こらぼでほすと 解除3
さて、その頃、吉祥富貴では予約客がないから、大盛り上がりの宴会状態だった。ようやく、これでおかんの治療が出来るとなると、年少組も騒がすにはおれない。
「シン、酒はやめておけ。」
「レイは慎重だなあ。もう、なんもないだろ? 」
「エターナルとのランデブーまでは素面でいるべきだ。何かあったら、俺たちが飛ぶことになるんだぞ? 」
万が一の場合、キラが司令塔となって実働はシンとレイが担当する。だから、無事にエターナルに合流するまで、店で待機の予定だ。夜明け頃の予定だから、そこまでは飲酒させない、と、レイがビールの缶をシンから取上げる。
「たぶん、大丈夫だと思うんだけどね。・・・ただ、ちょっと気になるのは、特区の海域にユニオンの空母があるんだよね。」
キラのほうは、携帯端末で、それらの情報をチェックしつつ、おやつのシュークリームをぱくついている。今夜は、鷹がラボの担当で留守しているから、残っているのは対人間組とシン、レイ、キラ、アスラン、トダカという面々だ。
「それより、キラ。俺は、こっちのほうが気になるよ。なんで、今頃、ユニオンの一個小隊が、特区のほうに出張ってるんだ? 」
「なんか、来週、会議があるから警護らしいよ? アスラン。」
基本、特区はユニオンの特別自冶区で、ここでは軍関係の展開は少ない。経済特区だから、そういう荒事は発生しないから駐屯しているのも、僅かのものなのだ。それなのに、いきなりグリーンベレークラスの一個小隊がやってきたから、アスランは不審に思っている。
と、そこへエントランスで小型の爆発音だ。はっとして全員が警戒態勢に入る。アスランが、まずキラを事務室に隠し、シンとレイがトダカから投げられた銃を手にする。カウンターの三蔵は懐に手を入れているし、紅が厨房から走ってきた。
ドスッという音と共に、スーツ姿ながら、どこからどう見ても軍隊な集団が押し入ってきた。『吉祥富貴』は会員制なので、外からは普通には侵入できない仕組みだ。おそらく、鍵を爆破したのだろう。
「いらっしゃいませ、ご予約はされておられませんね? どちら様の関係者でしょうか? 」
レイは背後に銃を忍ばせたまま、優雅にエントランスに立ちはだかる。ということは、裏からも侵入者はあるだろう。そちらには、気付いた紅が向かっている。事務室組と厨房の爾燕も裏のほうへ走った。
ジャキッと撃鉄の上がった音と共に、その集団がレイに銃を向ける。レイは動じていない。
「ご用件は? 」 と、さらに続けると、「キラ・ヤマトを出せ。」 との返答だ。
「承知いたしました。では、こちらに。」
くるりと踵を返して、エントランスからホールへ先導する。ホールに入るには、廊下がある。ホールに入るところで、レイは横に飛び退いた。そこには、悟空が居て、いきなり突進してくる。狭いから周囲に展開できない面々は、慌てて銃で狙ってくるが、そんなものはお構いナシだ。集団の真ん中辺りに飛び込んで、片っ端からタコ殴りにしていく。集団の先頭部分は、ホールへと躍り出てくるが、そこにシンとレイが待ち構えている。ほぼ乱闘状態だ。カウンターの内と外で、トダカと坊主は、のんびりと観戦しているが、レイが不利になったら、すかさずトダカがレイを狙っている相手に酒瓶を直撃させているし、シンが転がされたら、坊主がマグナムで相手の肩を撃ち抜くという参戦はしている。
「なんで酒瓶なんだ? トダカさん。酒がもったいねぇーぞ。」
「大丈夫だ、三蔵さん。投げているのは安いカクテル用のリキュールの瓶だから。」
「それならいいんだが。」
こんな会話をしつつな程度に余裕はある。あんたら、遊んでないで手伝えよっっ、と、シンは怒鳴っているが聞いちゃいねぇーのだ、この二人。適当に敵を片付けてはくれている。
対して、裏から侵入したほうは、事務室から出てきた悟浄と八戒、紅、爾燕の肉弾戦チームに、ボコボコにされていた。こちらも扉からの侵入だから、一斉にはかかれない。それに、どういうことなのか、その扉に向かって鎖鎌で攻撃されるわけで、こちらも次々と敵はなぎ倒されていく。
「悟浄、照明は壊さないでくださいよ? 」
「わーってるよ。兄貴、外のヤツ任せてもいいか? たぶん、どっかに足があるだろ? 」
「おう、紅と引き摺ってくる。」
肉弾戦組四人だと、裏からの侵入者は、あっという間に片付けられた。殺すと面倒だから、怪我程度で転がしている。この侵入者たちの足があるはずだから、そこいらの探索に紅と爾燕が出る。店の前に大型のバンが二台停車していてわかりやすかったので、どちらの運転手も引き摺りだして、店に連行してきた。
