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こらぼでほすと 解除2

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翌日の夕方、寺の人間がバイトに出る前に、歌姫様が現れた。そして、なぜだか、悟空も拉致られる。悟空のほうも頼みたいことがあったから、一緒に本宅に出向いた。ニールはドクターに預けて検査をしてもらう。歌姫様も最後の準備で、バタバタしたが終わって、ようやく二人っきりになった。
「悟空、今夜、ママを別荘に運びますが、今夜のクスリを飲ませていただけますか? 」
「やっぱり、そうか。」
 悟空も、それが気になっていた。ニールの身体は、現在、毎日服用させている漢方薬で維持している。たとえ、一日だけといえど、それをしないと、翌日、どうなるか判らない。そこが、とても心配だった。なんせ、壊れているところを、寝ているうちに治しているのだから、一日飲まなければ、壊れている箇所が悪化する。それも、即死しそうな箇所だった場合は、一日のことといえど危険極まりない。
「クスリは持ってる。預けておくぜ、ラクス。」
「いえ、そのクスリは人間が手にするのは憚られるものだとお聞きしています。ですから、悟空にお願いしたいのです。今夜、別荘に移動するつもりですから、そこからは冷凍処理させますので問題はございません。」
 あまり人目に着かない時間となれば、視認の難しい夕刻以降ということになる。その時間に別荘で冷凍処理してオーヴへ移動すれば、シャトルで宇宙へ出発するのは真夜中の時間になる予定だ。それなら、マスコミも騒がない。悟空たちが扱っている漢方薬については、ラクスも慎重に対応すべきだと考えていた。万が一にでも、この情報が漏れることがあったら、それこそ世界が騒ぎになる。だから、クスリは悟空に自らで飲ませてもらうつもりだった。検査が終わったら飲んでもらえばいいだろう、と、歌姫様は考えていた。
「ラクスのことは信用してるよ。とりあえず、今夜の分と予備の一回分を渡す。後、滋養の漢方薬の丸薬。これだけは飲ませてくれ。別に、俺は全部渡してもいいぜ? ラクスは俺と兄弟みたいなもんだろ? 」
 おかんニールで繋がっているので、悟空にすれば、歌姫様はちょいと年上の姉という感じだ。竜丹を全部渡しても悪用されるとは疑わないぐらいに信用している。
「いえ、必要以上にはお預かりできませんよ、悟空。私、キラに何かあったら有無を言わさず使ってしまいそうですから。」
「それはわかるな。わかった。じゃあ、二回分な? でも、予備は使うことはないと思うから隠しとけよ、ラクス。もし、なんかあったら一回くらいキラに使ってもいいからな。」
「・・・悟空・・・」
「だって、キラがいねぇーと俺も寂しいもん。だから、いいんだ。それぐらいのことで叱られたりしない。」
 そのうち年齢的なことでお別れすることにはなるが、なるべく長く付き合いたいと悟空も願う。人界でできた親友だ。だから、キラに使うというなら、叱られてもいいと思える。ピルケースから六個の丸薬を出すと、歌姫様に渡す。歌姫様も、慌てて用意したケースに、それを収める。そして、滋養のほうは、そのまま渡す。これも人外の薬だが、こちらの効果はしれているから問題はない。
「ありがとうこざいます、悟空。」
「その代わり、ママのこと、頼むな? ちゃんと連れて帰ってきて? 後さ、もし刹那の治療が終っても体調悪そうだったら飲ませてくれ。これ、即効性だから。その時は、帰ってきてからキラの分は渡す。」
「もちろんですわ。」
「じゃあ、バイトに行って来る。」
 本宅のスタッフに店に送ってもらうように頼んで、悟空は帰った。六個の丸薬の入ったケースを握り締めて、歌姫様は悟空が消えた扉に向かって、深々と頭を下げた。おかんニールで繋がった兄弟だと言ってくれる悟空の言葉が、とても嬉しかったからだ。



「なんで、ハイネ? 」
「ああ? おまえは練習台なんだから、できる時は俺だろ? 」
「栄養剤なんかいいってっっ。」
「まあ、そう言うな。どうせ、今夜から、おまえは冷凍されてメシも食えないんだから、ちょっと栄養は足しておくほうがいいんだ。」
「なら、漢方薬を飲ませろ。」
「持って来てないんだな、これが。ほれほれ、大人しくしてないと余計に痛い目に遭うぜ? ママニャン。」
「いやだってっっ。」
「くくく・・・嫌がったところでやめるわけがないんだから、黙れ。それとも、わざと痛い目に遭いたいのか? それなら考慮するぜ? 」
 検査のついでに、と、ハイネが栄養剤の点滴の準備をしているのだが、会話だけを拾うと、いかがわしいこと、この上もないものだったりするので、側で聞いているドクターと看護士も肩を震わせていたりする。実際問題として、蘇生させて、そのまま治療してもらう予定だから、多少でも体調を維持させるために栄養補給は必要だった。さらに、冷凍処理する前にニールの体内に、ナノマシンやらを補う必要もあった。今回の冷凍処置は長期間のものではないから完全に凍らせるわけではなく、ある程度、心臓は動かしておく。そのためにナノマシンを体内に取り込ませる。で、従来なら看護士が処置するところを、ちょいと浮かれているハイネが代わったのだ。ハイネにしても、長かったな、と、感慨深いものがある。
「まあ、諦めてくれ、ニール。どちらにせよ、時間があることだし蘇生後のことを考えたら、栄養補給は必要なんだ。」
 検査の結果も上々で、細胞異常の悪化も止められている。これなら、問題はないだろう、と、ドクターも判断した。
 ブスッブスッと、いつものように何度か失敗されて痛い目に遭わされて、ニールも息を吐く。ハイネの練習台も、これで終わりだ。今度、地上に戻る時には、健常体だから治療されることもないだろう。
「よし、これで安静にしてな。・・・じゃあ、ヘリの手配をしてきます。」
 ハイネはやるだけやったら、さっさと医療ルームから出て行く。まず、ドクターたちを別荘に運び、冷凍処理の準備をしてもらわなければならない。小型の医療ポッドの調整をして、冷凍処理してニールを収めるからだ。準備には、小一時間はかかるので、その間にニールに栄養補給をさせることになっていた。ドクターたちも、ぞろぞろと部屋から出て行くので、放置かよ? と、ニールは、ぶへーっと天井を見上げる。点滴のボトルの容量からすれば、三十分か一時間近くかかるはずだ。その間、横になっているのも退屈だ。テレビぐらいつけていってくれればいいのに、と、思っていたら、ドクターたちが誰かと会話している声がして、扉から入れ替わりに、歌姫様がやってきた。
「検査結果は良好ですわ、ママ。」
 ニコニコとベッドの側の椅子に腰を下ろしつつ、歌姫様は笑いかけてくる。いつも通りの笑顔だが、長年、付き合っているニールが見れば、ちょっと浮かれている感じの笑顔だ。いろいろと苦労もかけてるだろうし、心配もされていたから、治ると判って、歌姫様ですらはしゃぎたい気分であるらしい。とはいえ、浮かれていて仕事を疎かにされても困るから、おかんとしては小言の一つもくれておく。
「コンサートのほうが重要だろ? そっちのほうは準備できているのか? ラクス。」
「はい、そちらの準備は完璧です。ママが治療しているところに立ち会えないのが、とても残念でたまりません。」
作品名:こらぼでほすと 解除2 作家名:篠義