こらぼでほすと 解除6
ヘリを抱えたフリーダムが飛翔すると、その後をディアッカのグフが追従する。鷹のほうは、エターナルやオーヴと連絡をとり、予定時間より遅れることを告げた。
これで、ようやく準備は整った。それをキラに連絡すると、「じゃあ、始めるよー。」 という暢気な掛け声がオープンチャンネルで、スタッフ全員に届く。ヘリに搭乗している対肉弾戦組の耳には、小型の通信機が装着されていて、くくくく・・・と、笑い声が漏れている。悟空たちを空母の艦内で誘導するために装着させられたものだ。特殊な周波を使用しているので、シンとレイによる電波妨害も関係なく、「吉祥富貴」のスタッフには通信が届くようになっている。
「あの暢気さに騙されると怖いんだよな。」
紅が、ニヤニヤと笑っている。本宅の不審なスタッフは全員、気絶させて縛ってきた。可能性としては低いが、ユニオンのものだと吐かせるために生け捕りにした。すると、キラは、「あれ? 生きてるの? あ、でも、血痕とか掃除するのは大変だよねぇ。」 と、おっしゃった。それだけで、不審者たちはびびっていたから、大した地位の人間ではないだろう。
「久しぶりだが、紅。召還術は使うなよ? 三蔵、おまえも、大技はやめてくれ。」
悟浄が、そこいらを注意する。大技を使われたら、身元がバレるからだ。そんな技を使えるのは、特区の人間には居ない。
「そんなもん使うまでもねぇーよ、沙悟浄。ボッコボッコに素手でやってやる。」
「かなりの人数だから、素手は辛いだろ? 紅。適当に武器になりそうなもんは積んであるから、持って行け。」
爾燕が苦笑しつつ、そう嗜める。乗り込んだヘリには、これでもかという武器が、すでに搭載されていた。適当に使えるものを使え、というのが運んで来たアマギの言だ。
「三蔵、弾丸の用意はしてあるんですか? 」
「おう、見合うのがあったから持っている。おまえは背後から来い、八戒。俺と悟空で道は作る。」
「了解です。・・・・キラくんの開始の合図って和みますねぇ。うちは、殺伐とした掛け声だから癒されます。」
「それ、さんぞーの『てめぇーら、準備はいいか? 』ってやつか? 八戒。」
「そう、それですよ、悟空。いかにも今から殺し合いだって感じでしょ? 」
「てか、それすらも掛ける間もねぇーこともあるけどなあ。」
こちらも緊張感なんてものはない。坊主に到っては、禁煙のはずのヘリでタバコを吸っていたりする。キラからは作戦について説明は受けたが、戦術レベルでもない。空母についたら、キラの案内で眼の前の敵を叩き潰して、歌姫様の許へ辿り着き奪還してくる、というこれといって考える必要のない単純なものだ。
「分散して囮を作るか? 玄奘三蔵。」
「別に、いらんだろ? やりたきゃやってもいいが、ヘリに乗り遅れるなよ? 紅孩児。」
「ぬかせっっ、俺が、そんなヘマをするかっっ。」
「お菓子ない? 八戒。」
「そう言うと思って、本宅で見繕ってきました。」
「酒は? 」
「三蔵、あなた、敵の兵士を口説きたいんですか? そういうことなら止めませんが、はい、ビールです。」
さすが、『吉祥富貴』のおかんは、それらの準備もしている。ちゃんとクーラーボックスを用意している辺りが、先の旅の経験が生きているのだろう。
「兄貴、ビールしかないけど? 柿ピーもあるぜ。」
「おう、二缶回してくれ。紅、とりあえず喉でも潤しておけ。」
これを聞いているイザークは、おかしくて背中が揺れている。これから白兵戦に出向くという雰囲気ではない。どっちかといえば、ピクニックだ。
「イザーク、今、操縦してないんだろ? なんか飲む? 」
「ノンアルコールがあれば、くれ。それとクッキーとかないか? 」
「はいはい、オレンジジュースがありますよ。それとクッキーですね。」
クーラーボックスから出てくるものを悟浄がパイロット席まで配達してくれる。片道一時間ちょいの距離だから、こんなものらしい。
本当は僕が助けに行きたかったなーとキラは、ブツブツと文句を吐きつつ、お茶を飲んでいる。こちらはアスランが用意したものだ。準備は終わったから、後はヘリが現地に到着するまで待機だ。
「おまえまで危険にさらすわけにはいかないし、何より、これはキラしかできないだろ? こっちの作業が終わったらSフリーダムで迎えに行ってもいいよ? 」
「ぶーーーーっっ、そんなのあっちは終わってるもん。」
いつもなら我先に出張るキラだが、歌姫様奪還計画では引き篭もり担当に決まっていた。三大大国へ攻撃を仕掛けるには、さすがにアスランだけでは無理だからだ。さらに、今回は悟空たちのサポートがある。
「人革連とAEUの準備も終わった。リジェネからもオッケーが出てる。」
「うん、作戦開始と同時に、全部ブチ巻ける。・・・・ラストは空母。クフフフフフ・・・・とうとう、日の目を見るね? アスアスちゃん。」
「あんまり見たくないんだけどなあ。一号だけか? 」
「ううん、二号と三号の複合技にする。それで、徐々に消滅するように仕掛けておいた。証拠を残したら対処法を研究されちゃうからね。」
歌姫様を救出したら、空母にはシステムクラッシャータイプのウイルス通称「アスアスちゃん二号・三号」を爆散させる。これで、空母の電算システムは完全に破壊されるので、歌姫様の言質を何かしら取られていても、そのデータも消失するし、こちらから攻撃した証拠の映像も残らない。周囲には、シンとレイがディスティニーとレジェンドで飛行し、通信妨害をしているので救援信号も届かないし、電波自体も飛ばないから、データを外へ漏らされる心配もない。
「そろそろ、航空機とMSには上がっていただくか。」
アスランが、ジェットストリームな護衛陣に連絡する。まずは、空母の傍を飛び、そちらの戦闘機とMSはひきつける。もちろん、これにはシンとレイ、ディアッカも参加する。引きつけて叩き落してしまえば、空母は丸裸だ。砲撃のほうは、すでにキラが空母のシステムは乗っ取っているから、仕掛けられないはずだ。手動で動かすことは可能だが、それだと何度も撃つには時間がかかる。
「ほんと、バカだよね? 」
「どうして、わからないんだろうな? 」
再三再四、キラたちは報復は三万倍返しだと行使しているのに、懲りない三大大国は仕掛けてくる。いつも同じパターンだ。キラと歌姫を同時に攻撃してくる。どちらにも護衛がついているし、やったら確実にカウンターアタックを返している。それでも懲りないのだ。
「ハイネが、そろそろ到着する。・・・・ヒルダさんたちも動き出した。」
しばらくして、アスランが、そのデータを告げると、キラは、ムフと笑って、「リジェネ、行くよーん。」 と、声をかけてリターンキーを押した。
これで、ようやく準備は整った。それをキラに連絡すると、「じゃあ、始めるよー。」 という暢気な掛け声がオープンチャンネルで、スタッフ全員に届く。ヘリに搭乗している対肉弾戦組の耳には、小型の通信機が装着されていて、くくくく・・・と、笑い声が漏れている。悟空たちを空母の艦内で誘導するために装着させられたものだ。特殊な周波を使用しているので、シンとレイによる電波妨害も関係なく、「吉祥富貴」のスタッフには通信が届くようになっている。
「あの暢気さに騙されると怖いんだよな。」
紅が、ニヤニヤと笑っている。本宅の不審なスタッフは全員、気絶させて縛ってきた。可能性としては低いが、ユニオンのものだと吐かせるために生け捕りにした。すると、キラは、「あれ? 生きてるの? あ、でも、血痕とか掃除するのは大変だよねぇ。」 と、おっしゃった。それだけで、不審者たちはびびっていたから、大した地位の人間ではないだろう。
「久しぶりだが、紅。召還術は使うなよ? 三蔵、おまえも、大技はやめてくれ。」
悟浄が、そこいらを注意する。大技を使われたら、身元がバレるからだ。そんな技を使えるのは、特区の人間には居ない。
「そんなもん使うまでもねぇーよ、沙悟浄。ボッコボッコに素手でやってやる。」
「かなりの人数だから、素手は辛いだろ? 紅。適当に武器になりそうなもんは積んであるから、持って行け。」
爾燕が苦笑しつつ、そう嗜める。乗り込んだヘリには、これでもかという武器が、すでに搭載されていた。適当に使えるものを使え、というのが運んで来たアマギの言だ。
「三蔵、弾丸の用意はしてあるんですか? 」
「おう、見合うのがあったから持っている。おまえは背後から来い、八戒。俺と悟空で道は作る。」
「了解です。・・・・キラくんの開始の合図って和みますねぇ。うちは、殺伐とした掛け声だから癒されます。」
「それ、さんぞーの『てめぇーら、準備はいいか? 』ってやつか? 八戒。」
「そう、それですよ、悟空。いかにも今から殺し合いだって感じでしょ? 」
「てか、それすらも掛ける間もねぇーこともあるけどなあ。」
