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ゆらのと

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「俺のどこがタチが悪いんだ」
「そーゆー無自覚なところだ」
「はァ?」
よくわからない。
しかし、銀時はなにも言わない。
黙ったまま、抱く力を強めた。
その腕の中で、桂が逆に身体の力を抜く。
身を銀時に預ける。
護られるのは性に合わない。
けれど。
こうしていると、胸が安らぐ。
満ち足りていくのを感じる。
「……銀時」
呼びかける。
「来てくれて、ありがとう」
心にあることを素直に口にした。
こんな地球から遠く離れた星まで来てくれるとは、ここまでしてくれるとは、思っていなかった。
それだけに嬉しい。
今こうして腕に抱かれていて、幸せだと思う。
銀時の力がゆるんだ。
腕がほどかれ、身体が少し離れた。
近くから、こちらを見ている。
その視線を受けて、自然に、微笑んだ。
銀時がじっと見ている。
しばらくして、その顔が寄せられてきた。
「絶対ェ、助けるから」
そう告げた。
「無茶はするなよ」
あまり効力はないかもしれないと思いつつも、一応、そう返しておく。
銀時は眼を細め、口を引き結んだ。
そして、身を退いた。
扉を開け、部屋から出ていく。
桂はひとり残される。
やはり、胸に寂しさを感じた。
だが、充分すぎるほど、身体に力を感じる。銀時がくれた力だ。
表情を引き締める。
状況は変わった。
新しい要素が加わった。
果たして、それが吉と出るか凶と出るか。
わからない。
しかし。
自分の心が強くなったのは、たしかだ。










作品名:ゆらのと 作家名:hujio