綾部と真冬のお弁当事情
本当の思い
綾部が真冬の腕をつかみ引きずるようにして連れて行く。
強く掴まれていてなんだか怒っているようだ。
綾部は自室に入り鍵をかけていた。
「何してんねん黒崎。
何で男子寮に女子が入ってるんや」
「ごめん」
「ここには男しかいないんや。
何されるかわからへんことくらいわかるやろ」
壁に手をつかれて怒られる。
彼が怒るのも無理はない。
男子寮に女子が入ることは危険以外のなにものでもない。
彼は私服でいつものギターケースを背負っていた。
綾部がギターケースを立てかける。
「今日は渋谷を送るとかそういうことやないならなんやねん。
何で男子寮に来たんや?」
綾部がイライラしながら後ろを向いていた。
真冬に送っていくといおうとしていた。
真冬が後ろから抱き着いていた。
「自分悪い癖やで。
他の男なら勘違いするやろ」
後ろから抱きつく真冬にそう話している。
「勘違いしていいよ。
私が好きなのはあやべんだもん」
「ほしたら何であんなこといったんや?
俺がこの数日どないな思いして学校でお前を避けてたと思ってんねん」
「あやべんがモテるのが悔しくて本当は私もあやべんが好きなんだよって伝えるつもりだった。
なのにあやべんにひどいこといって悩んでて私何でこんなことになったかわからなくてあやべんが好きなのに空回りして」
真冬は理由を話す。
「私はあやべんにただ笑っていつも一緒にいて気がつかなかった。
こんなに寂しい私はあやべんに対して大好きなのは友達以上の感情だった」
真冬の腕をとり抱き締める。
綾部は真冬を抱き締めながら話し出す。
「ほんまにアホなんは俺かもしれへんな。
黒崎ごめんな」
「あやべん」
真冬を抱き締めながらカツラを外していた。
「大好きなんや。
今も前もこれからも俺は黒崎が好きなんや誰よりも」
「あやべん傷つけてごめんね。
あやべん大好きだよ」
「何泣いてんねん黒崎。
泣くなやほら」
真冬の涙を手でぬぐいながら顔を近くに持っていく。
真冬を抱き締めながら(身長差があまりないのでかなり近いが)軽く髪をなでる。
「黒崎もう一度いうんやけど俺と付き合ってほしいんや」
「うん。
私もあやべんと付き合いたい」
抱き合いながらしばらくたってから二人は座り込む。
そして真冬に綾部がキスをする。
しばらくしてから綾部が真冬をマンションまで送る。
「えへへ」
「黒崎修学旅行お揃いで何か買わへんか?」
「うん」
色々なことも二人なら乗りこえられる。
だって二人は幸せなんだから彼らを月明かりが照らす。
手を繋いで仲良く帰っている。
そんな夜だった。
作品名:綾部と真冬のお弁当事情 作家名:アオイ