わすが数分で、侵入者は全員ホールに転がされた。多少、怪我しているのもいるが重傷ではない。とはいうものの、面白くないからシンとレイが全員を後ろ手に拘束する。細い針金で両手の親指を縛ってしまえば抵抗はできない。
「自爆テロの心配とかありませんか? 」
「聞いてみればいいだろう? 誰が瀕死になりたいんだ? 」
もちろん、キラは事務室で待機している。何かあっては困るから、この侵入者たちには近寄らせない。キラのほうも、すぐに情報を検索しはじめている。こちらに、こんなことがあるからには、歌姫様のほうも心配だからだ。
「とりあえず、腕から一本ずつ折る? 」
「いや、悟空、そういうことなら指の関節を一本ずつがいい。」
「そんな面倒なことしないで、目玉とか潰したほうが早くね? 」
侵入者は十数人。それを取り囲んでいる面々は物騒なことをほざいている。トダカと三蔵は、参戦が終わると、ふたりしてビールで乾杯するという優雅なことになっているが、そちらはスルーだ。
「喋るつもりはないらしいですよ? 悟空。」
「うーん、じゃあやっちゃうか? 八戒。」
「そうですね。この方たちも任務に失敗して、おめおめとは帰れませんでしょうし。ここは武士の情けで潔く死んでいただきましょうか。あと、店を壊した弁償費の請求もしなくちゃいけませんね? とりあえず、あなた方の生命保険の受取人なんか教えてもらってもいいですか? 請求は、そちらにいたしますので。」
くくくくく・・・と爽やかに笑っている八戒だが、とても怖い。店を壊しやがったな? という怒りのオーラが背後から立ち上っている。
侵入者の集団も顔色が悪くなってくる。ただのホストクラブのホストを拉致するという簡単な任務だと思っていたからだ。それなのに、何もできないままにボコボコにされるという恥ずかしい目に遭わされているのが信じられない光景だ。
「ここで殺すと運ぶのが面倒じゃないか? 八戒。」
「そうですね。とりあえず徒歩で移動してもらいましょうか。魚のエサにするのが手っ取り早いですね。」
「遊んでる場合じゃないですよ? 八戒さん。とりあえず、こいつらは外へ放置しておけばいいんじゃないですか? 」
ネチネチと言葉で苛めている八戒に、レイが声をかける。ここに襲撃してくるなら、おそらく歌姫様のところにも何かしらのリアクションはあったはずだ。そちらには、レイの大切なママがいる。
「不法侵入ですけど、そこいらはもみ消しされるでしょう。・・・さて、どうしますかねぇ。」
「シン、酒はやめておけ。」
「レイは慎重だなあ。もう、なんもないだろ? 」
「エターナルとのランデブーまでは素面でいるべきだ。何かあったら、俺たちが飛ぶことになるんだぞ? 」
万が一の場合、キラが司令塔となって実働はシンとレイが担当する。だから、無事にエターナルに合流するまで、店で待機の予定だ。夜明け頃の予定だから、そこまでは飲酒させない、と、レイがビールの缶をシンから取上げる。
「たぶん、大丈夫だと思うんだけどね。・・・ただ、ちょっと気になるのは、特区の海域にユニオンの空母があるんだよね。」
キラのほうは、携帯端末で、それらの情報をチェックしつつ、おやつのシュークリームをぱくついている。今夜は、鷹がラボの担当で留守しているから、残っているのは対人間組とシン、レイ、キラ、アスラン、トダカという面々だ。
「それより、キラ。俺は、こっちのほうが気になるよ。なんで、今頃、ユニオンの一個小隊が、特区のほうに出張ってるんだ? 」
「なんか、来週、会議があるから警護らしいよ? アスラン。」
基本、特区はユニオンの特別自冶区で、ここでは軍関係の展開は少ない。経済特区だから、そういう荒事は発生しないから駐屯しているのも、僅かのものなのだ。それなのに、いきなりグリーンベレークラスの一個小隊がやってきたから、アスランは不審に思っている。
と、そこへエントランスで小型の爆発音だ。はっとして全員が警戒態勢に入る。アスランが、まずキラを事務室に隠し、シンとレイがトダカから投げられた銃を手にする。カウンターの三蔵は懐に手を入れているし、紅が厨房から走ってきた。
ドスッという音と共に、スーツ姿ながら、どこからどう見ても軍隊な集団が押し入ってきた。『吉祥富貴』は会員制なので、外からは普通には侵入できない仕組みだ。おそらく、鍵を爆破したのだろう。
「いらっしゃいませ、ご予約はされておられませんね? どちら様の関係者でしょうか? 」
レイは背後に銃を忍ばせたまま、優雅にエントランスに立ちはだかる。ということは、裏からも侵入者はあるだろう。そちらには、気付いた紅が向かっている。事務室組と厨房の爾燕も裏のほうへ走った。
ジャキッと撃鉄の上がった音と共に、その集団がレイに銃を向ける。レイは動じていない。
