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新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第88話

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  第88話 「その名はカイゼルファイヤー」


  紬達が誘拐されてから数十分後。琴吹家に誘拐犯達からの犯行声明が届いた。琴吹社長が社
長室でネット上から届けられた犯行声明の映像を見ていた。

  犯人達の音声が社長室に響く。その映像には手足を縛られ猿轡をされた紬と菫、澪がいる。

  誘拐犯 「琴吹家の令嬢と関係する少女を二名を預かった。我々の目的はただ一つ。あなた
方と提携している旋風寺コンツェルンのマイトガインと轟龍の機密データの入手だ。そのついで
として、身代金・5億円を用意しろ。無論、警察に言った場合彼女たちの身は・・・言うまでも
ないですよね??まあ・・・時間がかかった場合でもある意味同じですが・・・うちの連中、欲
求が溜まっている者ばかりなんでね・・・・いやいや、失敬。ともかく、明日までに用意してく
ださい。」

  そこで映像は終わった。琴吹社長は机を強く叩いて憤った。

  琴吹社長 「ふざけるなっっ!!!わが娘や斉藤家の菫さんをも人質に取りやがってっっ・
・・!!!更に弄ぶ気でいると来ている!!!このままでは掛け替えない娘たちの身が・・・!
!!これは一刻も早く舞人クンに知らせねばっっ・・・!!!」

  一方の旋風寺コンツェルン社長室。舞人は大量の書類の目通しと社印を押す仕事に追われて
いた。

  舞人 「はぁ〜・・・今日も大量の報告書や企画書に終われる日々か〜・・・俺も学生だっ
たらな〜。」

  少年らしい愚痴をこぼしつつも、夕焼けが映るオフィスで仕事に励んでいる中、舞人のスマ
ホが鳴った。

  舞人 「おっと・・・・電話か!ん?琴吹社長から?!!はい!舞人です!!」

  琴吹社長 「舞人クンか?!!緊急事態だ!!我が娘とメイドの菫さんが何者かに誘拐され
てしまった!!」

  舞人 「何ですってっ?!!紬さん達が?!!」

  舞人は動揺に動揺を重ねた。大量の書類がバサバサと床に舞い落ちる。琴吹社長はそのまま
話を進める。

  琴吹 「やつらは君達が所有するマイトガインと轟龍のデータ入手が目的だ!!!無論これ
はSレベルの企業秘密事項・・・・・無闇にはできん。だが、紬達の命がかかってしまっては別
だっ・・・警察に協力を仰げばどうなるかわからん・・・どうすればいいのだ?!!」

  舞人に問う琴吹社長。警察にも話せない。だが、限定的になら警察の協力が得られる環境が
あった。

  同じブレイヴ・フォースのメンバー、M.P.D.BRAVEのメンバーだ。早速舞人は熱
く行動に起こす決断をした。

  舞人 「・・・・・・警察なら大丈夫です!!!俺に考えがあります!!!」

  琴吹社長 「本当かね!!?さすがは舞人君だ!!!我が娘の身と命は、君に託した!!!
絶対に助け出してくれよ!!!」

  舞人 「はい!!!もちろんです!!!愛すべき俺の彼女が危険にさらされたんです!!!
今こそ全力で正義を貫いてやりますよっっ(俺は、今回の一件は絶対に許せない!!!待っていて
くれ!!!紬さん!!!)!!!」




  舞人からの報告を受けた要達は、出撃準備に取り掛かっていた。だが、直ぐに出撃するわけ
ではない。要が歩きながらメンバーや作業者に呼びかける。

  要 「出撃の準備が整ったら、しばらくの間、長期待機になる!!俺たちは、舞人達がうま
くやりきるのを待つしかない。誘拐された彼女たちの為にも、俺たちは今回ばかりは公に出撃す
るわけにはいかないからな!!」

  そう叫んだ要にジェイデッカー・バーニアン達が反論する。

  ジェイデッカー・バーニアン 『しかし、それでは奴らの思う壺じゃないですか!?我々が
犯罪者に踊らされてはならないはずです!!!』

  ガンレイバー 『そうっすよ!!言いなりになるこたぁないっスよ!!』

  ショットレイバー 『自分も同意見です。ここは対策本部を設置して・・・!!』

  要 「その意見も、もちろんだ。だが派手に動けば間違いなく犯人たちを刺激する。時が来
たときに俺たちは一斉に出撃する!!!それまで耐えろ!!!今回の誘拐事件はM.P.D.B
RAVEとしてではなく、ブレイヴ・フォースとして戦う!!仲間の一大事なんだからな!!」

  ジェイデッカー・バーニアン 『隊長・・・。』

  要 「市民を救うことはもちろん、仲間の緊急事態に助力することでもあるんだ。とにかく
今は待機あるのみだ。絶えてくれ・・・・彼らの為にも!!」




  その頃、勇士朗は魔女の異次元に捕らわれていた。勇士朗を握り締めた魔女の強力な握力が
彼を締め付ける。

    ギギギギギイイイイ・・・ギリギリ・・・

  勇士朗 「ぐあああああああ!!!」

  全身を襲う激痛。今回の魔女もドライアス一味の暗躍でパワーアップした魔女だった。

  その姿はウルトラマンティガに登場した異次元人・ギランボに酷似している。

  巨人の魔女 「キュクケカカカカカカァ!!!」

  甲高い嗤い声が異空間内に木霊する。

  手足の自由を封じられ、握力による激痛に見舞われる故に、力の発揮ができない。増してや
三次元の世界では澪が紬達と共に謎の可変式ロボットによって連れ去られてしまった。

  勇士朗は悔しさと全身を襲う痛みの余りに、歯を力強く食いしばった。

  勇士朗 「くうぅ・・・・・っっ!!!」

  巨人の魔女は勇士朗を放しはしない。魔女は握り締めたまま、ダイレクトにマイナスエネル
ギーを勇士朗に浴びせる。

    ビギギギギギギュオオオオオオオ!!!  

  勇士朗 「があああああああっ・・・・!!!」

  放射能のようなマイナスエネルギーを直に全身を襲う。プラスエネルギーとマイナスエネル
ギーは相反するエネルギー。その前者のエネルギーと融合している勇士朗にとって一溜まりもな
い状況だった。

  巨人の魔女 「キャヒヒヒヒヒヒ・・・・・!!!」

  かつてない攻撃方法にひたすら圧倒されるしかなかった。更に持続する攻撃に遂には気を失
う。

  勇士朗 「澪・・・・!!!ぐはっ・・・・・っ!!!」



  紬達は本土から離れた孤島の要塞のような建造物内で監禁されていた。同乗していたSPは
すでに射殺されていた。

  牢のような鉄格子越しに、紬と菫の手首には手錠をかけられている。それでも状況を悟りき
った紬は毅然と輩と対峙する。

  紬 「こんな事をして一体何になるっていうの?!!あなた達の狙いは何?!!」

  輩 「ああ?んなもん、マイトガインの超AIのデータの入手に決まってんだろ?旋風寺と
琴吹の共同企業機密のシステムが手に入れば、今後のロボット業界に革命が起こるぜ・・・。」

  菫 「それで私たちを・・・・。」

  紬 「私達がそれで人質になるならかまわない。でも、私の友達とこのコは解放してあげて
!!彼女達はこの件に関係ない!!!」

  紬がそういうと輩たちはけたけたと嗤い始めた。

  輩共 「けけけけけけ・・・・ひゃはははは!!」  

  紬 「な、何がおかしいの?!!」