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こらぼでほすと 解除3

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「面倒だから魚のエサでいいんじゃないか? 八戒。」
「俺と紅で始末してこよう。そのほうが手っ取り早い。」
 紅と爾燕も容赦のない言葉だ。一々、人命尊重とかほざくつもりなんて、さらさらない。やったらやり返すが基本だ。
「まあまあ、お二人さん。そんな過激なことはしなくてもいい。・・・ここには防犯カメラが設置されているんだ。それが証拠になるし、この人たちの顔も全部映してあるからね。外のクルマに叩き込んでおけばいい。私たちの顔や会話はぼやかしておけばいいんだ。」
 ようやくトダカが具体案を出す。あちらも全員の顔を晒されては問題があるだろうし、あの負けっぷりの映像も流出されては困るだろう。裏口から連れ出してくれ、と、トダカが指示をすると対人間チームのほうが、ひょいひょいと人間たちを担いでいく。リーダーと思われるのだけ残しておいた。
「どちら様ですか? 」
 レイが優雅に尋ねる。とりあえず、ユニオンだと吐かしておくつもりだが相手も黙秘したままだ。すると、三蔵がスタスタとやってきて、マグナムを相手の眉間に突きつけた。
「言わないなら殺す。覚悟は出来てんだな? 」
 怖ろしく低い声で脅すが、口は割らない。けっっと舌打ちして、股間部分に一発だ。もちろん、ギリギリ外しているが、それでもビビルには充分な脅しだ。
「次は、タマをひとつ潰す。順々にサオまで潰してから内臓だ。それでいいか? 」
 本気の殺気なんてものを漲らせて、坊主にそう言われると、相手も息を飲む。ジャキッと撃鉄を上げる。まだ狙いは定めていない。タバコに火をつけて、スパーッと紫煙を吐き出した。それから、ニヤリと凶悪に笑って狙いを定めた。もう一発、銃声だ。
 相手は、ひぃぃぃーっと叫んで、自分の所属を明らかにした。ユニオンの一個小隊だとおっしゃったので、チェッと坊主は残念そうにマグナムで肩を叩いた。
「もう少し粘れよ? 俺が楽しめないだろ? 」
 そうおっしゃってから、坊主は敵の腹に蹴りを叩き込んだ。これで尋問は終了だ。もちろん、本気でタマを潰したわけではない。掠る程度には止めてある。
「これでいいか? 舅。」
「上々だ。じゃあ、それも運んでおいてくれ。」
 あいよ、と、悟浄が気絶した敵を担いで消えた。なるほど、と、シンとレイは感心する。あれぐらいじゃないと、敵も吐かないものだと学習した。というより、本気の肉弾戦組は洒落にならない強さだ。
「シン、呆けてないで事務室のキラ様の安全を確認してきなさい。」
 鋭くトダカに命じられて、シンも事務室に走る。そうなのだ。『吉祥富貴』の要はキラだ。そちらの安全を確認しなければならない。
 事務室に走りこむと、キラとアスランは真剣な顔で携帯端末を操っていた。「終わったか? 」 というアスランの問いかけに、「おう。」 と、返事する。
「ラクスが拉致された。ママも一緒だ。」
 アスランが低い声で、そう言うと、顔を上げる。イザークたちからの連絡が入ったので、キラは、そちらの情報収集を始めたが、いかんせん携帯端末では容量が足りない。事務室のハイスペックなパソコンも駆使しているが、それでもマザーのようには使えない。
「アスラン、とりあえず本宅かラボへ行く方法を考えて。」
 キラが、そう叫ぶ。ここでは満足な指示も出せないし、状況もはっきりしない。ラクスが拉致されたというのも、イザークからの情報だから、どういう状況になっているのか、はっきりしないのだ。店にあるシステムでは、それほど調べられない。
「なんで、ねーさんが? 」
 歌姫様は全宇宙規模に有名な人間だ。拉致されることもあるだろう。だが、シンの姉は、一応、市井の人だ。拉致される意味がわからない。
「たぶん、ヘリごと強奪された。イザークが言うには、ハイネからエマジェンシーも何も入らないままだったらしい。」
「強奪? 」
「MSならヘリを確保して飛び去るぐらいは朝飯前だ。行き先は空母と考えていいだろう。・・・だから、ママニールも一緒なんだ。」
「一緒って・・・ママは・・・」
 追い駆けてきた悟空は、ラクスからスケジュールは聞いていた。すでに、ママは眠っているはずだ。そんな無防備な状態で、耐Gのかかることをされたら、身体の保証が出来ない。
「僕らの移動は手配した。とりあえず、みんな、バラバラでエアカーに乗り込んで本宅へ入るよ? たぶん、ラボまでは無理だ。MSに攻撃されたら、ひとたまりもないからね。」
 キラは冷静に、そう判断して移動手段も確保した。アスランがシンの相手をしている間にやってしまったらしい。
「キラ様、こちらは私が後片付けをしておきます。」
「うん、お願い。トダカさん。」
 トダカは、後片付けをしてから合流する。まずは、店のほうを片付けておく。これといってデータ関係は保管していないが顧客情報やらはあるから、消しておくことにした。それから着弾している弾丸も壁や床から出しておく。内装は修理してもらわなければならないだろう。そちらは後日でいい。
「俺も行くっっ。」
 いつもなら、絶対に手伝わないはずの悟空が大きく宣言した。万が一、危険な状態ならクスリをさらに飲ませなければならない。それに、拉致されたのなら取り返す。刹那の許に無事に届ける約束はしたのだ。
「でも、悟空。」
「いいから、俺も連れて行け、キラ。」
「キラ、サルとイノブタは連れて行け。」
 坊主も背後からやってきて、その意見を肯定した。まずは情報確認が先だ。取り戻すのに、対人間の喧嘩があるなら、サルを参加させるほうが効率的なのは事実である。あるのだが、対肉弾戦組は、こういうことに関与しないことになっている。
「ですが、三蔵さん? 」
 アスランも不可侵の約束は知っている。悟空が、人間の戦いに参加することは、基本、認められない。
「サルが、おかんを奪い返すってんなら、言い訳はできるんだ。だから、そのつもりで考えろ。なんなら、カッパの兄弟とか、妖怪どもも参加できるぞ。元から俺は参加できるしな。」
「さんぞー、やっぱ気付いてた? 」
「当たり前だ。こういう場合の想定だろう。」
 以前、本山の上司様ご一行は、ニールを三蔵の女房認定して、悟空に、「おかんに何か遭ったら全力でやりなさい。」 と、許可をした。ニールは神仙界の入る予定のモノだから、悟空が庇護することは問題ではない、と、おっしゃったのだ。もちろん、悟空も、それを覚えている。おかんを助けるためなら、全力で暴れてもいいのだ。
「カッパの兄弟って・・・おい、この腐れ坊主、なんちゅーざっくりした呼び方だ。」
「三蔵、俺と八戒を、一つの括りにするのはやめてくれないか? 俺は、こいつとは種類が違うぞ。」
 一括りにされている相手が、とてもイヤなので、各人が反論していたりするが、そんなものはスルーだ。
「キラ、おまえの手足になってやる。ついでに、歌姫さんも連れ戻してくるからさ。」
「いいの? ごくー。」
「ああ、いいぜ。俺は、俺のおかんを連れ戻すんだ。ついでに、歌姫さんがおかんにくっついて離れないから連れて帰ったってことでいいじゃんか。」
作品名:こらぼでほすと 解除3 作家名:篠義