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ゆらのと

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身体を起こした。
少しまえかがみになり、銀時をその近くから見おろす。
「銀時、朝だ。起きろ」
小声で告げた。
けれども、銀時はそれを嫌うように寝返りを打ち、背を向ける。
その眼は閉じられている。
しかし、これだけ近くから呼びかけられて、その意識がまったくさめていないなんてはずがない。
「銀時」
声の調子を強め、また呼びかけた。
「……まだ朝じゃねーだろ」
眼を閉じたまま、銀時がだるそうに返事した。
だから。
「もうしばらくすれば陽がのぼる。屋敷内の者が動きまわりだすまえに、もどったほうがいい」
そう言い返した。
屋敷の使用人たちはもう朝の仕事を始めているだろう。
それが本格的なものになれば、銀時は動きづらくなる。
今のうちに、この部屋を出たほうがいい。
銀時は黙っている。
だが、少しして、起きあがった。
不機嫌そうな表情で、ボリボリと首筋をかく。
さらに大きなあくびをする。
眠たそうだ。
「あー…」
うなった。
そのあと、眠気をまとう身体を重たげに動かして、銀時は寝台から離れた。
桂もそうしようとした。
すると。
「オメーはまだ寝てればいーだろ」
銀時がチラリと見て、言った。
たしかに自分はまだ寝ていてもかまわない時刻だ。
けれども。
「いや、俺はもうすっかり眼がさめたから、いい」
桂は寝台を離れ、床に立つ。
実際、頭はすっきりしていた。
もともと目覚めは良いほうだ。
それに、今朝は久しぶりにすがすがしい気分である。
いろいろあったせいで眠っていた時間はたいして長くなかったが、安心して熟睡できたことが大きかったようだ。
身体も軽い。
だから、つい、扉のほうに向かう銀時についていく。
「そういえば」
視線を銀時の頭にやる。
「おまえ、髪を染めているんだな」
「しょーがねーだろ。ヤツら、俺のこと、銀髪の侍だって思ってんだ」
ヤツらとは宇宙海賊のことだろう。
「着るもんとか変えても、銀髪のままじゃ、ヤバいかもしれねーだろ」
「それで赤色にしたのか」
「今は薄暗いから、あんまりわかんねーかもしれねェが、太陽の下で見たら、ニワトリのとさかみてーな色だ」
銀時は顔をしかめた。
鶏のとさか。
その表現がおかしくて、思わず、桂は笑った。
「やっぱり、おまえには銀髪のほうが合っているな」
ふと、銀時が扉の近くで足を止めた。
つられて、桂も立ち止まる。
銀時が身体ごと向いた。
その手が伸ばされる。
身体を捕らえられて、胸に引き寄せられる。
「……本ッ当に、オメーはタチが悪ィ」
近くで、銀時がボソッと言った。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio