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いい兄さんの日

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「刹那、おやつだけはダメだって。ちゃんと、ごはんも食べないと、おやつは無しだからな。」

「たまごかけごはん。」

「それは、明日。今日はファミレスかフードコート。」

 刹那は、近所の子供だが、父親だけの片親なので、以前から、ほぼニールが世話しているので、高校生になってもベタベタの甘えっこのままだ。ついでにティエリアも似た様なことなので、この二人は、ほぼディランディ家に住みついている。

「メモは? 」

「はい、これ。これを等分にして1000円になるように調整してくれるか? ティエリア。卵は、1000円買わないと安くならないんだ。えーっと、四、五、六だから、卵パックは六個ゲットのミッションだ。足りなかったら、お菓子か果物で調整。」

「了解した。行くぞ、刹那。立てっっ。」

 優秀な頭脳の使い道としては、しょぼいのだが、ニールにとっては、それぐらいがせいぜいだ。刹那が立ち上がると、ハレルヤがお姫様抱っこで、ニールを玄関へ運んでいる。こらこら、と、ニールの認識としては、大型ケモノにじゃれつかれているというところらしい。

「ライル、午後は譲ってあげるけど、今回だけだからね。」

 いつも温和なアレルヤが、ギロリと殺意に満ちた目で、ライルを睨んでから踵を返した。なんなんだろう? うちの兄の貞操って、ものすごく危険なんじゃないの? と、思いつつ、とりあえず、午後から実兄独占に浮かれてライルも立ち上がる。


作品名:いい兄さんの日 作家名:篠義