ゆらのと
収めるだけでも痛かったのが、動いて内側から衝撃を与えてくる。
強烈な痛みが走った。
痛みに耐える。
ひたすら耐えるうちに、痛み以外のものを感じる。
そこまで届くことを望んでいたところを、打たれた。
熱くうずいていた身体の芯、そこを撞かれて、打ち鳴らされたような感覚があった。
こらえきれずに声をあげる。
その声は、自分のものとは思えないほど艶めいていた。
銀時が動きを止める。
「……気持ちいいのか」
そう聞いてきた。
まぶたを開ける。
近くから見おろされている。
返事を待っている。
だから、答える。
「ああ」
すごく、いい。
それが正直な感想だ。
銀時が顔を寄せてくる。
「小太郎」
息のかかる距離まできた。
そして。
「愛してる」
想いを告げた。
その声は優しかった。
ぞくりとくるものがあった。
唇が重ねられて、くちづけを交わす。
もう嫌ではなかった。
想いを告げられるのも、こうしたことをするのも、嫌ではない。
銀時のすることを、自分の身体は、そして心も、自然に受け入れる。
中のものが動いて、それに反応して腰を揺らす。
心臓が強く早く打って、息がせわしなくなる。
それは銀時も同じだ。
荒い呼吸を間近で聞く。
その鼓動でさえ感じる。
愛してる、と告げる銀時の甘い声が肌をくすぐった。
その肩へと腕をやる。
抱きしめたい。
その身体をつよく抱きしめたいと思った。
男同士であるのは、もうどうでもいい。
自分が女の役割なのも、どうでもいい。
相手が銀時なら。
銀時だから、こそ。
「ぎんとき」
乱れた呼吸の合間に、その名を呼ぶ。
やがて、興奮が最高潮に達する。
意識がはるか彼方へと飛んだ。
桂は眼をさました。
体内時計は正確なほうなので、おそらく朝のはずだ。
しかし、冬だから、陽はまだ昇っていないだろう。
そんなことをぼんやり考えているうちに、頭が冴えてくる。
隣で眠っている者の存在を意識する。
そちらのほうを見た。
銀時が熟睡している。
こんなふうに一つの布団で朝までふたりで寝たのは初めてだ。
その理由はもちろん自分のせいだった。
性交はいい、しかし、同じ布団の中で男の気配を感じながら寝るのにはどうしても抵抗があった。
それを銀時は知っているから、あのあと、自分が体内に吐き出されたものを処理しているあいだに、いつものように客用布団を敷こうとした。
それを自分は止めた。
いいからそこで待っていろ、と。
そうしたいと思ったわけではないが、銀時がそれを望んでいることを知っていたから、そうしようと思った。