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MuV-LuV 一羽の鴉

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 麻倉   ー制圧支援(レフト)

 となっていた。

 ふむ…A小隊はスピード重視の攻撃型。B小隊は防御重視の制圧型、とでも言っておこうか。

 A小隊は速瀬がうまく先導することが出来ればうまくいきそうだな。B小隊はスピードがない分、どのBETAを排除するかが重要になってくる。その見極めを宗像がうまくできるかに掛かっているだろう。

「悪くはないな。…よし、それじゃあA小隊から行くぞ!速瀬、準備は出来てるか?」

「当然!」

 速瀬の頼もしい返事に少しだけ笑ってしまう。

「それじゃあ各自シミュレーターに乗ってくれ。CPは涼宮 遥に任せる。皆頑張れよ?」

「「了解!!」」

 今までにHIVE攻略は何度か行っているが、小隊と言う少ない人数で行うのは始めて。

 これがどういう結果をもたらしてくれるのかは分からないが…期待しておくとしよう。

 シミュレーターに乗り込むA小隊の皆を見届けた後、皆が写るモニターに視線を映す。

 さあ、皆はどういう結果を見してくれるのか。

ーーーーー
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ーーー
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「ヴァルキリー01!援護を頼む!」

「ヴァルキリー01了解!」

 速瀬率いる小隊A、宗像率いる小隊BのHIVEシミュレーションは終了し、最後に俺と伊隅の二人でHIVEシミュレーションを行っている。

 コールサインは俺が00。伊隅が01だ。実際のコールサインもそうなっているので間違える心配はない。

「前方に連隊規模のBETAを確認!」

 モニターに涼宮の映像が映し出され、それと同時に前方から大量のBETAが此方に向かってきているのを確認する。

 現在俺と伊隅の二人で中枢まで突破できているが、残りの階層を考えると手持ちの断層じゃ少しばかり心もとない。

「一点突破する!無駄弾使うなよ!」

「了解!」

 流石に連隊規模ともなると戦闘を避けることは不可能だ。

 モニターに映し出されるBETAは既に波のようになっており、道を全て塞いでくれている。

 俺のポジションは強襲前衛。伊隅は迎撃後衛。つまり一箇所を纏めて吹き飛ばすことのできるような武装はないために87式突撃砲を一点に浴びせるしか突破方法はない。

 BETAが壁のように連なっていると言っても所詮は戦車級と要撃級。87式突撃砲でも充分に貫くことが出来る!

 そう考えた俺は右脇に挟むように突撃砲を持ち、左手には65式近接戦闘短刀を所持する。

 このシミュレーターで使用している戦術機は撃震を用いているために機動性はそこまで高くないが…多少の被弾なら耐える事が出来る筈。

 跳躍ユニットの出力を最大まで引き伸ばし、シャフトの中を縦横無尽に駆け回る。

 HIVE内に光線級はいないため自由に三次元機動をする事が出来る。皮肉は話を言えば、戦術機の最大の魅力を引き出す場所はHIVE内部だと言う事だ。

 波が此方に迫ってくるかのような威圧感を醸し出しているBETAの大群から一番密度の薄い所を探し出し、伊隅に命令を送る。

「右上の密度が低い!あそこから突破するぞ!」

 伊隅が返事を返すよりも早く突撃砲をそこに向け乱射し、撃震をそこに突っ込ませる。

 次に来るであろう衝撃に備え、身を少しばかり縮こませる。

 突撃砲の弾を食らったBETAは血肉を吹き飛ばし、次々と下に落ちてゆく。そして少しばかりの隙間だが出来た穴に糸を通すかのように撃震をすべり込ませる、

「ッ!」

 通り過ぎざまに戦車級が機体にぶつかるが、破損はなく、少しの振動が機体に伝わるだけで終わる。

 モニターを確認すれば伊隅も無事に突破することが出来たようで少しばかり安堵する。

 自分で一点突破を命じたのはいいが…中々に無謀な策だとは自分でも思う。それと同時にそれを実行出来るだけの伊隅の実力に嬉しくもなる。

「メインホールまでもう少しだ!落ちるなよ!」

「了解!」

 モニターに写る伊隅の姿に油断はない。

 この調子なら無事HIVE攻略も出来るだろう。

ーーーーー
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「HIVE攻略シミュレーション終了。お疲れ様でしたシルバ少佐」

 無事伊隅とのシミュレーションも終わり、シミュレーターから出た所で涼宮から労いの言葉を掛けられる。

「ありがとう」

「いえ。それにしても凄いです!本当に分隊でHIVEを攻略出来るなんて!」

 かなり興奮しきった様子の涼宮が俺の方に駆け寄ってくる。

 それに続き伊隅を除いた特殊任務部隊の皆も俺と伊隅の周りに群がるかのように集まり始め、誰もが驚きの声を上げている。

 結果としてHIVE攻略を成功させたのは俺と伊隅のみ。

 速瀬率いるA小隊は下層まで行けたのだが、最後まで残っていた速瀬がBETAに囲まれ、抵抗するも虚しく撃墜。

 宗像率いるB小隊は中層で連隊規模に囲まれ突破する事出来ず、皆同時に撃墜。

 そして俺と伊隅の分隊は無事反応炉の破壊。つまりはHIVEの攻略に成功した。

 その凄さが自分では分からないが、やはり分隊でHIVE攻略に成功する事は凄いのだろう。聞いた話によれば分隊でシミュレーションをクリアした事はないと聞いていたからな。

 まぁ…その情報を予め聞いていたからこそ、今回突然のHIVE攻略を行った。

 今の皆の実力でどこまで進む事が出来るのか、それを測るためにも。

 …結果としては充分と言っていいかもしれない。

 もし特殊任務部隊全員でHIVE攻略を行い、中層で全員撃墜などと言っていたらこれから猛特訓を行っていただろう。

 だが小隊という限定の条件で行い、どちらも中層以上に行くことができたので、俺としては満足だ。

「シルバ少佐は本当に凄いです!どうやったらそんなに上手く操縦出来るんですか!?」

 俺に詰め寄っていた遥を押しのけ、次の俺に詰め寄ってきたのは遥の妹である茜。姉妹揃って興奮すると自分を制御出来ないらしい。

「シルバ少佐!今度私に操縦の仕方を教えてください!」

 そんな茜に続いてやってきたのは麻倉。ちょこんと俺の裾を握っている所に可愛いなどと思ってしまった俺がいる。

 しょうがないだろ?周りに女性しかいないと、前の世界で女性に関わりがなかった俺でも何かを感じてしまうようになるさ。

「「少佐!私達にもどうか!」」

 麻倉に続いて来るのは高原と築地。

 っく!こんな事になるならシミュレーションはやらない方がよかったかもしれん!

 俺の周りを囲む茜達を見てついそんな事を思ってしまう。

「こら!お前たち止めないか!少佐が困っているだろう!」

 興奮しきった茜達を止めてくれたのはやはり伊隅大尉。便りになる人だ。

 伊隅に怒られた茜達の興奮はそれでも収まらないものの、流石にこれ以上は不味い、と感じたのか大人しく後ろに引き下がってくれた。

 そこで気付いたのだが、茜に押しのけられた遥が転んでおり、思わず同情してしまった。

「大丈夫か?涼宮中尉」

 見てしまったのだから放って置くわけにはいかず、取り敢えず手を差し伸べておく。

「ぅぅ…恥ずかしい所見られちゃった…。茜、後でお話があるからね?」
作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン