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魔法のトルテ

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ローデリヒがある仕事の件で話があると言うので、家で食事でもしながら
という事になった。


予定の時間から少し遅れてローデリヒが家に到着した。
トルテを焼いてきてくれたらしい。
新しい調味料を使ってみたから味見をしろと言って差し出した。


トルテを一口食べたところで兄が帰ってきた。


「お、なんだ?トルテ焼いたのかよ」
「…………………!?」


ガッシャーーーーーーーーン!!


その瞬間、俺はあろうことか
皿に移そうとしたトルテを皿ごと一つ残らず床にぶちまけた。


「ちょ…!大丈夫かよ?」
「まったく、何をしているのですか貴方は…」

唖然とする兄。呆れ顔のローデリヒ。
しかし一番驚いているのは俺自身だ。


兄を視界に入れると、激しい動悸がする。

「なんだ眼鏡、来てたのかよ」
「貴方…ルートヴィッヒに一体何をやらかしたんです?」
「は?何もしてねぇよ。お前こそ、何か混ぜたんじゃないのか?」
「このお馬鹿さんが!今日のは新しい調味料を加えた自信作だったんですよ」

いつもの痴話喧嘩が始まる
しかし、俺は本気でどうかしてしまったらしい。

兄さんの声がまるで小鳥のさえずりのような美しい音色として耳に届く。
聞き慣れているはずの掠れた声には色気すら感じる。

俺はどうしてしまったんだ?
これではまるで…

「お…おい、大丈夫かよ?どっか切ったのか?ちょっと見せてみろ」

後退りして近付いてくる兄から距離をとる。
しかし、兄の姿から目を反らす事が出来ない。

ルビーのような瞳に、神々しい程に輝く銀の髪。
ああ、どうして今まで気付かなかったのだろう?

「怯えているじゃありませんか」

ローデリヒが手を差し出して、俺を立ち上がらせてくれた。

酷い動悸が収まらない。
何かおかしいことはわかっているのだが、体が勝手に動いてどうしようもない。

「…おい、本当に何か混ぜたんじゃねぇだろうな?」
「おかしいですね…少し熱があるようです。どこか痛い所はありますか?」

「いや…」

色んな意味で心臓が痛い。
しかし原因と言って思いあたるのは
さっき食べたトルテくらいなのは確かだ。
兄さんが今朝出掛けるときまでは何とも無かったのだから。

「聞いてもいいか」

なるべく兄さんを視界に入れないようにしてローデリヒに聞いてみた。

「新しい調味料とはなんだ?」

「よくは知りません。今朝エリザベータがやってきて、何かに混ぜると美味しくなる調味料だと言って」

「なんだそりゃ!明らかに怪しいじゃねえか!で、お前は味見したのかよ?」

兄さんが慌てる。


「味見はしていません。…少し待ってください。電話で聞いてみます」

ローデリヒは携帯を片手に廊下に出て行った。

兄さんは出ていくローデリヒを目で追って、次にこっちを見た。

「味見もしねえで何が自信作だよ?なあヴェスト。…おい、マジで大丈夫か?顔赤いぞ」

ダメだ!その目で俺を見ないでくれ!!
心臓が破裂する!!
顔が熱くて溶けそうだ

「ヴェスト」


心配そうな目で俺の額に触れようとした手を思わず振り払った。最悪だ。死にたい。


「原因がわかりましたよ。
ルートヴィッヒ。少しこっちにおいでなさい。ギルベルト、貴方は此処で待機なさい」

「おい眼鏡!ふざけんなよ」
「兄貴…頼む」

俺が言うと、兄さんは低く唸ってしっしっと手を払った。

俺はローデリヒに二階の自室に連れられて入った。
俺のベッドに二人で腰かけると、少し落ち着いた。


「ルートヴィッヒ。率直に言いますが貴方、ギルベルトが好きなんでしょう」

「!!!?」

その名を出されただけで心臓が跳ねる。
これはもはや病気だ。

「やはり…」
「ど、どういう事だ!?」

跳ね踊る胸を手のひらで抑える。
ローデリヒがため息をついた。

「うかつでした。どうやら貴方は惚れ薬を食してしまったようです。」

「惚れ…薬…?そんなものが実在するというのか」

「私にも分かりませんが、あなたの反応を見るに明らかです。まあ、あのお馬鹿は気付いていないようですし、熱ということにしておきましょう。」

「そんなもの、エリザベータは一体どこで手に入れたんだ?」

「ナターリヤに貰ったのだとしか…しかし、エリザベータは恋が叶うエッセンスだとか聞かされていたようで。困った話ですが、女性とはこういったものが好きですね。」

なるほど、うっすらと話が見えてきた。
ナターリヤは確かイヴァンに気があると聞く。
もしかしたら、その効用を試すためにエリザベータに薬を分けたのではないだろうか。

エリザベータはローデリヒ自身が食す事を期待して彼にプレゼントしたのだ。

「気になるのだが」
「はい?」
「これはいつまで続くんだ?」
「それが、作者本人の証言によると保っても2日ほどらしいです。要するに失敗作ですね」

「…なんで残念そうなんだ?」

ここは喜ぶべきだろう。
2日と聞いて、取り敢えずホッとした。
それくらいなら、なんとか耐えられそうだ。


「わりい。聞いちまった」
「!!!」
「!!!??」

俺は思わずローデリヒを盾にした。
一体どういう反応なのか、自分でもよくわからない。

「貴方という人は…相変わらずお行儀が悪い」
「問題起こした張本人がよく言うぜ」


「しっかしヴェスト…マジで俺に惚れてんのか?そういえばトルテ食った後俺を最初に見てたよな」

くっ…苦しい。胸が裂けそうだ。
頼むからそんな顔で見詰めないでくれ!

ローデリヒが肩を落とした。

「こんな状態では、とても仕事の話など出来そうにありませんね…出直します。」

立ってドアに向かおうとするローデリヒの腕を掴んだ。
「い、行くな!」

この状態で兄と二人きりになどなったら
自分はきっとおかしくなってしまう。
勢い余って兄さんに何をするかわからない。

「まあ、2日で治るんだろ?ちょっとシャワー浴びてくるぜー」

兄さんが階段を降りていく音を聞いて、漸く鼓動が落ち着いてくる。静かにローデリヒが口を開いた。

「ああ、言い忘れていましたが」
「な、何だ」
「その薬は、全く恋愛感情の無い相手に対しては効果が現れないそうです」

「……な…んだと…」
「現に、私には何ともないでしょう?
その薬は2日間、恋愛感情のある相手全員に対して効果が表れるそうです。最初に見た者に限りません」

兄さんではないが、頭をフライパンで殴られたような衝撃が走った。

…兄だぞ?
血縁で、しかも男だ。
性格的にも容姿にも、女性的要素は皆無と言っていい。

こう言ってはなんだが、自分の趣味を疑わざるを得ない。


「まあ、そう落ち込まずに。その様子では自覚が無かったのですね」
「…嘘だ。断じて認めん」
「よかったではないですか。気持ちがハッキリしたというだけでも。」
「するわけないだろう!」

「さて、私はそろそろ帰ります。ギルベルトの機嫌を損ねてしまったようですし」
「た…頼むから行かないでくれ!」
「おやおや今日の貴方は随分と可愛らしいですね。ですが、私にも都合というものがあるのですよ。聞き分けをなさい」

「それはないだろう。トルテが原因なんだぞ」
作品名:魔法のトルテ 作家名:甘党