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ゆらのと

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「どうして今まで黙っていたんだ」
自分なら、そんなに長く想いを告げずにいることはできないだろう。
「じゃあ、逆に聞くが、てめーは俺に言われたかったか」
冷静に銀時は聞いてくる。
桂は答えられなかった。
「言われたくなかっただろ。そんなの、見てりゃ、わかる。ぜんぜん気づかねェのは、テメーにまったくその気がねェからだってのも、な。言ったところで、壊れるだけだ」
その銀時の指摘は、ことごとく正しい。
桂は黙りこむ。
言われたくなかった。
想いを告げられたくなかった。
友情以外のものを望まれたくはなかった。
友人のままでいたかった。
これまでの関係を壊されたくなかった。
そのことに銀時は気づいていたのだろう。
だから、言わなかったのだろう。
言わないでいてくれたのだろう。
「いっそ黙ったまま墓場まで持っていけたら良かったんだが、さすがに限界だったらしい」
銀時は川のほうを見て話す。
「戦のあとに去って、それでテメーとは離れて、それで忘れられると思ったんだが、そうならなかったのがキツかった。なんで変わらねェんだろうなって」
淡々とした口調で、感情はにじまない。
けれども、桂の胸に来るものがあった。
「そのうえ、再会しても変わらねーし」
再会は桂が仕組んだことだ。
攘夷党の同志が伝説の武神である白夜叉を見つけたと報告してきたので、放っておけなかった。
本音を言えば、銀時は攘夷志士にはもどらないだろうと思っていたし、もどらせることにはためらいがあった。
去ったのには、それなりの理由があったのだろうから。
それだけ、つらかったのだろうから。
いや。
それは、綺麗事だ。
もどらないだろうとは思いつつ、もどらせることにためらいがありつつ、それでも、ふたたび銀時とともに戦うことを願った。
自分勝手な願いだ。
そして、その願いをかなえるために、万事屋を攘夷活動に巻きこんだ。
そのときの借りはいちおう宇宙海賊春雨の事件の際に返したことになっているが、それで帳消しになったのは、銀時がこだわらなかったということが大きい。
「それで思った」
銀時は言う。
「ほしいもんほしいって言って、なにが悪い」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio