二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|178ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

出航のときが迫ってきているらしい。
桂は窓の外に眼をやった。
夜景に人の姿は見あたらない。
ただし、船のまわりすべてを見ることができるわけではない。
だが、銀時が駆けつけてきて、この船に乗りこもうとすれば騒ぎになるだろう。
そうした騒ぎが起きている様子はない。
まだ来ていないのなら、もう出航するのだから、確実に間に合わない。
それでも助けに来るつもりならば。
宇宙船が必要となる。
それも、追跡するためのものでなければならない。
方法はなくはない。
たとえば、観光船に普通の客として乗りこんで、ハイジャックして、自分の行きたい方向に行かせる。
たとえば、攘夷党の党員に桂が宇宙海賊に連れ去られたことを話して、宇宙船を用意させる。
しかし、どちらにしても、まもなく出航する船を追いかけるのには間に合わないだろう。
この船の航路を調べて跡を追うのも、難しいはずだ。
なにしろこの船は宇宙海賊の船で、密航中であり、その航路は公にされていないどころか、違法であるため隠されているだろうから。
銀時は追ってこられないだろう。
そう桂は判断する。
だが、それを喜んでいいものか。
身を捨てるようなことになるかもしれない。
先のことを思えば不安になるし、銀時もそんなマネはしないでくれと言った。
けれど。
我が身に代えてでも護りたいものはある。
この身を銀時が大切に想ってくれているのは知っている。よく知っている。
しかし、同じように、自分も銀時のことを大切に想っている。
だからこそ。
桂は携帯電話の電源を切った。
どうせ、もうすぐ使えなくなる。
携帯電話を仕舞う。
それから、椅子に深く腰かけ、眼を閉じた。
部屋の灯りは瞼に遮断され、視界いっぱいに闇が広がる。
この船が出航すれば、江戸を離れ、地球からも離れ、宇宙へと出る。
夜の続く世界へと行くことになるのだ。















作品名:ゆらのと 作家名:hujio