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こらぼでほすと 解除3

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 キラは、MSに乗せれば、「白い悪魔」になるが、白兵戦なんてものになれば戦力外だ。どう考えても空母の中を探すことになる。そうなると、悟空が暴れてくれれば、奪還もやりやすい。
「とりあえず、俺と紅はトダカさんのフォローしてから合流する。それまでに戦術は考えておいてくれ。紅、いいか? 」
「ああ、久しぶりに三蔵一行の暴れぶりを拝ませてもらおう。もちろん、俺も手伝うぞ。ニールには、いろいろと世話になっているからな。」
 爾燕と紅も手伝う気満々だ。こちらは神様枠ではないので、参戦は自由だ。一応、不干渉ではあるから、いままでは参戦しなかったが、オーナーとニールの奪還となれば、話は別だ。




 本宅からヘリで飛んだ歌姫様一行は、ゆっくりと別荘に向かっていた。三十分ほどのフライトだから、ハイネも副操縦席のヘルベルトも気楽なものだ。洋上に差し掛かったところで、レーダーが反応した。
「なんだ? レーダーが乱れたぞ? ハイネ。」
 それまで、綺麗に映っていたレーダーの画面が砂嵐になった。つまり、どこからか電波妨害を受けたということだ。マズイ、と、ハイネが降下する。狙われているなら、高度を下げて、どこかに避難しなければならない。
「オーナー、対ショック態勢をとってくれ。マーズ、ママニャンのシートベルトをしっかり固定しろ。」
 とりあえず、降下すると同時に、ハイネも指示を出す。どこから狙われるのかわからない。最悪、被弾した場合は、不時着地点も考えなければならない。残念ながら移動用のヘリには、武器はない。逃げるしか方法がないのだ。歌姫様のとなりに座っているヒルダは、すぐに歌姫様を庇うように対ショック態勢を取る。
「ヘルベルト、視界で確認出来る限り、やってくれ。俺は・・・」
 着地できる場所を探す、と、言いかけたところで、背後から衝撃だ。派手な音がして、グラリとヘリが傾く。
「ちっっ、後ろのローターか。」
 推進力を稼いでいる後ろのローターが被弾した。それから、すぐにグシャリと音がして、上部のローターも衝撃が起こる。
「やべぇー、MSだ。」
「どうりで、エマジェンシーも繋がらないはずだ。」
 フロントガラスには、MSの胴体部分が覆い被さっている。たぶん、ローターを破壊して、そのまま抱きついてきた。電波妨害されているから、イザークたちにも連絡がつかない。万事休すだと、ハイネは舌打ちする。
「潰される心配はなさそうだね。・・・ということは、オーナーが目的かい。」
「こんなところで仕掛けてきたってことは、ユニオンだろうな。」
 ここは、ユニオンの経済特区だから、ユニオンにしてみれば自国領ということになる。その中でMSが暴れても、誰も救援には来ない。とうとうヘリの電圧が落ちて機内は闇になった。非常電源にハイネが切り替える。
 しっかりと固定されると加速が始まる。どこかへ拉致される模様だ。やれやれ、と、ハイネは息を吐く。これぐらいで慌てていては、フェイスは勤まらない。だが、さらなる加速で、背後に振り向いた。ここには、その加速が問題になる病人が搭乗しているからだ。
「ヘルベルト、ママニャンは? 」
「意識はない。」
 ヘルベルトが確認して報告はくれるが、どうにもならないジレンマは感じる言葉遣いだ。あまり加速が続けば、確実にニールの身体は壊れる。
「くそったれっっ。なんちゅー時にやりやがるっっ。」
「ハイネ、落着いてください。悟空から予備の漢方薬を預かっております。もし、体調を崩されたら、もう一度、クスリを飲ませてみます。・・・・それから、交渉は、全て私くしが行ないますから、みなさまは黙って、あちらの指示に従ってください。私くしだけを拉致するということでしたら、そのほうが好都合です。」
 ラクスも腹は決まっている。こんなことをするのは、ラクス・クラインの名前を使いたいからのことだろう。ユニオンは、アローズの母体となったために、現在、旗色が悪い。それを解消するために、平和使節のラクス・クラインを広告塔にするぐらいは考える。それならそれでいい。とりあえず、ラクスが、あちらに従順に従えば、護衛は開放されるはずだ。その時に、ママを別荘に搬送させてしまえば、回復はさせられる。ラクスだけなら、後からキラが助けてくれる。だから、一時的にユニオンに拉致されても怖くない。
「だけど、オーナー。」
「私くしを殺すつもりなら、すでに殺されておりますよ? ハイネ。私くしは大丈夫。キラが助けてくれます。それまで、あちらで大人しくしておりますので、ハイネはママをお願いいたします。ヒルダさんたちも、そのつもりでいてください。人質が増えては、キラの救出も困難を極めますので。」
 こんなことぐらいで潰されたりしない。ピンクのハロの電源を入れる。ここから、ハロに撮影させる。ラクスが、どんな理不尽な要求をされるのか、きっちりと録画しておくためだ。


 移動の時間は長かった。実際は、一時間か二時間のことだろう。眼の前に光がある。それが空母だと視認して、ハイネは、また振り返る。シートに固定されているニールは、口から鼻から血が流れている。マーズも気付いて、脈拍の確認をしているが、振動が激しいから判り辛い。辛うじて呼吸していることは確認できた。
「ハイネ、救急キットから水を出してください。早くっっ。」
 歌姫様も気付いて、慌ててクスリを用意する。さっき飲ませているが、どこかが壊れたのなら、もう一度、飲ませたほうがいいだろうとの判断だ。ハイネから水を受け取ると、シートから離れた。
「ママ、飲んでください。」
 クスリを水で流し込む。喉が動いたかは解らなかったが、吐き出された形跡はない。これで時間は稼げるはずだ。
作品名:こらぼでほすと 解除3 作家名:篠義