Ib ~とある美術館での物語(3)~
―イヴサイド―
私はなにかから逃げていた。
そのなにかは自分にもわからない、けれどそれから逃げなければと自分の中で理解はしていた。
逃げ道は一本道のようで真っ直ぐ進むとドアが一つあり、それを通ってまたしばらく進むとまたドアが一つある。
これまで一体何個のドアを通ったのだろうか。
一体どこまで逃げればいいのだろうか。
私はなにから逃げているのだろうか。
答えの出ない疑問が何度も浮かぶ。
何個目のドアだろうか、今まで簡単に開けられて来たドアが急に開けられなくなっていた。
何度もドアノブを回してみるが一向に開く気配がない。
(このままでは捕まる)
そう思ったとき、今まで開かなかったドアが独りでに開いた。
私はなんで?と思うよりも先に、進まなければと思いドアを通った。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(3)~ 作家名:エグゼター