こらぼでほすと 解除8
ニールの処置が終わると同時に、歌姫様のプライベートジェット機は離陸した。周囲に、四機のMSが警護し、物々しい移動だが、どこからの妨害もなかった。対肉弾戦組のほうは、仕事が終わったので別荘のほうで休んでいる。ここからは、手助けできることはない。いつもなら、すぐに特区へ帰るところなのだが、足がないから一泊の予定だ。
「今、どっかの親衛隊が特区のユニオン関連の施設で暴れているみたいだから、朝から帰ったほうが無難だろうな。」
鷹が、対肉弾戦組と食事しつつ、そう説明する。キラとアスランが、ディアッカのグフでラボに移動した後もトダカは本宅に残っていたのだが、そちらの片付けが終わると、歌姫様のプライベートエリアを完全に閉鎖して、帰ったらしい。鷹のほうには、「ちょっと運動させてもらうから。」 という断りの連絡だけが入ったのだ。
「運動って、どんな運動なんだかさ。あはははは・・・トダカさんもキレると怖いなあ。」
「そりゃ、キレもするでしょう、悟浄。大切な娘さんを拉致されちゃいましたからね。」
「ああ、おまえさんたちに礼を言ってくれ、ってさ。戻ったら、ちゃんと顔を出すつもりらしいぜ。」
売られた喧嘩を買ったのは、トダカではなく三蔵だ。そのことについて、トダカは礼を言うつもりなのだろう。それでも、憤りは隠せなかったから軽い運動をしているらしい。そう思うと、舅も、まだまだ血気盛んなんだな、と、坊主も頬を歪める。
「鷹さん、こんなとこで、ごはん食べててもいいのか? キラたちは、まだ働いてんだろ? 」
「だから、俺が休憩してんの。シャトルが無事に打ち上げられたら、キラたちも監視を止める。そこからは、俺が担当だ。うちの坊主どもが戻って来るから、そっちの整備の手配とか最後のお仕事が、じじいーずの担当になるんだよ。だから、食ったら仮眠もするぞ。」
別荘への襲撃もないことが判明しているから、別荘のスタッフは戻っている。今、整備の連中と鷹は休憩時間だ。仮眠して、シンたちが戻って来る頃から動き出す予定だ。
「店のほうは、どうします? 鷹さん。」
「予約がないなら休みにしておいてくれ。たぶん、アスランのことだから予約は入れてないはずだ。」
用心深いアスランは、店のほうは予約を入れていないはずだ。何かしらあった場合、店なんてやってられないから、大事をとって休めるように手配しているだろう。
「んじゃ、俺らも休みにしてもらうぜ? 」
「ああ、そうしてくれ。今回は助かったよ。俺たちだったら、こうもあっさりとはいかなかっただろう。」
「まあなあ、うちは、これが以前は日常茶飯事だったからな。」
「しかし、相変わらず、三蔵一行は隙がないな。」
「おまえも技が寂れてなくてよかったぜ? 紅孩児。久しぶりで俺も楽しかった。」
悟空と紅は、盛大に暴れてすっきりしたらしい。以前は敵同士だったが、共闘したこともあるからコンビネーションも使えて、どちらも満足した。がつがつと食事を平らげて、ぶへーっと悟空も息を吐く。
ラボに戻ってから、悟空は、もう一度、歌姫様に丸薬を六粒渡した。たぶん、使うことはないだろう。そのまま預かっててくれ、と、渡したので、意図するものは歌姫にも伝わったはずだ。キラとラクスの二人に、何かあったら一度だけ使えるように渡した。せっかく仲間になったのだから、どちらも長く付き合いたいと思った。そのために一回ぐらいオリエンタルマジックを使ってもらってもかまわない。
予定時間通りに、歌姫様のプライベートジェットはオーヴの基地へ到着した。警護していたシンとレイのMSは、とんぼ返りしていく。イザークとディアッカはMSを軍の格納庫に収めて、歌姫様たちと合流して、このまま警護に就く。帰りも、MSで警護するから、預けておくことになっていた。
予定よりも数時間過ぎているが、こちらのシャトルも貸切だから、時間のほうは問題ない。すでに発進準備ができているから、そそくさと乗り込む。
一緒に搭乗するのは、ハイネとジェットストリームな護衛陣イザークとディアッカとドクターだ。このままエターナルと合流して、ハイネがエターナルに用意している民間船でドクターとニールの入った医療ポッドを運ぶことになっている。
というわけで、ハイネは搭乗すると、即座に毛布を被って睡眠態勢だ。ここまで、ほぼノンストップで働いていたから、ここで寝ておかないと休む暇がない。
