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「とこしえの 第一章 初陣(2)」

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「て、哲・・・!」
呼びかけて、どこに行ったかもわからなかったがその後を追おうと、慌てて立ち上がるが死体に足を取られて血に吸い込みきらずに溜まった血溜まりに手をついて倒れ込んだ。
 手にはぬるりとした、まだ生暖かいようなぬくもりが伝わってきた。
オレは阿呆か!戦場で血ごときで動揺するなど・・・!自分の胆力のなさに舌打ちして敵が流した血が自分に掛ろうが構わずに何度も地面を叩いて、先ほどの自分を恥じた。
 あの15年前のあの日のようにまた何処かえ消えてしまいはしないか。背筋に怖気が走るのを感じた。もう二度とあのような気持ちを味わうのはごめんだと思った。
 あんな空虚な思いをするのは、絶対に嫌だ、と。
「若!若!」
血溜まりの中で項垂れていると、あの目付役の武将の声が聞こえてきて、ハッとして顔を上げた。
「ここだ。ここに居る!」
そう声を張り上げると、直ぐに低木をザクザクとかき分けて武将が姿を現し、凄惨な状況にぎょっとして立ち止まった。
「わ、若、これは・・・!」
「待ち伏せにあった。哲がオレを守ったのだ」
「さ、左様で・・・」
表情を歪めて宗一を見たので、宗一はその視線を受け流して立ち上がった。
 恐らくオレも先ほどは哲博にあのような顔を見せたに違いないと、憎々しい気分になったて少し語尾を強めて将を睨みつけた。
「そなた、戦の後始末を頼んだはず、何故ここに居る」
「は、はい、若が戦場を離れられてすぐに伝令の者が駆けつけ本陣が奇襲された由にて、若の連れられた手勢では心もとなく、我が手勢を連れて追いかけましてございます」
将は慌ててそう釈明すると、宗一は苛立たしさを拭え着れずとも、八つ当たりする訳にも行かずに頷いた。
「そうか、では河原の戦いは・・・」
「はい、森永国博が本陣に居た能見の大将の首級を上げ、敵は完全に退却を始めました故、後を任せて参りました」
「よし、ならば陣形を整えて本陣に戻るぞ」
「は!」
宗一は死体を避けながら歩き出した。将はその後ろ姿に声を掛けた。
「・・あの、小姓の者は・・・若をお守りする役目があるのに側におらぬとは・・」
「オレが用を言いつけた。直ぐに戻る」
間髪入れずに宗一が言い切ると、目付役の将も納得せざるを得ずに黙った。
 そうだ、直ぐに戻って来る。
 そう自分に言い聞かせて、新たに用意された馬に跨がり菜護の兵達に進軍を下知した。


続く