こらぼでほすと 解除4
「そんなこたぁーわかってるよ、ダーリン。でも、キラたちが、『動くな。』って言うんだから動けないんだろ? ・・・俺たちは待機。それでいい。ティエリアが降下の準備だけはしてるだろうから、万が一の場合は俺が駆けつけてくる。なんなら、その役目をダーリンに譲ってやってもいいぜ? 兄さんは冷凍処理されるから、時間は問題じゃないからな。救出して、それから宇宙に上がればいいんだ。そうだろ? 」
こういう慰めはマイスターのパートナーであるロックオンの役目だ。大丈夫、と、囁いてキスをする。ここいらからは女房の役目だ。噛み付くような激しいキスをロックオンから仕掛けて、どちらの息も上がった頃に離した。暴走する感情のままにキスをした。そちらに意識が向けば、刹那も一端は落着く。ふうと大きく息を吐いて息を整えて、女房の髪を撫でる。とんっと壁に背中が軽く当たった。低重力だから、ふたりしてふわふわと浮いている。
「すまない。」
「いや、たまには姉さん女房を頼りにしてくれ・・・・兄さんは大丈夫だ、刹那。」
「・・・そうだな・・・俺のおかんは・・・守られている。」
「そうさ、キラたちが守ってくれる。だいたい、あの人、子ども何人いると思う? それに亭主と間男と恋人と、父親まで確保してんだぜ? 集団で救出に向かったら、即座に奪還だよ。それに、うちの兄さんは悪運だけは、しこたまあるぜ? ここまで生き残ってるんだからさ。」
ロックオンも刹那の髪を撫でる。背中を守るというのは、言葉通りではない。まだ若いリーダーである刹那の後押しも慰めるのもロックオンの仕事だ。兄のような精神的なケアはできないが、自分なりに刹那を守るつもりだ。
ロックオンも心配はしているが、自分まで同じように騒ぐのは得策ではない。だから、ちょっと余裕のふりで、亭主をあやしている。
「デュナメスリペアのチェックをして来い。それから整備も、だ。・・・おまえに任せる。」
「了解。全部終わったら、爛れた一日を、ご褒美に貰うぜ? 」
「好きなだけくれてやる。」
「ひょおーっっ、おっとこまえーーっっ。じゃあ、なんかあったらコールよろしく。」
ニパニパと笑って手を振り、ロックオンは別の通路へと移動始めた。女房には弱いところを見せてもいいんだろう、と、刹那も苦笑して通路を進み始めた。緊急通信が入ったら、規則も理念もかなぐり捨てて、おかんの救出に向かってやる、と、刹那も一応、考えてはいる。
作品名:こらぼでほすと 解除4 作家名:篠義