「ヒルダさん、虎さんに連絡してメシだけ用意してくれるように頼んでくれよ。俺、食いっぱぐれてるんだ。」
「わかってるよ。さっさと寝ちまいな、ハイネ。」
サンキューと言うだけ言うと毛布を引っかぶって、すでに眠り態勢だ。そりゃ疲れもするだろう、と、護衛陣も、そこはスルーの方向だ。なんせ、この後、ハイネは組織に出張って、そっちでも働くことは確定しているからだ。ドクターの助手もしなければならないし、エターナルとの合流のために時間も計算しなければならない。
「ラクス様も、少しお休みください。」
「いえ、少し考え事をしていますから、放置していてください。」
歌姫様のほうも、ゆったりとシートに身を預けているが、何か考えることがあるらしく、中空を睨んでいる。そういうことなら、と、ヒルダも傍にべったり座らずに、何席か開けてシートに座る。なんとか、ここまで来たので、ここからは、余程のことがない限りは安全なはずだ。オーヴからの出立だから、ここにミサイルを撃ち込んでくる愚か者はないだろう。危ないのは成層圏を離脱して、エターナルと合流する僅かの時間だ。そこも、おそらく虎が、警備を展開しているはずだ。もちろん、オーヴ軍の宇宙部隊からも警備が出ている。これで、どこからか攻撃されたら、国際問題になる。
「やれやれ、騒がしいことだったね、イザーク。」
「まったくだ。しかし、これで三大大国のほうも、しばらくは大人しいだろう。」
これだけの騒ぎを起こしたのだ。三大大国といえど、無事ではないし、首脳陣は失脚するはずだ。それは、それで新しい連邦樹立への弊害が減るから、イザークとしても万々歳といったところだ。
「しかし、学ばないなぁ、おエライさんたちっていうのはさ。」
ディアッカも会話に参加する。何度か襲撃は受けている。その度に、キラがこっそり三万倍返しをしているのに、懲りるということはなく、ほとぼりが冷めたら、またぞろ襲撃されるのだ。ここんところの四年程は、以前の連邦を創生していくほうが忙しくて、襲撃もなかったが、その前は、何度もあったことだ。
「それだけ、ラクス様の影響力は強いということだ。」
「そういうことだな。」
「プラントの最高議会の職に就かれたら、連邦も困ることがあるんだろう。」
「今、どっかの親衛隊が特区のユニオン関連の施設で暴れているみたいだから、朝から帰ったほうが無難だろうな。」
鷹が、対肉弾戦組と食事しつつ、そう説明する。キラとアスランが、ディアッカのグフでラボに移動した後もトダカは本宅に残っていたのだが、そちらの片付けが終わると、歌姫様のプライベートエリアを完全に閉鎖して、帰ったらしい。鷹のほうには、「ちょっと運動させてもらうから。」 という断りの連絡だけが入ったのだ。
「運動って、どんな運動なんだかさ。あはははは・・・トダカさんもキレると怖いなあ。」
「そりゃ、キレもするでしょう、悟浄。大切な娘さんを拉致されちゃいましたからね。」
「ああ、おまえさんたちに礼を言ってくれ、ってさ。戻ったら、ちゃんと顔を出すつもりらしいぜ。」
売られた喧嘩を買ったのは、トダカではなく三蔵だ。そのことについて、トダカは礼を言うつもりなのだろう。それでも、憤りは隠せなかったから軽い運動をしているらしい。そう思うと、舅も、まだまだ血気盛んなんだな、と、坊主も頬を歪める。
「鷹さん、こんなとこで、ごはん食べててもいいのか? キラたちは、まだ働いてんだろ? 」
「だから、俺が休憩してんの。シャトルが無事に打ち上げられたら、キラたちも監視を止める。そこからは、俺が担当だ。うちの坊主どもが戻って来るから、そっちの整備の手配とか最後のお仕事が、じじいーずの担当になるんだよ。だから、食ったら仮眠もするぞ。」
別荘への襲撃もないことが判明しているから、別荘のスタッフは戻っている。今、整備の連中と鷹は休憩時間だ。仮眠して、シンたちが戻って来る頃から動き出す予定だ。
「店のほうは、どうします? 鷹さん。」
「予約がないなら休みにしておいてくれ。たぶん、アスランのことだから予約は入れてないはずだ。」
用心深いアスランは、店のほうは予約を入れていないはずだ。何かしらあった場合、店なんてやってられないから、大事をとって休めるように手配しているだろう。
「んじゃ、俺らも休みにしてもらうぜ? 」
「ああ、そうしてくれ。今回は助かったよ。俺たちだったら、こうもあっさりとはいかなかっただろう。」
「まあなあ、うちは、これが以前は日常茶飯事だったからな。」
「しかし、相変わらず、三蔵一行は隙がないな。」
「おまえも技が寂れてなくてよかったぜ? 紅孩児。久しぶりで俺も楽しかった。」
悟空と紅は、盛大に暴れてすっきりしたらしい。以前は敵同士だったが、共闘したこともあるからコンビネーションも使えて、どちらも満足した。がつがつと食事を平らげて、ぶへーっと悟空も息を吐く。
ラボに戻ってから、悟空は、もう一度、歌姫様に丸薬を六粒渡した。たぶん、使うことはないだろう。そのまま預かっててくれ、と、渡したので、意図するものは歌姫にも伝わったはずだ。キラとラクスの二人に、何かあったら一度だけ使えるように渡した。せっかく仲間になったのだから、どちらも長く付き合いたいと思った。そのために一回ぐらいオリエンタルマジックを使ってもらってもかまわない。
予定時間通りに、歌姫様のプライベートジェットはオーヴの基地へ到着した。警護していたシンとレイのMSは、とんぼ返りしていく。イザークとディアッカはMSを軍の格納庫に収めて、歌姫様たちと合流して、このまま警護に就く。帰りも、MSで警護するから、預けておくことになっていた。
予定よりも数時間過ぎているが、こちらのシャトルも貸切だから、時間のほうは問題ない。すでに発進準備ができているから、そそくさと乗り込む。
一緒に搭乗するのは、ハイネとジェットストリームな護衛陣イザークとディアッカとドクターだ。このままエターナルと合流して、ハイネがエターナルに用意している民間船でドクターとニールの入った医療ポッドを運ぶことになっている。
というわけで、ハイネは搭乗すると、即座に毛布を被って睡眠態勢だ。ここまで、ほぼノンストップで働いていたから、ここで寝ておかないと休む暇がない。
「ヒルダさん、虎さんに連絡してメシだけ用意してくれるように頼んでくれよ。俺、食いっぱぐれてるんだ。」
「わかってるよ。さっさと寝ちまいな、ハイネ。」
サンキューと言うだけ言うと毛布を引っかぶって、すでに眠り態勢だ。そりゃ疲れもするだろう、と、護衛陣も、そこはスルーの方向だ。なんせ、この後、ハイネは組織に出張って、そっちでも働くことは確定しているからだ。ドクターの助手もしなければならないし、エターナルとの合流のために時間も計算しなければならない。
「ラクス様も、少しお休みください。」
「いえ、少し考え事をしていますから、放置していてください。」
歌姫様のほうも、ゆったりとシートに身を預けているが、何か考えることがあるらしく、中空を睨んでいる。そういうことなら、と、ヒルダも傍にべったり座らずに、何席か開けてシートに座る。なんとか、ここまで来たので、ここからは、余程のことがない限りは安全なはずだ。オーヴからの出立だから、ここにミサイルを撃ち込んでくる愚か者はないだろう。危ないのは成層圏を離脱して、エターナルと合流する僅かの時間だ。そこも、おそらく虎が、警備を展開しているはずだ。もちろん、オーヴ軍の宇宙部隊からも警備が出ている。これで、どこからか攻撃されたら、国際問題になる。
「やれやれ、騒がしいことだったね、イザーク。」
「まったくだ。しかし、これで三大大国のほうも、しばらくは大人しいだろう。」
これだけの騒ぎを起こしたのだ。三大大国といえど、無事ではないし、首脳陣は失脚するはずだ。それは、それで新しい連邦樹立への弊害が減るから、イザークとしても万々歳といったところだ。
「しかし、学ばないなぁ、おエライさんたちっていうのはさ。」
ディアッカも会話に参加する。何度か襲撃は受けている。その度に、キラがこっそり三万倍返しをしているのに、懲りるということはなく、ほとぼりが冷めたら、またぞろ襲撃されるのだ。ここんところの四年程は、以前の連邦を創生していくほうが忙しくて、襲撃もなかったが、その前は、何度もあったことだ。
「それだけ、ラクス様の影響力は強いということだ。」
「そういうことだな。」
「プラントの最高議会の職に就かれたら、連邦も困ることがあるんだろう。」
作品名:こらぼでほすと 解除8 作家名:篠義