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ゆらのと

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女の使用人は無表情で歩いてきて、近くまでくると立ち止まった。
「ハルラと申します。今日は私がトアラの代わりを務めさせていただきます」
感情の一切にじまない声で、丁寧に告げた。
トアラの代わり。
それを聞き、桂は眉根を寄せる。
「トアラはどうしたんだ」
なぜ彼女が来ない。
ハルラは、一瞬、黙りこんだ。
そして。
「トアラは命令に反したことで罰を受けました。そのため起きあがれない状態にあるので、私がその代わりを務めるよう、アジン様から命じられました」
冷静そのものの様子で答えた。
桂は眼を見張り、息を呑む。
命令に反したことで罰を受けた。
その命令に反したこととは、桂が装飾品を身につけていなかったことだろう。
桂が屋敷の主から蹂躙されたあと、トアラは屋敷の主から呼ばれた。
屋敷の主のもとへと向かう途中で、部屋を出ていく桂と話をしたとき、トアラはわずかに微笑んだ。
これから自分が罰を受けることを知っていて、それについて桂が気にしないようにするためだったのではないのか。
部屋から出たあとのことは、もちろん、桂は知らない。
どんな仕打ちをされたのだろうか。
あのひどい男から。
起きあがれない状態にある。
相当なことをされたのだろう。
心配だ。
「トアラに会わせてくれないか」
桂はハルラに頼む。
トアラがどんな状態にあるのか、実際にこの眼で確かめたい。
しかし。
「それはできません」
ハルラはきっぱりと言う。
「トアラはアジン様の管理下にあり、アジン様の許可がなければ会えません。私も会っていません」
「……そうか。わかった」
ひそかに会うこともできなさそうだ。
桂は眼を伏せる。
諸悪の根源は、この屋敷の主だ。
それは間違いない。
だが、発端は、桂のわがままとも言える行動にある。
用意された装飾品を身につけるのを拒否することが、トアラの命令違反になるとは、考えなかった。
浅はかだった。
そして、トアラが起きあがれなくなるぐらいの仕打ちを受けているとき、自分は銀時と一緒にいた。
愛情に満ちた夜をすごしていた。
それを思うと、罪悪感が湧きあがってきて、胸が苦しくなる。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio