ゆらのと
寝台のすぐそばで、銀時は立ち止まった。
見間違うはずがない。
しかし、銀時がここにいるはずがない。
あれから追いかけて、そして追いつくなんて、まさか、そんなことができるわけがない。
ならば、やはりこれは夢なのか。
眠れないと思っていたのが、いつのまにか眠りに落ちていたのだろうか。
銀時はじっとこちらを見ている。
右腕をあげ、その手を近づけてきた。
頬に触れる。
「桂」
名を呼ばれた。
その声も、その手の感触も、間違いなく銀時のものだ。
「銀時、どうしておまえがここにいるんだ……?」
頭の中は真っ白で、口が勝手に動いて問う。
「どうやって、ここまで追ってきたんだ」
「追ってきたわけじゃねェよ」
銀時は腕をおろし、夜の静寂を破ってしまわない程度の声で答える。
「おめーと一緒に来たんだ」
「どういうことだ」
まったく想像していなかった回答に、混乱する。
「おめーと同じ宇宙船に乗ってきたってことだ。新八と神楽も来てる」
「なん……」
なんだって。
大きな声を出しそうになって、途中で、呑みこむ。
「親睦会がおびきよせるための罠だってこたァ、わかってた。新八は親衛隊長だ。寺門通の予定はしっかり頭に入れていて、そんな親睦会が開かれるわけねェってすぐに気づいた」
「では」
「罠だってわかった上で、飛びこんだんだ。そうでもしなけりゃ、敵がどこにいるのかわからねェからな」
呼びだされて指定された場所に行ったとき、新八の顔には殴られた跡があった。
無謀なことをしたものだと思う。
下手すれば、殺されていたかもしれないのに。
「俺も神楽も敵に気づかれないようこっそりついて行っていた。マズい状況になっちまったら、もちろん新八を助けるつもりだった」
考えていることを見透かしたように銀時は言った。
そして、話を続ける。
「おめーが新八の件で玄夜のヤツらのもとにきた頃には、俺ァ、もうヤツらの中にまぎれこんでた。ヤツらの船のほうから、オメーや新八の様子を見てた」
「じゃあ、あの電話は」
「ああ、船の中からかけた。携帯電話は、宇宙船に乗るはずだった下っ端の海賊を倒して、そいつの着てた物と一緒に奪った」
「……それでは、新八君たちはどうした。新八君は縛られたまま倉庫のほうへ走っていったんだぞ」
「倉庫のほうには神楽がいて、新八と合流したあと、その縄ほどいて、ふたりそろって宇宙海賊の変装して、他の玄夜のヤツらにまぎれて船に乗りこんだんだ」
あっ、と心の中で声をあげる。
銀時から電話がかかってくる少しまえに宇宙船の窓から見た光景が、脳裏によみがえった。
宇宙海賊らしき天人が数人、慌ただしく船のほうに寄ってきていた。
あの中に新八と神楽がいたのかもしれない。



