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Ib ~とある美術館での物語~

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プロローグ



ある日の昼下がり 灰色の空の下・・・

私と両親は美術館に向かっていた・・・

「忘れ物はないわよねイヴ?」

出かける前にお母さんが私に言ったことをふと思い出す。

「そうだ ハンカチは持ってきた? ほら 誕生日にあげたやつ。ちゃんとポケットに入れておくのよ? なくさないようにね」

その言葉を思い出しながら私はスカートのポケットにお母さんに言われたハンカチが入っているのを確認した。このハンカチはお母さんが私の五歳の誕生日にくれたものだ。当時の私はお母さんからのプレゼントにすごく喜んだ記憶がある。そのため今まで大事に思うあまり一度も使ったことがない。

「あ ほら見えてきた、アレが美術館だよイヴ」

お父さんの言うとおり前を見ると大きな建物が見えてきた。