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ゆらのと

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「どうしてここに」
「仕事だ。てゆーか、てめーの依頼であのペンギンのお化けを探してやってるんじゃねェかよ」
「ペンギンのお化けじゃない、エリザベスだ」
桂はむっとして、訂正する。
「貴様にはエリザベスの愛らしさがわからんのか。美的感覚がおかしいのではないか」
「おかしいのはテメーのほうだろ」
そう言い返しながら銀時は隣まで来ると、立ち止まった。
いつものやりとりに桂の心はなごんだ。
昨夜のことは夢のように感じた。
このまま触れなければ、もしかして。
そう思ったとき。
「昨日のことだが」
銀時が素っ気ない声で切り出した。
「いちおう釘さしとくが、俺ァ、あんとき言ったことを取り消す気は、ねェからな」
一瞬にして自分の頬が強張ったのを感じる。
まるで冷水を浴びせられたような気分だ。
できることなら昨夜のことはなかったことにしてしまいたかった。
うやむやにしてしまえないかと期待した。
それを銀時は見透かして、即座に打ち砕いた。
現実に直面させられる。
桂は錫杖を強く握った。
「……いつからなんだ」
「ああ?」
「ずっと、とはいつからなんだ」
どう返事すればいいのかわからず、しかし沈黙がやけに重く感じられて、とりあえず気になっていたことを聞いてみることにした。
「……あー、そのへんのこたァ、俺もはっきりとはよくわからねェが、たぶん、最初のほうからだ」
「最初のほう?」
ピンとこなくて、桂は眉根を寄せた。
銀時は軽く肩をすくめる。
「俺が家を飛び出して、そしたらおめーが捜しにきて、それで、俺が捨てられたら拾うとか言ってたあたりだ」
俺は捨て犬かなんかか、と銀時は付け足した。
いつのことなのか、桂はすぐにわかった。
思い出した。
あれは出会ったばかりのころのことだ。
そのときの自分の年齢を今の年齢から引けば、銀時の言ったずっとの年数は出た。
二十年。
その長さが胸に迫ってきた。
同性に想いを寄せられる嫌悪感は吹き飛び、ただ圧倒される。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio