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One Year Later 2

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「そんなことが起こってたのか・・・ホムンクルスに地上の扉、天上の目・・・真理の扉か・・・」
「はい。」
ここは昼間訪れたトンネルの上の野原だ。ココで魂の入れ替えを行う術をする、夜明けまで待とうってことになって、ナギさんにずっとこれまでのことを話した。
「結構、人生波乱万丈なんだな、アル。」
「そ、そうですか?」
「うん、私と同じくらいかな。肉体がないまま魂だけで過ごすなんて・・・なかなかない体験だよね。」
「・・・そうですね。」
・・・鎧のときに、体がないって知られたとき、いろんな反応があったけど、ナギさんみたいに一つの体験として言う人はいなかった。うん、やっぱり少し父さんに似ている。
「そしてその間に体は真理の扉の前にあった・・・か。ま、なんとなくだけど、今回のコレ、わかった気がする。」
コレと言って、ナギさんはお互いの体を交互に指差す。
「魂が入れ替わったことですか?」
「そう・・・私の魂、半分はそこにあるから。」
「えぇ!?」
「産まれるときにね、ちょっと母親がバカな人で・・・早く産むために禁忌に手を染めたんだ。結果、母親は死に、私は魂が体から抜けやすい特異体質ってなったわけ。」
「そ、そんなことが!?」
「うん、世の中いろんな人がいるよね。」
そ、そういう問題なんだろうか。ちょっと答えに詰まると、ナギさんは優しく笑った。
「気にしない、気にしない。命があるだけメッケものだよ。
そんなことより、ホーエンハイムが夢を半分叶えたって聞いて、ちょっと安心した。」
「父さんの夢?」
「そう、不老不死になった凄腕錬金術師の夢ってなんだ?って聞いたことがあるんだ。そしたら、ホーエンハイムは何て答えたと思う?」
「・・・わかりません」
「『大切な人と一緒に年を重ねて死にたい』だってさ。」
「・・・・・・父さん。」
「不老不死になったのに、死にたいっていう答えには驚いたけど・・・人間、そんなものかもしれない。どんなに大きな力を手に入れても、結局願うことは普通のことなんだ。」
「そうですね。・・・何だかナギさんと話をしていると父さんのこと、いろいろ知らなかったってことがわかります。」
「あー、うん、あの人、基本的に言葉が足らないからな。・・・ホーエンハイムのもう一人の息子、エドワード・エルリックが話していた怪しい人って自分のことだとわかって実は結構ショックだよ。」
「兄さん・・・何て言ってたんですか?」
「要約すると、怪しい錬金術師をココで見なかったかってことだな。錬金術師だけれども怪しいコトをしている自覚なかったから知らないって答えたんだけど、アレ、今考えると私を探していたんだな。・・・この錬成陣を使ってトンネルを壊した者を探していたんだろ?」
「はい。その、あの、ゴメンなさい。怪しい人扱いで・・・」
「そこなんだよ、ホーエンハイムが一言、国土錬成陣は心配するな、壊す人を頼んでいるとかなんとか、誰かに伝えていれば怪しい人扱いにならんですんだんだが・・・」
「すみません。」
「いや、アルが悪いわけじゃないから、謝らなくていいよ。エドワードの名前を聞いたときに、ホーエンハイムのことを言い出せば良かったんだけど、まさか息子と出会うなんて思ってもいなくって。姓も違ってたし。それにホーエンハイムの話だとエドワードは5歳で、アルなんか4歳だって聞いてたし、まさかこんな大きい息子とは知らなかったんだ。
はー、ホーエンハイムの時間の流れの感覚、やっぱおかしいんだな・・・あのとき、エドワードに言っていたらこんなことにはならなかったかも・・・いや、やっぱりどう考えてもホーエンハイムが悪いとしか思えないな。長生きしてても言葉が足りない。」
「そうですね。」
父さん。それって父さんと別れたときの僕たちじゃないか。それを昨日のことのように話してたのかな。
「さてと・・・そろそろ夜明けだ。準備をするか。」
そう言うと、僕の姿をしたナギさんは、ポケットを探って、・・・固まった。
「間違えた。これ、私の服じゃなかった。アル、私の服のポケットから剣を出してくれないか。」
「はい。」
慌てて探ると、メイのとよく似た剣が8本あった。渡すと、ナギさんは無造作にそれを上に投げた。
トス トス トス
きれいにナギさんを中心に同心円状にナイフが地面に刺さる。直径約5メートルの円があっという間にできる。
メイのときにも思ったけど、一度に投げてこのコントロールは凄い。しかも8本。メイよりも上手だということだ。

「アル、夜明けと同時に発動させる。錬成陣が光り出したら、この陣の中に入るんだ。多分、それで元に戻る。・・・やったことないからあくまで多分なんだが、ここは龍脈が充分に行き渡っているから成功すると思う。」
「わかりました。」
だんだん東の方から空が明るくなる。
中心で複雑な組み手を繰り返していたナギさんが、地面に両手を着く。

「今だっ!!」

合図と同時に錬成陣の中に足を踏み出す。
朝日が昇った。同時に錬成陣も光りだす。

同じタイミングでこの場にいない、聞きなれた声が聞こえた。

「アルーーーっ!!」

「兄さんっ!?」

振り返ると、錬成陣の光越しに車がこっちに突っ込んでくるのが見えて・・・兄さんとリンさんと大佐がいて・・・

「どけ、鋼の」

大佐が発火布をした手で指を鳴らそうとしていた。

「やめろっ!!もう術は発動しているんだ、そんなことしたら・・・よせーーっ!!」

ナギさんの焦った声が聞こえて・・・大佐の指から赤い光線が出て、錬成陣に当たるか否かの瞬間、まるで爆発みたいな光の洪水に飲み込まれた。



「たったった・・・何が起こったんだ。」
俺はかろうじて座席にしがみついていたがしばらく気を失っていたみたいだ。中尉も運転席で気を失っている。
周りを見回すと、車の近くにリンが倒れていて・・・なぜか大佐は錬成陣の近くで、アルとナギだったかナーグだったか・・・の近くに倒れていた。

「アルっ!!」

慌ててアルの近くに駆け寄る。良かった息はしている。

「おい、大丈夫か、アルっ!!アルフォンスっ!!」

俺の声に気づいたのは、アルじゃなくってもう一人の方だった。

「うっ・・・たく、あのバカ・・・なんてことをしやがるっ・・・」

「あんた、ナギ・・・ナーグなのか?」

「・・・エドワード・エルリックか。ナギでいい。・・・はぁ、何とか戻れたみたいだな。」
ナギは自分の体を見回して、俺の腕の中のアルを見る。
「じゃぁ、アルも元に戻ったのか。」
「多分・・・私が元に戻ったんだから、アルも元に戻るだろう。それより、何でそんな怒った顔で見るんだ?」
「自分の胸に聞いてみやがれっ!!」
思わず怒鳴り返した俺の声に、アルが身じろぎした。
「うっ・・・何が起こったんだ・・・」
「アルっ!!」
「・・・鋼の?・・・」

・・・・・・・・・・・・えっ・・・・・・・・・

固まる俺に、ナギも驚いた目をしてアルを見ている。
「ちょ、ちょっと待て、アルっ!!お前アルだよなぁ!?お願いだからアルだって言ってくれっ!!」
「何を馬鹿なことをさっきから言っているんだ、鋼の・・・・・・・・なんで私の体があそこで倒れているんだ?」
作品名:One Year Later 2 作家名:海人