こちらも緊張感なんてものはない。坊主に到っては、禁煙のはずのヘリでタバコを吸っていたりする。キラからは作戦について説明は受けたが、戦術レベルでもない。空母についたら、キラの案内で眼の前の敵を叩き潰して、歌姫様の許へ辿り着き奪還してくる、というこれといって考える必要のない単純なものだ。
「分散して囮を作るか? 玄奘三蔵。」
「別に、いらんだろ? やりたきゃやってもいいが、ヘリに乗り遅れるなよ? 紅孩児。」
「ぬかせっっ、俺が、そんなヘマをするかっっ。」
「お菓子ない? 八戒。」
「そう言うと思って、本宅で見繕ってきました。」
「酒は? 」
「三蔵、あなた、敵の兵士を口説きたいんですか? そういうことなら止めませんが、はい、ビールです。」
さすが、『吉祥富貴』のおかんは、それらの準備もしている。ちゃんとクーラーボックスを用意している辺りが、先の旅の経験が生きているのだろう。
「兄貴、ビールしかないけど? 柿ピーもあるぜ。」
「おう、二缶回してくれ。紅、とりあえず喉でも潤しておけ。」
これを聞いているイザークは、おかしくて背中が揺れている。これから白兵戦に出向くという雰囲気ではない。どっちかといえば、ピクニックだ。
「イザーク、今、操縦してないんだろ? なんか飲む? 」
「ノンアルコールがあれば、くれ。それとクッキーとかないか? 」
「はいはい、オレンジジュースがありますよ。それとクッキーですね。」
クーラーボックスから出てくるものを悟浄がパイロット席まで配達してくれる。片道一時間ちょいの距離だから、こんなものらしい。
本当は僕が助けに行きたかったなーとキラは、ブツブツと文句を吐きつつ、お茶を飲んでいる。こちらはアスランが用意したものだ。準備は終わったから、後はヘリが現地に到着するまで待機だ。
「おまえまで危険にさらすわけにはいかないし、何より、これはキラしかできないだろ? こっちの作業が終わったらSフリーダムで迎えに行ってもいいよ? 」
「ぶーーーーっっ、そんなのあっちは終わってるもん。」
いつもなら我先に出張るキラだが、歌姫様奪還計画では引き篭もり担当に決まっていた。三大大国へ攻撃を仕掛けるには、さすがにアスランだけでは無理だからだ。さらに、今回は悟空たちのサポートがある。
「人革連とAEUの準備も終わった。リジェネからもオッケーが出てる。」
「うん、作戦開始と同時に、全部ブチ巻ける。・・・・ラストは空母。クフフフフフ・・・・とうとう、日の目を見るね? アスアスちゃん。」
「あんまり見たくないんだけどなあ。一号だけか? 」
「ううん、二号と三号の複合技にする。それで、徐々に消滅するように仕掛けておいた。証拠を残したら対処法を研究されちゃうからね。」
歌姫様を救出したら、空母にはシステムクラッシャータイプのウイルス通称「アスアスちゃん二号・三号」を爆散させる。これで、空母の電算システムは完全に破壊されるので、歌姫様の言質を何かしら取られていても、そのデータも消失するし、こちらから攻撃した証拠の映像も残らない。周囲には、シンとレイがディスティニーとレジェンドで飛行し、通信妨害をしているので救援信号も届かないし、電波自体も飛ばないから、データを外へ漏らされる心配もない。
「そろそろ、航空機とMSには上がっていただくか。」
アスランが、ジェットストリームな護衛陣に連絡する。まずは、空母の傍を飛び、そちらの戦闘機とMSはひきつける。もちろん、これにはシンとレイ、ディアッカも参加する。引きつけて叩き落してしまえば、空母は丸裸だ。砲撃のほうは、すでにキラが空母のシステムは乗っ取っているから、仕掛けられないはずだ。手動で動かすことは可能だが、それだと何度も撃つには時間がかかる。
「ほんと、バカだよね? 」
「どうして、わからないんだろうな? 」
再三再四、キラたちは報復は三万倍返しだと行使しているのに、懲りない三大大国は仕掛けてくる。いつも同じパターンだ。キラと歌姫を同時に攻撃してくる。どちらにも護衛がついているし、やったら確実にカウンターアタックを返している。それでも懲りないのだ。
「ハイネが、そろそろ到着する。・・・・ヒルダさんたちも動き出した。」
しばらくして、アスランが、そのデータを告げると、キラは、ムフと笑って、「リジェネ、行くよーん。」 と、声をかけてリターンキーを押した。
作品名:こらぼでほすと 解除6 作家名:篠義