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ゆらのと

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向こうはすでに気づいていたらしく、眼が合っても生真面目な表情が揺れることはなかった。
カンカンカンと音をたてながら階段をのぼっていく。
「ヅラ、なにしにきたんだテメー」
「ヅラじゃない、桂だ」
ヅラというあだ名が気に入らないらしく桂は訂正する。
「また勧誘に来たんじゃねーだろうな」
桂は攘夷志士の集団のひとつである攘夷党の党首だ。
以前、その活動に巻きこむ形で銀時を勧誘してきた。
もちろん断ったが。
「いや、今日は仕事の依頼できた」
「ああ? まさかその仕事ってのが……」
「攘夷関係ではない」
桂は銀時の台詞を最後まで聞かずに先を察して否定する。
「ヅラぁ、その手に持ってるもん、何アルカ?」
ふいに背後から神楽の声がした。
「ああ、これか、手土産だ」
あっさりと桂は答える。
その手には手提げの紙袋があった。
紙袋は最近人気のまんじゅう屋のものだ。
神楽は歓声をあげて背中で暴れ、銀時の腕の力がゆるむと、ピョンと勢いよく降りた。
「……てめー、すげー元気じゃねーかよ」
「まあまあ、いいじゃないですか」
文句を言う銀時を新八がなだめる。
「良くねーよ、俺だって疲れてんのに、ヤツを背負ってここまで来たんだぞ」
「そんなことより、桂さん、立ち話もなんですから、中にどうぞ」
「そんなことってなんだ!? だいたいここは俺の家だ、勝手にすすめてんじゃねェ」
「じゃあ、銀ちゃんはこのおまんじゅういらないアルカ」
すでに紙袋は神楽の手にあった。
いらねーよ、そんなもん。
などと、糖分を愛する銀時に言えるはずがなかった。

万事屋の応接間兼居間のソファに四人は腰かけていた。
銀時の横には桂が、テーブルの向こうのソファには新八と神楽が座っている。
桂は新八の入れた茶を飲むと、湯飲みをテーブルに置いた。
テーブルには空になった箱があった。
箱に入っていたまんじゅうは、それぞれの胃の中だ。
「仕事というのはな」
桂が訪ねてきた目的を切り出した。
「エリザベスを探してほしいんだ」
「あァ?」
銀時は声をあげた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio