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MuV-LuV 一羽の鴉

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 俺に負けた事が余程悔しいのか…単純に負けた事が悔しいのか、俺には分からないが、その悔しさを糧にもっと強くなってもらいたいもんだ。

 冥夜が降参の意を示してから、拘束していた腕を離し、体を起こす。

 俺に続いて冥夜も倒れていた体を起こし、俺に小さく礼を言ってから、元の場所に戻った。

 …余程悔しかったのだろう。

「さて…次、誰かやるか?」

 俺がそう言うと、俺の予想に反し、二人の女性が手を上げた。

 鎧衣と彩峰だ。

 冥夜との実力差を示し、俺の実力を皆に見せたはずなのだが…これは嬉しい誤算だ。

 思わず表に出てしまいそうになる笑みを抑えながらも、口を開く。

「…この際だ…今手を挙げた二人、同時にかかってこい」

 俺がそう告げた瞬間、二人の顔が少しばかり歪んだ。

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「っま、こんなもんだろ」

 地に立つのは俺、地に倒れているのは鎧衣と彩峰の二人。

 当然の結果といえば当然の結果だ。

「うぅ…強すぎるよ」

「…強すぎ」

 二人して同じ事を言う。

 決して鎧衣と彩峰の動きは悪くなかったけど…もう少し連携を取れば多少は結果が変わってたかもな。

 まぁ今回のこれは臨時タッグみたいなもんだ。それで連携を求めるのも酷、か…。

「大丈夫か?二人とも」

 そこまで力は込めていないが、それでも何発かは綺麗に決まったので多少体に影響が出ているかもしれない。

「僕は大丈夫です!」

 鎧衣は様子を見る限り大丈夫だろう。

「…大丈夫」

 彩峰も大丈夫そうだな。

「それじゃあ次はどうする?誰かやりたい奴はいるか?」

 一応確認の意味も込めてそう言うが、これ以上、誰の手も上がる事はなかった。

 珠瀬に関しては顔を下に俯かせており、俺との視線を必死に合わせようとしていないことが分かる。

 …ちょっとからかってみるか。

「珠瀬訓練兵!」

「ひ、ひゃい!」

 突然俺が大声を上げたからなのか、それとも自分の名前が呼ばれたからなのか、取り敢えず俺の期待通りの返事をしてれた珠瀬訓練兵。

「君はどうする?」

「わわわ、私は!」

 まさか自分が指名されるとは思ってなかったのか、かなりの様子で慌てている。

 誰がどう見てもこの状態で格闘訓練は無理だろう、と判断出来るレベルだ。

「シルバさん。あんまりタマをいじめないで下さい」

 突然声のした方に振り返ると、そこには白銀の姿。

 香月との話し合いは終わったのだろうか?まだ一時間もたっていないが…。

「あ、大丈夫ですよ。ちゃんとXM3に関しては説明してきました」

「そうか…ありがとう。それでどうなった?」

「特に問題はないらしいです。高性能CPUの方は既に出来ているので、後は俺がコマンドを入力するだけです」

 コマンドを入力?

 XM3がどのような物か知らない俺にコマンドなんて言われても分からないが…まぁ白銀の言う事を聞く限り問題はなさそうだ。

 よかった…これでようやく一息つけそうだ。

 残る問題はこのXM3の効力、って奴だな。

 白銀は前線の衛子の生存率が上がる、と言っていたが、それが本当かどうか確かめないといけない。

 完成したら直ぐにでも確かめよう。

 もし完成したXM3の性能が本物なら、そのままXFJ計画の対価として出させてもらう。

 …対価として相手に認めてもらっても、一つ問題が生まれてくるんだよな…。

 XFJ計画は外国のパーツを使うために、当然外国からの衛子が大勢やってくる。

 つまりその外国の衛子を何処に入れるかって事だ。

 此処横浜基地が狭い訳じゃないが、大勢の衛子や、その衛子の戦術機を全て入れれる程スペースは余っていない。

 基地の増設…か。流石にこれは香月の判断だけじゃどうにもならない。基地司令の判断を仰ぐしかないだろう。

「それで…俺が居ない間は何をやってたんですか?」

「ん?格闘訓練だけだな。御剣訓練兵達が申し出てきたから俺は受けたまでだ。何かまずかったか?」

「いえ…全然構いませんよ。それで…冥夜達はどうでした?」

 白銀の言葉を聞いた瞬間、後ろに居た三人の体が強ばった。

 俺に負けた事を白銀に知られたくないのだろう。今の白銀はこいつらの上官でもあるからな。

「皆中々いい腕をしている。訓練兵達の腕を生かすも殺すもお前次第って所だ」

「中々プレッシャーを掛けてきますね。でもまぁ…任せておいてください。皆シルバさんの所の皆よりも強くして見せますよ!」

「ほう…それは楽しみだな」

 ここにいるメンバーvs特殊任務部隊か…中々面白いカードじゃないか。

 このメンバーは将来オリジナルHIVEを攻略する人間達だ。つまり才能は本物。

 その才能を白銀がこの早い段階から引き出す事が出来れば…白銀が知っている以上に強くなるだろう。

 俺のほうものんびりしてられないな。

「それじゃあ、白銀も帰ってきた事だし…俺は帰らせてもらう」

「あ、はい。ありがとうございました」

「「「ありがとうございました!!」」」

 白銀の言葉に気にするな、と返そうと思った瞬間、俺が相手した三人からも礼が飛んで来たので、そのまま何も言わずにグラウンドを後にした。

 さて…俺の方も少しばかり訓練と行きますか。

 特殊任務部隊の人間が居ない今だからこそ出来るACのシミュレーター訓練。香月に無理言って作ってもらった代物だ。

 あまり戦術機のシミュレーターばかり乗っているのもつまらないからな。

 まぁ速瀬達に見つかる前に早く格納庫に向かってしまうか…。

※此処まで読み直ししていないので、誤字脱字などかかなりあると思います。もし見つけた場合はコメントしてくれると助かります。

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作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン