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ゆらのと

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「なんだ貴様、思い切り嫌そうな顔をして」
「嫌だから嫌な顔してんだ」
「ペット探しも万事屋の仕事のひとつだろうが」
「アレがペットかよ」
「ああ」
「あんな気持ちワリー物体をペットっていうテメーが気持ちワリー」
「気持ち悪くない! エリザベスはカワイイんだ!」
桂は拳を強く握り、主張する。
聞いていて眼が点になりそうだ。
幼い頃からのつきあいだが、それでもその言動に唖然とさせられることがある。
エリザベスは宇宙から地球へと一時帰郷した坂本が桂に押しつけた地球外生命体である。
桂はその地球外生命体を可愛がっている。
犬や猫ならともかく、アレをカワイイと思う感性が、銀時にはまったく理解できない。
「エリー、行方不明アルカ」
「そうなんだ」
「なにかあったんですか」
「いや、ちょっと喧嘩してな。家を飛び出していったきり、もどってこないんだ」
あきれる銀時を置いて、神楽と新八が次々に桂に質問をして話を進めた。
いつのまにか桂の依頼を受けることになっている。
万事屋の主である銀時の苦情は、新八と神楽から給料未払いを指摘されて却下された。
「しょーがねーなー、じゃあ、とりあえずテメーの住んでるとこの周辺から探すか」
投げやりな口調ながら、銀時は仕事として認めて言う。
そして、今どこに住んでいるのかを桂に聞いた。
桂は指名手配犯だ。
以前その隠れ家に行ったことがあるが、今はもう潜伏先を変えているかもしれない。
桂はあっさり答えた。
それを聞いて、銀時は驚く。
「テメーも、かぶき町に住んでんのかよ!」
「ああ、この町は住民の過去にこだわらないから身を隠すのにちょうどいい」
たしかに桂の言うとおりだ。
このかぶき町には、すねに傷を持つ者やここに来るまでの過去を完全に捨て去っている者も多く、相手が話したがらないことには触れないのが住民の暗黙の掟のようになっている。
桂の選択は正しい。
たまに唖然とさせられるような発言はするが、基本的に頭は良く、集団を率いる者として冷静かつ的確な判断をすることもある。
攘夷戦争中、おそらく本人は望んでいなかっただろうが、桂は一軍の将となった。
銀時はその片腕として戦った。
けれど、集団の頂点にいるのは、やはり桂だった。
そうなるにふさわしい資質が桂には生まれつきあるような気がする。
ただし、向いていないのではないかという部分もある。
優しすぎるのだ。
どれほど不利な状況であれ仲間を切って捨てるようなことは本来は嫌だろうが、集団の頂点に立つ者として切って捨てることを判断しなければならない場合もあり、そんなときは顔には出さなくても確実に傷ついている。
だから、護りたかった。
嫌なことを押しつけているのだから。
いや。
それだけではなくて、もっと純粋に。
単に。
そして、それは今も。
「……じゃあ、明日から捜す」
思っていることを断ち切るように、銀時は言葉を発した。
なにを考えている。
バカバカしい。
そう思った。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio