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ゆらのと

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銀時の隣に身を横たえたとき、肌がかすかにざわめいた。
わずかながらも抵抗を覚えた。
しかし、なにも言わずにまぶたを閉じた。
すぐにざわめきはおさまり、かなり疲れていたせいか、まもなく眠りに落ちた。
そして、今は朝だ。
銀時の寝顔を眺める。
今までずっと、その隣で、自分はその匂いや温もりに包まれて寝ていたのだ。
疲労を感じない。
自分の眠りは健やかなものだったのだろう。
抵抗も、もう感じない。
ふと、銀時の口が動く。
「あー…、もう朝かよ」
だるそうに言った。
その眼が開かれ、こちらのほうに向けられる。
「そうだ」
眼をそらしつつ返事をし、布団から出ようとした。
だが、銀時につかまえられる。
「まだいーじゃねェか」
「バカ者、早起きは三文の得と言うだろうが」
「知らねー」
「まったく、そんなふうに、いつもだらだらしているから商売が繁盛しないんだ」
つい銀時のほうを見て説教をしてしまう。
そして、銀時の口角がほんの少しあがっていることに気づく。
ハッとする。
銀時の思惑どおりの状況なのだろう。
なにも考えてなさそうで、案外、策士なのだ。
その策にはまってたまるかと、その手を振り払おうとする。
しかし、その手は離れない。
「いーじゃねェかよ」
文句を言おうとしたら、そのまえに銀時が言った。
「こーゆーの初めてなんだし」
気恥ずかしくなり、黙りこむ。
すると。
「嫌なのか」
銀時が聞いてきた。
さらっとした口調だったが、その声は少し真剣味を帯びていた。
抵抗があるのかどうかを見定めているように感じる。
大切に想ってくれているからこそだろう。
だから。
「そうじゃない」
否定し、さらに続ける。
「昔とはあまりにも違っているから、戸惑っているだけだ」
昔の自分を思い出す。
銀時とこういう関係になるなんて、思ってもみなかった。
性交は肉欲の処理だと思えば、割り切れなくもない。
でも、ここでこうしているのは、それとは違う。
だからずっと抵抗があった。
「……昔と違うのはあたりめェだろ。変わりたくなくても、変わってほしくなくても、変わっていくもんだからな」
銀時が淡々と言う。
「いろんなもん無くして、いろんなもん得て、変わっていくんだろ」
そう言いながら、なにを思い出しているのだろうか。
想像してしまった。
銀時の変わってほしくなかったもの、無くしてしまったものを。
「……そうだな」
同意する。
そして、肩の力を抜いた。
もうしばらくこのままここにいようと思った。
昔にはまったく想像していなかった状況に、今はある。
そして、この先どこに流れゆくのか、わからない。
だが、どこに流れゆくにしても、銀時と一緒なら。
などと、一瞬、思ってしまった。













作品名:ゆらのと 作家名:hujio