綾部と真冬のお弁当事情
すれ違い
あの頃から真冬を思わずにはいられない。
綾部はどんなに真冬を好きになっているだろうか。
真冬にどんなにアピールしていたところで気がつかない。
真冬を思うとどうしても楽しくなる。
真冬は綾部のクラスの女子に聞かれる。
綾部のことどう思ってるのか。
「あやべんは普通に友達だよ。
いきなり好きっていわれて動揺してる。
今まで友達でしかなかったから不安なんだ。
だから正直困ってるというか」
まさか綾部がこれを聞いているとは真冬も思わなかった。
真冬と綾部が一緒にお弁当を食べている。
綾部が真冬に話す。
「困らせて悪かったな黒崎。
俺正直に初めての恋を伝えたつもりなんや」
「あやべん?」
「告白のこと忘れてくれてええわ。
あんたが俺のこと友達としてしか見てないのはわかっとったんや。
ごめんな黒崎。
ほな俺これから生徒会の仕事あるからもう行くわ」
「さっきの聞いてたの」
「俺の気持ちを知ってて無視するなんてひどすぎるやろ。
あんた何のつもりやねん」
昼休みの屋上の扉が強く閉まる。
綾部の傷ついていた顔が頭から離れなかった。
綾部が近場の裏庭で悲しそうに座り込んでいた。
その姿をたまたま歌音が見ていた。
「失恋でもしたのか?」
「野々口」
「お前が悲しそうにしてるから何かあったのか気になったんだ。
お前の気持ちはその程度なのか?」
「それは違う」
「なら諦めるな」
「そうやな」
綾部は生徒会室に向かう。
理由はなぜか華房に呼ばれていたからだった。
綾部が生徒会室に入る。
「会長何か用ですか?」
「何かあった麗人?
なんか悲しそうな顔しているね」
「黒崎にふられました」
「元々ダメもとで告白したんだからフラれる可能性もあってそれでもいいっていっていただろう麗人。
まあ黒崎さんを振り向かせるのって以外に大変かもしれないね」
真冬を困らせてまで好きでいるつもりはないが彼女を好きなままだった。
真冬と綾部はあれ以来ギクシャクしてしまいあまり話さなくなっていた。
真冬は気がつくと綾部をどう思っているか綾部のクラスメイト二人が聞きにきていた。
「黒崎さんあれ以来綾部とうまくいってねえな。
じゃあ心理テスト」
「綾部のことを考えていることが多く彼のことを考えていると胸が苦しくなる。
綾部にひどいことをいっていたのに無償に会いたくなる」
「イエス」
「綾部といると彼の声がやたらと耳にはいる。
綾部の支えになりたいと思う」
「イエス」
「「お前は綾部が好きなんだよ。
これは恋愛の心理テストなんだ」」
「今日は綾部は寮にいる。
有栖川に男装用の衣装借りるぞ」
カツラや男物の服を用意してくれていた。
なぜか他のマッチョも用意に協力してくれていた。
下校時間ギリギリまでかかっていた。
短めの金色の髪のカツラにカジュアルなジーンズだった。
長袖の白いシャツに柄物のシャツを合わせていた。
靴はシークレットブーツにしていた。
「黒崎って顔立ちが中性的なんだな。
男みたいだ。
あれなんかコーチ(夏男)に似てるような他人のそら似だな」
真冬が男装して寮内に入り込む作戦らしい。
ばれていたらかなり怒られる。
だがこの方法しかない。
有栖川たちも協力して寮に向かう。
だけど綾部は気がつくだろうかと考えていた。
夏男でもわかるくらいだから大丈夫なんだろう。
真冬は第1寮に入っていた。
綾部は気がつかないまま風呂掃除当番のチェックをしていた。
綾部が大浴場から出ると真冬の方を見ていた。
作品名:綾部と真冬のお弁当事情 作家名:アオイ