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MuV-LuV 一羽の鴉

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 前回のシミュレーター訓練も暇だから早く来て、などと言われてほぼ強制的に早く始めさせられた。良い言い方をすれば熱心。悪い言い方をすれば自分勝手ってところだろう。

「相変わらずお前は…俺はお前の暇潰しのためにいるんじゃないんだからな?」

「ぅ…うぅ…」

 バツが悪そうに小さく縮こまっているが、反省はしていない。ただ単純に自分が悪いと感じているだけであり、決して反省はしてない。一年も一緒に入れば何を考えているかぐらい分かる。

 どうせ頭の中ではこの後のシミュレーター訓練の方に意識が向いているのだろう。

「はぁ…まあいい。折角早く来たんだ。もう始めるとしよう」

「やった!」

 案の定目を煌めかせ食いついた速瀬の方に皆の視線が向く。

 だがそれを気にしていないかのように一人テンションが上がっている。

 実際他の視線など気にしていないのだろう。

「本当に美月は少佐との訓練を楽しみにしてるな」

 そんな美月に呆れたように言葉を漏らしたのは宗像 美冴。

 階級は中尉でポジションは迎撃後衛。

「ち、違う!少佐との訓練を楽しみにしてるんじゃなくてシミュレーター訓練を楽しみにしてるの!」

「へえ?じゃあこの前言ってた言葉は何だったかな?確かシルバ少佐が「だああああああああああ!ストップ!ストップ!」」

 宗像の言葉に顔を真っ赤に染めた速瀬が止めに入る。

 …俺の名前が出てきた以上、俺も気になるのだが。

「もう美冴さんったら。あまり美月を苛めないであげて」

 そう速瀬を庇う言動を見せたのは風間 祷子。

 階級は少尉でポジションは制圧支援。物静かでお淑やかな性格の女性だ。

 宗像と一緒にいる所をよく見る気がするな。

「もう!梼子まで!」

 美月がこの二人のコンビにいじられるのも毎度の光景だ。

 そして…。

「お前らいい加減にしろ!シルバ少佐がいるんだぞ!」

 最後に伊隅大尉が怒って終わるのが一連の流れだ。毎度毎度よくやるよと思う。

 まぁ折角伊隅が纏めてくれたのだから始めるとしよう。

「ではシミュレーター訓練を始める。今回は…そうだな。お前らには2個小隊に分かれてHIVE攻略をしてもらう」

 本来今回のシミュレーターは俺との模擬戦闘の筈だったのだが…俺の気が変わった。こいつらにはHIVEの攻略をしてもらう。

 流石に今の俺の発言には伊隅も驚いたようで目を丸くしている。

 だが俺は取り消すつもりはない。いずれ小隊でHIVE攻略はしてもらうつもりだったのだから。

 現状今の実力ではHIVE攻略は出来ないだろうが…それでも連携を高めれば何れは攻略出来るだろう。

 この特殊任務部隊に所属するメンバーは誰もが才能を秘めている。訓練すればするほど強くなっているのが目にみえて分かる程にだ。

 さすが香月副司令直属の部隊、とでも言っておこうか。

「1人余る事になるが…そうだな、俺と組んでもらうことになる。誰がやりたい奴はいるか?」

 特殊任務部隊に所属する人数は10人。一個小隊の人数は四人なので、二個小隊作れる事になる。

 涼宮中尉はCPなので人数には入らないので、当然一人余る事になるわけだ。

 となれば一人余った奴は俺と組む事になるのだが…。

 俺の視界に写るのは9本のまっすぐ伸びた腕。

 誰一人例外なく手を挙げている。

「んー…。そうだな、伊隅!今回はお前と組む事にしよう」

「了解!」

 伊隅が威勢よく返事をすると他のメンバーは残念そうにため息を漏らす。

 そんなに俺と組みたかったのか?俺と組むと言う事はHIVEを分隊で攻略する事になるのだが…皆それ程までにやる気があると言う事か。良い事だ。

「そう落ち込むな。ちゃんと全員と組めるように計画は練っておくから」

 そう言うと目にみえて分かる程に皆喜びを顔に表す。

「よし、それじゃあ早速始めたいと思うが…残りのメンバーはどうする?此方で決めるか?お前たちで決めてもらっても構わないが」

 残りのメンバーは速瀬、宗像、風間、茜、柏木、高原、築地、麻倉の八人。伊隅一人除いた所で個々のポジションに移動はないと思うが…。

「それじゃあメンバーは此方で決めても宜しいですか?」

 宗像が皆を代表して俺にそう聞いてくる。

 ふむ…宗像になら任せてもいいだろ。伊隅がいなくてもしっかりと皆を纏められる筈だ。

「分かった。お前に任せよう」

「了解です」

「それじゃあ伊隅、俺達のポジションはどうする?」

 伊隅のポジションは迎撃後衛。簡単に言えば前衛のバックアップポジションだ。故に求められる動作は多いい。サイドから来るBETAを迎撃しなければならないし、場合によっては前衛のBETAも殺さなければならない。

 そんな伊隅だからこそ今回の分隊でのポジションに幅が出るのだが…。

 俺の理想としては俺が突撃、つまりは前衛を努め、伊隅には後方支援をしてもらいたい。

 当然HIVE内を分隊で進むのだから、途中で出てくるBETAを相手にする余裕はない。

 つまり前衛である俺が道を切り開き、後衛の伊隅がその護衛をしてもらうのが俺の理想だ。

 俺が前衛である理由は簡単。俺の腕が他の衛子よりもずば抜けているからだ。自分でこう言う事をいうのは可笑しいかもしれないが、ACに乗り、肉体改造を受けている以上、それは当然の事でもある。

「それでは迎撃後衛に着かせてもらいます。宜しいですか?」

 伊隅は俺の理想のポジションを選択してくれたようだ。流石に分かっている。

「ああ。それで頼む。作戦としては…俺が道を切り開き、只まっすぐ進むだけだ。寧ろ分隊の場合それぐらいしか出来ないしな。伊隅は俺のバックアップをしてくれればいい。後ろの敵など放っておけよ?」

 止まる事なくひたすら突き進む。それがHIVE攻略の要だと俺は思っている。

 HIVE内の閉所空間で立ち止まり、何万といるBETAを相手取る事は愚かな者がする行為だ。

 本当に少数でHIVEを制圧したいのならば出てくるBETAは全て無視し、行く道を塞ぐBETAだけを排除すればいいだけのこと。

 …まぁ口で言うのは簡単だが、それが難しい。

 恐らくACを用いても分隊でのHIVE攻略は難しいだろう。

 ACの性能は確かに凄まじい。戦術機に比べ耐久力、機動性、攻撃性の全てを大きく上回っているからな。

 だが持てる弾薬には限りがある。つまり道を囲まれ、BETAを相手にするしかない状況に陥った時は死ぬだろう。

「了解!」

 伊隅の気合の篭った返事を聞き、俺も大きく頷いてから皆に命令を送る。

「それでは、これよりシミュレーターを用いたHIVE攻略を行う!」

「「了解!!」」

「宗像、小隊のメンバーはどうなった?」

「此方になります」

 宗像の持っていたメモ帳を受け取り、その内容を見てみる。

A小隊
 速瀬 美月ー突撃前衛(センター)
 築地 多恵ー強襲掃討(ライト)
 高原   ー強襲掃討(レフト)
 柏木 晴子ー砲撃支援(センター)
B小隊
 宗像 美冴ー迎撃後衛(ライト)
 風間 梼子ー制圧支援(ライト)
 涼宮 茜 ー強襲掃討(レフト)
作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン