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新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第88話

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  紬が理不尽な疑問を投げかけると、彼らの奥から今回の首謀者たる男が出てきた。

                  BGM ♪ 「エグゼブ」

  首謀者の男 「くくくく・・・琴吹紬も、妹も、その友達も・・・・我々はとことん利用さ
せてもらうさ。」

  その男は一見、ダンディズムな長身の紳士的な中年男性だった。だが、言い放つ言葉がすで
に紳士ではなかった。紬は毅然な態度を維持して問い詰める。

  紬 「どういう意味?!!」

  首謀者の男 「せっかく女性なのだからね・・・・!!!おっと、これは二次的な話だ。我
々はあくまで旋風寺と琴吹が共同開発したハイテク技術が欲しいだけだよ。そうとも・・・・我
々には必要なんだ・・・マイトガインのデータが!!!」

  紬 「マイトガインのデータで何をする気なの?!!」

  首謀者の男 「・・・・・昨今、マイトガインの拠点がある東京に各国のマッドサイエンテ
ィスト達が我がロボットこそ最強と信じて疑わない物達が攻めて来ている。彼らは甘い。甘いの
だ!!!」

  紬 「言ってる意味がわからない!!!そんな話なんかどうでもいいわ!!!とにかく友達
とこのコを解放して!!!私だけでいいじゃない!!!」

  菫 「そんな・・・・お嬢様!!!」

  菫は自らを投げ出そうとする紬に驚き、思わず彼女の袖にしがみついた。首謀者の男はそん
な紬と菫に薄ら笑いを浮かべて話を続ける。

  首謀者の男 「まぁ、落ち着きたまえ・・・我々の考えはマイトガインそのもののデータを
参考にして最強のロボットを造るべきだと判断した。そして我々は客観的な戦闘データーの入手
のために、先日の横浜町田と本日のテロ行為を行う無人の戦闘ロボットをダミーとして送り込ん
だ。結果それなりのいいデータが取れた。あとは本体のデータを入手するのみ・・・我々の従来
の技術を加えれば確実にマイトガインを超えるスーパーロボットが造れる!!!」

  紬 「あの時のロボットが・・・・?!!」

  首謀者の男 「もっと言えば試しに君達を暗殺しようと思ったのだがね・・・・パイロット
の旋風寺舞人に精神的ダメージを与える為に好都合だったからな。しかし、もっと面白い方法
を思いついて本日に至った。」

  紬 「だからあの時私達を・・・・今、地球が異星人達から狙われているのにどうしてそん
な考えでいられるの!!?」

  首謀者の男 「だからこそだ・・・・ハカイジュウ大災害を見て思った。我々も対抗せねば
ならんとな。これも地球の人間の欲望の内さ・・・・そうそう、欲望といえば・・・・人間には
食欲、睡眠欲、そして性欲の三大欲求がある。」

  菫 「だからなんなんですか!!」

  菫が反発するような言い方で男に叫ぶと、男達はニンマリとしながら一斉に彼女達を見た。
その瞬間、紬は戦慄した。

  紬 「まさか――――!!!」

  首謀者の男 「くくく・・・さっき友達はどうしたと聞いたが、今頃は私の部下の手中に堕
ちている頃だと思うよ。」

  大切な友達が偶然にもカバンを間違えたことで最悪な事態にさらされてしまった。起こった
ことに紬にやりきれない悔しさにも怒りにも似た感情が込み上げる。思わず涙を込みあがらせて
叫んだ。

  紬 「・・・・・あなた達・・・・最低よっっ!!!」

  そう言い放った次の瞬間、男はがっと紬の口を塞いだ。

     ガッ!!

  紬 「っ・・・・?!!」

  菫 「お嬢様!!!」

  首謀者の男 「くくくくく・・・なんとでも。おっと・・・申し遅れていた。私は榎本腱と
いう者だ。」

  澪は手足に鎖を連結され、身体の自由を奪われたまま必死にあがいていた。

  澪 「いやっっ・・・・鎖なんか取れっっ・・・!!!誰があんたたたちなんかに!!!」

  男達 「強気だね?どうにかなるとでも思ったのかい??偶然にも乗っていた上玉なお嬢さ
んなんだ。メインの人質に手を出すまでの代わりといってもいいのかな?」

  欲望に満たされた中年男達は澪の両足を鷲掴みにした。

    がっ!!

  澪 「いやあああああああっっ・・・!!!!」

  男 「いただきますっっ!!!」

  頼みの綱であるリスターであるが、今回ばかりは戦闘できない状況下にあった。あろうこと
かこういう日に限って澪の部屋で忘れてきてしまったのである。何事もなくブレスレット形態の
ままリスターは眠っていた。

  魔が刺すとはこのことだろう。当然、澪の安全の有無に反応できない距離にあった。女子と
しての命に最大危機が訪れていた。この事が紬の脳裏に過ぎる。

  榎本は紬の口元を抑えていた手を離す。すると紬は悔し涙を浮かべて今の一番強い思いを叫
ぶ。

  紬 「許せない・・・・・絶対に許せない・・・・!!!」

  榎本 「別に許してもらおうとは思わん・・・。ただ私は目的のためには手段を選ばない主
義なんでね。」

  榎本は部下と共にその場を去っていった。紬は弄ばれようとしている澪を想う余り、さまざ
まな感情に駆られて泣き崩れてしまう。緊張の糸が途切れたのだろう。息苦しそうな泣き声が牢
屋に響いた。

  紬 「う、うああっ・・・・あぁああああぁぁ・・・!!」

  菫 「お嬢様・・・!!!」

  紬 「全部・・・・っく・・・・・私のせいだ・・・・私なんかのせいで・・・!!!学祭
前だというのに!!!」

  菫 「違うっ!!お姉ちゃんのせいじゃないよっ・・・・あ・・・。」

  菫は自己嫌悪する紬に、思わず家に二人だけでいるときの口調を出してしまった。彼女達は
本当の姉妹のような関係だった
のだ。

  菫 「ごめんなさい・・・つい・・・。」

  紬 「いいのよ・・・もう、誰もいないんだから・・・・うううっ・・・うううぅぅ。」

  菫 「うん・・・わかった。お姉ちゃん。」

  紬 「うぅぅ・・・・。」

  菫は堕ちてブルーになってしまった紬にそっと寄り添う。罪悪感や責任感、悔しさ等の感情
で苦しむ紬にそっと言った。

  菫 「悪いのは全部あいつらだよ。お姉ちゃんは絶対に悪くない。それに、丈さんや舞人さ
んが助けてくれるっ!必ず!!だって、正義のヒーローなんだから!!」

  紬 「菫ちゃん・・・・。」



  一方、舞人達は要達をバックアップに、救出作戦に出撃していた。グレートロコモライザー
とジェットモードの轟龍が夜空を飛ぶ。彼女達が捕らわれている場所は、ネットワーク上から榎
本自ら教えてきていた。

  舞人 「今回の戦いは紬さん達の命が掛かっている!!!だが俺達のデータを渡してそれで
済むとはとても思えない。まずは指定された場所へ向かい、そこから先はしばらく奴らの言葉に
従おう。」

  丈 「そして、そこから頃合を見計らって攻撃をかけるか?」

  舞人 「ああ。その時はバスターボンバーとフレアダイバーが攻撃を仕掛ける。その隙に俺
達は内部に侵入して紬さん達を救出する。安全を確保できたら後は要さん達と共に反撃に出る!
!!」

  丈 「潜入なら俺の得意分野だ・・・・。」