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ゆらのと

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窓の向こうは、天から降りそそぐ強い光を受けて、庭園の緑が輝いている。
それを背景にして、宇宙海賊の変装をした銀時が立っている。
暑いのだろう。
汗をかいている。
だが、部屋の中に入ってこようとはしない。
「銀時」
「……新八と神楽の正体が、宇宙海賊にバレて、ヤツらに拘束されちまった」
銀時は厳しい表情で告げた。
胸が痛む。
さっき銀時の姿を見て、ほんの少しだけ、やはり嬉しいと感じた。
しかし、今、そんな気分は跡形もなくなった。
「知っている。この屋敷の者から聞いた」
「そーか」
「あのふたりを、宇宙海賊どもは、屋敷から離れたところで始末するつもりでいるらしいな」
「ああ」
おまえは、もちろん、あのふたりを助けるつもりなんだろうな。
ふたりを助けてくれるんだろうな。
そう桂は問いかけたくなり、しかし、その言葉を呑みこむ。
状況は厳しい。
いくら銀時でも、あのふたりを助けるのはひどく困難なことなのかもしれない。
それなのに、あのふたりを助けてくれと頼むのは、重すぎる荷を背負わせるのと同じではないか。
桂は黙りこんだ。
眼を伏せる。
「新八と神楽をつれて屋敷を離れる者の中に、どーにか、俺も入った」
そう銀時が言うのを聞いて、桂は顔をあげる。
胸の中で心臓がふわっと浮いたような感覚があった。
もうどうにもならないかもしれないと思っていたのが、道がひらけた気がした。
銀時がついていくのなら、あのふたりは助かるかもしれない。
状況が明るくなったとはさすがに言えないものの、暗闇の中に光がひとすじ差しこんできたように感じた。
これで助かる望みが途絶えずに済んだ。
そのことに、ほっとする。
「もうしばらくしたら、他のヤツらと出発する」
銀時は言う。
「この屋敷を出る」
その声は硬い。
「隙をみて新八と神楽を助けるつもりだが、ここに帰ってこられるのがいつになるか、わからねェ」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio