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ゆらのと

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息を呑む。
だが、自分の受けた衝撃を相手にさとられないようにする。
「待て」
できる限り冷静な声で言う。
「人質を取ったということだな。だが、話だけでは本当かどうかわからん。当人の声を聞かせろ」
嘘をついているようには思えない。
しかし、念のため確認しておきたいし、それに、新八が生きているのかが心配だ。
「わかった」
男は了承し、オイそいつをここにつれてこい、と電話の向こうでだれかに指示を出した。
つれてこい、ということは新八が生きているということだろう。
桂は緊張の中でほんの少しだけ安堵する。
さっきの男が、ホラ電話に出ろ、と言う声が聞こえた。
そして。
「桂さん!」
「新八君か」
「はい」
「無事か」
「はい。でも、あの」
そこで新八の声が途切れた。
「もういいだろ」
代わりに、さっきの男の声が聞こえてきた。
桂は眉根を寄せる。
「新八君をどうした。なにか手荒なことをしたのか」
低い声で厳しく問うた。
「いや、よそにつれていかせただけだ。あれだけ声を聞けば、ちゃんとこっちに人質がいるってわかっただろ。で、その人質を帰してほしけりゃ、アンタがどうすればいいのか、わかってるよな?」
「どこに行けばいい」
男は場所を告げた。
かぶき町からそう遠くないところで、近くを流れる川にはよく船が停泊している。
密航してきた宇宙船が一般の船に偽装して停泊していることもあるのを、桂は知っていた。
敵は宇宙海賊。
他の情報から考えても、ほぼ間違いないだろう。
さらに男はえらそうに言う。
「今すぐ、他のだれにも連絡を取らずに、来い」
「せめて銀時に新八君の無事を知らせたいのだが」
「白夜叉はあのメガネがさらわれてるとは思っちゃいねェだろうよ。あのメガネは好きなアイドルの親睦会に出かけているもんだと思っていて、明後日まで帰ってこなくても心配しないだろうよ」
どうやら寺門通の親睦会をエサに新八をおびき寄せて拉致したらしい。
ならば、新八を捕らえる際に無茶なことはあまりしなかっただろうと思う。
「だから、白夜叉に連絡する必要はねェし、絶対につれてくるな」
「わかった。銀時には連絡しないし、必ず俺ひとりで行く」
桂は穏やかに約束した。
しかし、直後、口調を変える。
「だが、これからそちらに行って、新八君が死んでいたり重傷を負ってるようであれば、こちらとしてはおとなしくはしていられぬ」
報復する、と言外に脅した。
天人兵に取り囲まれて多勢に無勢で戦って生き延びたこともある。
桂の声には凄みがあった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio