二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|283ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

怠惰なところなど一切無い引き締まった顔つき。
こちらに向けた真摯な眼差しから、気遣いを感じ取る。
新八と神楽を助けるために屋敷から離れる。
桂から離れることになる。
だから、心配しているのだろう。
「できるだけ早くアイツらを助けて、できるだけ早くここに帰ってくるつもりだ」
銀時は断言した。
その表情にも、声にも、強い決意がにじんでいる。
できるだけ早く助けて、できるだけ早く帰ってくる。
だが、それはいつになるのだろうか。
明日なんだ。
明日なんだ、銀時。
そう訴える声がわきあがり、胸の中を激しく打つ。
しかし、それが外に出てしまうまえに、静めた。
「銀時、無茶はするな」
穏やかに言う。
「じっくりと一番良い機会を待て。あせって、無茶をすれば、助けられるものも助けられなくなるかもしれん。この屋敷に帰ってくるときもそうだ。あやしまれることをすれば、門前払いをくらうだけではなく、追われることになるかもしれん。急がずに策を練り、無茶だと思うことは避けろ」
さらに。
「俺は大丈夫だから」
そう告げた。
明日のことは言わない。
新八と神楽を助けなければならない状況で、明日のことを言えば、きっと、銀時を苦しめることになる。
苦しめたくない。
だから、言わない。
助けは求めない。
今ここにこうして銀時が来てくれているだけで、充分だ。
もうすぐ屋敷を出発するという。
それなのに、時間を見つけて、おそらく危険をおかして、ここに来たのだ。
心配しているからこそ、会いにきてくれたのだろう。
それだけで、もう、充分だ。
ふと。
銀時の腕があげられる。
その手が顔のほうに伸ばされてくる。
頬に触れた。
そして。
「愛している」
真っ直ぐに見て、言った。
心が揺れる。
泣きたいような気分になる。
「俺も」
同意した。
けれども、それでは足りないように感じた。
だから。
「愛してる」
そう続けた。
銀時が身を寄せてきた。
窓は開けてあるものの、へだてる壁がある。
それを越えるように、身を乗りだした。
お互い、顔を寄せていく。
唇を重ねた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio