。

雨が苦手なのを知っていたあの方はもういない。
酷い時は体調を崩すことがあった己を心配してくれたあの方はもういない。

一護はそのままその場に立ち尽くす。
ただただその場に立っていた。
すべてが洗い流してなかったことにしてくれないか、常ならば苦手としていた雨に期待した。

一護はその胸に封印を施した懐刀の大きさにした斬月を抱いて語りかけた。



「なあ、斬月・・・・・・。もうお前を封印している意味がないな…。もう、戦いを厭う理由もない。」
一護は空を見上げた。
今も尸魂界の空は雨を降らせている。

おれの中も雨が降っているのだろう?
お前の体をひやしているのだろうか?
すまない、斬月
お前も雨は嫌いなのにな…。

そうしばらく、雨に打たれていると雨があがった。
雲の合間から差し込む日差しが護廷を照らし出した。
それはまるで悲しむ時間は終わりだと告げられたようであった。

新たな時代の訪れを兆しの様であった。





一護は眩しげに空を見上げる。


一護は一筋涙を流した。





彼女の涙は一生止みそうにない。
作品名:マドンナの涙~if~ 作家名:アズ