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こらぼでほすと 解除1

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刹那たちを送り出してから、二日ほどして歌姫様が、寺へ来訪した。正式な報告を寺夫夫に告げるためだ。
「長らくかかりましたが、どうにかママの治療を行なえます。三蔵さん、明後日からママは本宅へ移っていただいて、体調を整えて宇宙へ上がっていただくことになりました。その間、ご不自由をかけますこと、なにとぞ、ご容赦くださいませ。」
 畳に正座して歌姫様が深くお辞儀する。寺夫夫は、どっちもびっくりだが、まあ、これくらいの報告をしたいぐらいに歌姫様も喜んでいるのだろう。芝居じみたことをして楽しんでいるらしいので、寺夫夫もスルーの方向だ。
「どのくらいの予定だ? 」
「クリスマスまでには降りてもらえる手筈です。」
「え? そんなにかかんのか? ラクス。」
 ニールとしては、さっと上がって、さっとトランザムバーストしてもらえば、あっという間のことだろう、と、簡単に考えていたのだが、そういうもんでもないらしい。
「治療自体は、さほど時間はかからないはずですが、そこまでの移動。それから、ママの蘇生。治療後の体調のチェック。それから、最後にトレミーのみなさんとの顔合わせと続きますので、その程度には時間がかかります。私が、地球へ降下するのと合わせて一緒に降りていただくつもりですから、これでも予定は、ぎゅうぎゅうではあるんですよ? 」
 プラントでのコンサートを済ませれば、また歌姫様は地上に降りて来る。それに合わせて、ニールも下ろせば公共機関を使わずに降りられるから、そういう日程を組んだとのことだ。いくら細胞異常を治せても、元々、体力的にはマイスターだった頃のようにはないのだから、移動も楽に出来るように考えた。
「二週間ってとこか。」
「そんな感じですね。それから、三蔵さん、年末年始のママは私とトダカさんで借りきりますので、そのおつもりで。」
「ああ? 」
「年末は、お里で、年始は娘の家で、ママにはゆっくり静養していただこうと思っております。なんでしたら、ご一緒されますか? 」
「冗談じゃねぇ。」
「では、そういうことでお願いいたします。食事事情の問題でしたら、うちからデリバリーをさせますが? 」
「八戒が、どうにかするから、いらん。」
「承知いたしました。」
 毎年の事ながら、ニールの争奪戦は激しい。トダカも、さすがに年末年始全部を歌姫様に譲るつもりはないから折半ということになった。俺のことなのに、俺の発言権とかはないのか? と、ニールは呆れているが、長い休暇の少ないラクスと一緒にいられる年明けあたりは付き合うつもりをしていたので文句は言わない。
「ママ、準備は何も必要ではございません。当日、私が迎えに参りますので、どうぞのんびりしていてください。」
「いや、本宅へ行くだけだろ? 誰かにアッシーしてもらうよ。」
「いえいえ、みんな、忙しいのです。」
「なんかあるのか? 」
「今回は、別荘から小型のジェットでオーヴへ移動しますので、その護衛にイザークとディアッカがMSに乗り込みます。ハイネはジェット機のパイロットですし、他の方は店がございます。」
「別荘? 」
 いつもなら、本宅から空港へ移動して、そこから個人所有のジェット機で移動する。それだと航空管制の中にいるので、よほどのバカでないと攻撃はしてこない。別荘からだと、その航空管制から外れるから、MSでの哨戒をしつつ飛ぶことになる。
「ママを冷凍処置して運びますから、その部分は隠密裏に運びたいのです。オーヴのほうは、問題はありませんが空港を使うと、マスメディアにひっかかる可能性がございます。」
「ああ、そういうことか。」
 確かに、ニールの身体を運ぶとなると、貨物扱いになって空港だと手続きなんかが発生する。そうなると、いろいろと面倒だから、そこいらを考慮したらしい。オーヴまで移動でもジェット機を使うから気圧の問題がある。ニールの体調を考えれば慎重に慎重を重ねたいというところなのだろう。
「難儀な身体だな? おまえ。」
「本当にねぇ。自分の身体ながら、厄介だと思いますよ。」
「オーヴからは、貸切のシャトルです。宇宙でシャトルからエターナルに乗り換えて、刹那たちとのランデブー地点付近まで運び、その間に、ママを蘇生いたします。・・・・そこから、エターナルはプラントへ移動。小型艇に、ママは乗り移っていただき、治療をしていただいて、一端、組織のラボへ移動していただき、エターナルとの時間調整をしていただきます。時間調整の時間に、あちらで体調のチェックと、組織の皆様との顔合わせができるという予定です。」
「それ、大半は俺、冷凍されてるってことだな? 」
「そうなりますね。」
 ニール当人は、別荘で冷凍処理されて治療が終わるまでは意識がない状態だ。何が起こっていても感知できる状態ではないから、完全お任せ態勢なんてことになる。
「うふふふ・・・オーヴに戻ったら、そこから一緒にプライベートジェットで帰りましょうね? ママ。その前に、カガリと一緒に食事もしましょうね? カガリも楽しみにしておりますの。」
「それはいいけど。あいつ、忙しいのに、そんな時間あんのか? 」
「作るそうです。」
 帰りの予定も説明されて、ニールも苦笑する。確かに治療さえしてもらえれば、気圧変化ごときで体調が崩れる心配もないはずだ。長いこと、カガリとも顔を合わせていないから、それはそれで嬉しい。
「カガリも報告だけ聞いて心配しておりました。ですから、元気になった顔は一番に拝ませろ、とのことです。」
「同じ顔だよ。」
「でも、気にしていましたから。」
「そりゃわかるけどな。」
 新しい連邦の創生に対して、オーヴも参加するのかしないのか、それでオーヴ国内も揉めていた。一応、参加の方向で調整はついたらしいが、そこまでは大変だったとは、ニールも聞いている。
「ドレスコードのあるような堅苦しい食事はやめろって言っとけ、ラクス。俺は、そういうのは拒否するぞ。」
「ほほほほ、もちろんですわ。カガリも好みませんもの。」
 サバイバルな生活を経験している国家元首様は、お上品な食事なんて好まない。どっちかといえば、居酒屋とかお好み焼き屋とか、そういうのが大好きな人だ。さすがに市井の店に繰り出すわけにはいかないが、そういう内容であるだろう。カガリも歌姫様も、ニールの細胞異常を治療する方法が見つからなくて、内心で焦れていたから、治療できる方法が見つかって、安堵している。自分たちでは見つけられなかったが、それでもいい。治療さえできれば、これからはオーヴへも遠征してもらえるし、どこへだって付き合ってもらえるからだ。



 歌姫様の説明に、とりあえず、二週間分の段取りはしておかなければ、と、寺の女房は、せっせと家事を片付ける。洗濯は悟空がしてくれるだろうが、まあ、それでも二週間分の下着の準備だけはしておく。それから食事関係だ。夜は、店で食べさせてもらえるだろうから、いいのだが、坊主の昼とかおやつなんかは用意しておかないと気になる。
「塩辛の瓶も買って来い。それと金山寺味噌。」
「ということは、きゅうりは必要ですよね? 生ものは買い置きができないから、途中で買い足してくださいよ? 」
「サルが、どうにかすんだろ。」
作品名:こらぼでほすと 解除1 作家名:篠義