Ib ~とある美術館での物語(2)~
「ところであなた、なにか花をもってないかしら?」
「花?」
「そう、花ならなんでもいいわ」
「えっと・・・、バラならあるけど?」
そう言いながら私はポケットからバラを取り出した。
「あら、キレイなバラね、・・・早速だけどそのバラちょうだい?」
「え?」
「私ね花占いが好きなの・・・、まあ 私に限らずここにいる女性は皆花占いが好きなの」
そう言いながら絵の中の女の人は私の方へ近寄ってきた。近寄ってきたと言っても絵の中でだが。
「ねぇ、そのバラちょうだいよ、いいじゃないくれたって・・・」
段々と女の人の表情が変わっていくのがわかった。私は思わず後ずさりし始めた。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(2)~ 作家名:エグゼター