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ゆらのと

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ハルラが止めていた足を動かした。
桂の横を通りすぎていく。
そして、机に着替えを置いた。
それから、部屋中を見てまわる。
寝台の敷布と上掛けを取り替え、洗面所と厠のほうへ行った。
帰ってきたときには、その手には、タオルの他に、服があった。
桂が昨日に着ていた、そして、洗面台に脱ぎ捨てた服だ。
あの男の精液が付着している服だ。
不快な気分になる。
そういえば。
いつのまにか、あの服は洗面所のゴミ箱に捨てられていた。
桂のしたことではない。
だから、銀時のしたことだ。
ゴミ箱に投げこまれているのを見たとき、その激しい怒りを感じた。
どうするか桂は迷ったが、結局、そのままにしておいた。
ハルラはそれを回収したときにどう思っただろうか。
「着替えを、お願いいたします」
無表情でハルラは告げた。
「ああ」
桂はうなずく。
そのあと、ハルラは部屋を出ていった。
ひとりになった桂は机の上の着替えを手に取る。
これまでも華やかな服を用意されて、それを身につけてきたが、今日はひときわ華やかなものだ。
しかも、これはいつものことながら、どう見ても、女物だ。
自分は敵から逃れるために様々な変装をしてきた。
これもそういったことなのだと思うことにして、着替え始める。
着替え終わってしばらくした頃、ハルラが部屋にもどってきた。
食事をする。
さらにそのあと、ハルラは装飾品を持ってきた。
これまでのもとと比べて、いっそう豪華で、きらびやかなものだ。
しかし、桂の好みではない。
だが、トアラのことを思うと、拒否する気にはならない。
桂はハルラに勧められるまま鏡台のまえの椅子に腰をおろした。
ハルラは桂の長い黒髪を丁寧に梳かす。
それが終わると、髪の一部を結って、そこに髪飾りをつけた。
さらに、耳飾りをつけられ、腕輪をはめられた。
眼まえの鏡の中には、飾りたてられた自分の姿がある。
それを見て、どうして銀時が嫌がったのかわかった気がした。
自分の好みでない格好をさせられている。
この屋敷の主の好む格好をさせられているのだ。
これでは、自分は、この屋敷の主の愛人だ。
鏡に映る自分の姿に嫌悪感を覚え、眼を逸らした。
その直後、部屋の扉が乱暴に開けられた。
だれかが、いや、数人の者たちが入ってくる。
すぐに桂はそちらのほうに視線を走らせた。
そして、彼らの姿を見て、表情を強張らせる。
昨夜、桂を椅子へと抑えつけていた、屈強な体つきの天人たちだ。
その中のひとりが告げる。
「アジン様がお呼びだ」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio