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遮光カーテンの隙間から入る日差しがまぶしい朝だった。

８畳のワンルームのアパートの一室、
自分の部屋のベッドの上で佐藤は寝返りを打った。
遮光カーテンは青なので、部屋全体が薄暗く青い。
カーテンの隙間から入る朝日が自分の顔にちょうど当たっていて、
佐藤はまぶしさに目を開けることができなかった。
隣に寝ている他人のぬくもりが暖かい。
佐藤は隣の人物に手を伸ばした。

「柔らかい…。」

裸の細い肩を抱くと、
小柄なその人は佐藤の腕にちょうど良く収まっている。

「八千代…。」

佐藤は名前を呼んだ。
隣の相手が佐藤の腕から逃れようと身をよじりながら言った。

「佐藤くん、そろそろ起きないと…」

「まだもうちょっと。八千代…。」

言いながら、
佐藤は隣に横たわるその人の動きを制し、顔を近づける。

「好きだ…八千代。」

「バイト、遅れちゃうよ。」

その声は佐藤の良く知る人物のものだったが、
「轟八千代」の声とは違っていた。
目がようやく遮光カーテンの隙間からの光に慣れ、
視界がだんだんはっきりしてくる。
青みがかったストレートの黒髪。
八千代の黄色い髪ではない。
それに、八千代よりもずっと短い髪。

突然、佐藤は覚醒した。
彼はベッドから跳ね起きた。

「相馬！？」

「おはよぉー佐藤くん。」

隣に横たわるその人、相馬博臣は、
枕にひじをついてこっちを見上げ、
細い目をさらに細めてにっこりと笑った。