「ご用件は? 」 と、さらに続けると、「キラ・ヤマトを出せ。」 との返答だ。
「承知いたしました。では、こちらに。」
くるりと踵を返して、エントランスからホールへ先導する。ホールに入るには、廊下がある。ホールに入るところで、レイは横に飛び退いた。そこには、悟空が居て、いきなり突進してくる。狭いから周囲に展開できない面々は、慌てて銃で狙ってくるが、そんなものはお構いナシだ。集団の真ん中辺りに飛び込んで、片っ端からタコ殴りにしていく。集団の先頭部分は、ホールへと躍り出てくるが、そこにシンとレイが待ち構えている。ほぼ乱闘状態だ。カウンターの内と外で、トダカと坊主は、のんびりと観戦しているが、レイが不利になったら、すかさずトダカがレイを狙っている相手に酒瓶を直撃させているし、シンが転がされたら、坊主がマグナムで相手の肩を撃ち抜くという参戦はしている。
「なんで酒瓶なんだ? トダカさん。酒がもったいねぇーぞ。」
「大丈夫だ、三蔵さん。投げているのは安いカクテル用のリキュールの瓶だから。」
「それならいいんだが。」
こんな会話をしつつな程度に余裕はある。あんたら、遊んでないで手伝えよっっ、と、シンは怒鳴っているが聞いちゃいねぇーのだ、この二人。適当に敵を片付けてはくれている。
対して、裏から侵入したほうは、事務室から出てきた悟浄と八戒、紅、爾燕の肉弾戦チームに、ボコボコにされていた。こちらも扉からの侵入だから、一斉にはかかれない。それに、どういうことなのか、その扉に向かって鎖鎌で攻撃されるわけで、こちらも次々と敵はなぎ倒されていく。
「悟浄、照明は壊さないでくださいよ? 」
「わーってるよ。兄貴、外のヤツ任せてもいいか? たぶん、どっかに足があるだろ? 」
「おう、紅と引き摺ってくる。」
肉弾戦組四人だと、裏からの侵入者は、あっという間に片付けられた。殺すと面倒だから、怪我程度で転がしている。この侵入者たちの足があるはずだから、そこいらの探索に紅と爾燕が出る。店の前に大型のバンが二台停車していてわかりやすかったので、どちらの運転手も引き摺りだして、店に連行してきた。
わすが数分で、侵入者は全員ホールに転がされた。多少、怪我しているのもいるが重傷ではない。とはいうものの、面白くないからシンとレイが全員を後ろ手に拘束する。細い針金で両手の親指を縛ってしまえば抵抗はできない。
「自爆テロの心配とかありませんか? 」
「聞いてみればいいだろう? 誰が瀕死になりたいんだ? 」
もちろん、キラは事務室で待機している。何かあっては困るから、この侵入者たちには近寄らせない。キラのほうも、すぐに情報を検索しはじめている。こちらに、こんなことがあるからには、歌姫様のほうも心配だからだ。
「とりあえず、腕から一本ずつ折る? 」
「いや、悟空、そういうことなら指の関節を一本ずつがいい。」
「そんな面倒なことしないで、目玉とか潰したほうが早くね? 」
侵入者は十数人。それを取り囲んでいる面々は物騒なことをほざいている。トダカと三蔵は、参戦が終わると、ふたりしてビールで乾杯するという優雅なことになっているが、そちらはスルーだ。
「喋るつもりはないらしいですよ? 悟空。」
「うーん、じゃあやっちゃうか? 八戒。」
「そうですね。この方たちも任務に失敗して、おめおめとは帰れませんでしょうし。ここは武士の情けで潔く死んでいただきましょうか。あと、店を壊した弁償費の請求もしなくちゃいけませんね? とりあえず、あなた方の生命保険の受取人なんか教えてもらってもいいですか? 請求は、そちらにいたしますので。」
くくくくく・・・と爽やかに笑っている八戒だが、とても怖い。店を壊しやがったな? という怒りのオーラが背後から立ち上っている。
侵入者の集団も顔色が悪くなってくる。ただのホストクラブのホストを拉致するという簡単な任務だと思っていたからだ。それなのに、何もできないままにボコボコにされるという恥ずかしい目に遭わされているのが信じられない光景だ。
「ここで殺すと運ぶのが面倒じゃないか? 八戒。」
「そうですね。とりあえず徒歩で移動してもらいましょうか。魚のエサにするのが手っ取り早いですね。」
「遊んでる場合じゃないですよ? 八戒さん。とりあえず、こいつらは外へ放置しておけばいいんじゃないですか? 」
ネチネチと言葉で苛めている八戒に、レイが声をかける。ここに襲撃してくるなら、おそらく歌姫様のところにも何かしらのリアクションはあったはずだ。そちらには、レイの大切なママがいる。
「不法侵入ですけど、そこいらはもみ消しされるでしょう。・・・さて、どうしますかねぇ。」
作品名:こらぼでほすと 解除3 作家名:篠義