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こらぼでほすと 解除8

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 そう言われてしまうと、ラクスも無理に医療ルームにいられない。おかんからは、コンサートの準備は完璧なのか? と、小言をもらっていたからだ。もし、声が出ないとか続かないなんて事態が発生したら、確実に叱られるだろう。仕事を疎かにするとは、何事だ? と、おかんはラクスを叱るのだ。強行スケジュールだったから仕方がない、なんて甘えたことは言ってくれない。そういう意味では、厳しい。
「・・・わかりました。万全の体調を維持するために休みます。」
「ソウソウ、それでこそ、ラクスよ? オヤスミナサイ。」
 チュッと頬にキスをくれてアイシャは、ラクスの背中から手を離した。ちゃんと戻ってきてくれるだろうか、と、それが気になるのだが、そればかり気にしていられないのが、歌姫様だ。
「ラクス様、ニールは大丈夫です。あちらは、ニールの古巣ですし、マイスターが揃っております。」
「そうでしたね。」
 刹那の許へ、直接、送り届けたいところだが、それはできない。ハイネが同行するから、問題はないのだが、気分的には残念だ。だが、そうも言ってられない。プラントでのコンサートは一年に二度がいいところだ。あちらのファンは待ち侘びてくれている。そう考えると、仕事に意識が切り替わる。やることやらないと、ママには逢えないのだ、と思うと自ずと気合が入る。
「ヒルダさん、部屋で少し発声練習をして休みます。」
「わかりました。」
「ママのことは、しばらく忘れますので、発進の報告はいりません。」
「承りました。」
 こういうところが、さすが、あたしの主人だよ、と、ヒルダも内心で感心する。グダグダと引き摺らないで、切り替えられるところが、ラクスは凄いと思うのだ。
 



 予定の場所で、民間船はエターナルから静かに吐き出されるように出発した。すでに、ニールの解凍は終わっていて、医療ポッドで眠っている状態だ。接触する地点まで、そのままハイネが操縦するのだが、途中から勝手に船に連絡が入ってくる。本当に、リジェネがニールをチェックしているらしい。機械音ではあるか、リジェネから暢気な質問が飛んでくる。
「ママは、元気? 」
「ああ、元気に寝てるよ。」
「話はできないの? 」
「医療ポッドに入ったままだから無理。」
「そっちに乗り込んでもいい? 」
「後にしろ。」
 兎に角、かしましいのでハイネも、しばらくして通信を切った。航路には自動で乗せているが、周囲の警戒は自前でやらなければならないから、構っているのも面倒になったからだ。だが、相手も然る者で、勝手に通信を繋げて来た。
「ハイネ、周囲は問題ないよ? 僕がチェックしてるからね。とりあえず、そのまま刹那のところまでは誰も居ないし、飛んで来る予定もないよ? 」
「・・・おまえ、どこまでチェックしてんだ? この辺には、レーダーも、なんも設置してないだろ? 」
 わざわざ、各国のレーダーが設置されていない場所で、レーダーレンジにも抵触しない場所を選んだのだ。それなのに、リジェネが周囲に敵はいない、と、断言してもハイネも信じられない。
「もちろん、ママの航路に、ヴェーダから警戒装置を設置したからだよ。何かあったら困るでしょ? 」
「・・・なるほど・・・」
「だから、安心して操縦してよ、ハイネ。」
 どうやら本気で、ここいらの警備を配置してくれたらしい。そういうことなら、ハイネも気楽に操縦に専念できる。

・・・・ていうか、あいつら、一回しか使わない航路に、どんだけ警戒装置を撒いてんだ? ・・・・

 この航路は、使うことがないものだ。だから、今回限りなので、警戒装置も使い捨てになる。それがわかっていたから、組織も『吉祥富貴』も装置は設置せず、船のレーダーによる警戒だけにした。コストの問題があるからだが、ヴェーダは、そういうものはスルーの方向らしい。




 組織のほうもスタンバイ状態に突入した。三時間後には、指定宙域に民間船が到着する。それまでに、こちらもMSを展開させて周囲を警戒する。表向きには、トランザムバーストの数値を計測するということで、組織のほうには説明してある。まあ、ニールの治療だということは、トレミーの関係者は承知のことだが、組織の他部門には、そういう言い訳だけはしておかなければならない。本来、一人の人間を治療するために、トランザムバーストを行なうなんていうのは、組織の理念からすればナンセンスな話だからだ。
「ティエリア、計測器の設置は、きっちりとね? 一応、本気で計測もさせるから。」
 陣頭指揮を執るのはスメラギだ。別のドックに出かけていたが、時間までには戻って来た。実験責任者だから、その場にいなければならない。ついでに言うと、元ロックオンであるニールの顔も、久しぶりに拝みたいというのもあった。
「計測器は予定の地点に設置完了している。電波は拾えているか? フェルト。」
「はい、オールグリーンです。」
「俺とアレルヤで周辺を確認する。刹那はギリギリまで待機してくれ。ロックオンは、ランデブー地点でビーコンを出せ。」
 マイスター組は、周囲の確認をしつつ、準備を進めている。到着したら、そのままトランザムバーストを浴びせる予定だから、安全の確保が第一だ。こんなところを世界のどこかに知られたら、大問題になる。リジェネがヴェーダで、そちらのほうはチェックしてくれているから、それほど心配はしていないが、念には念を入れておく。
「ティエリア、あと一時間かからないとこまで来たよ。」
「こちらの準備は万全だ。そのまま、ハイネに伝えろ。」
「了解。」
 ティエリアとリジェネの通信は組織を通さないので、ハイネが、この宙域に飛び込んでくるのは、組織には伝わらない。名目上は、プラントからの物資輸送ということで登録もしてあるし、実際に少し機材も搭載させてある。トランザムバーストの数値計測を表の目的としているので、そちらはスメラギが仕切っているように見せかけている。
「スメラギ、あと一時間で準備が整う。」
「わかりました。・・・こちらで発進の手配はさせるから。後は任せるわ。」
 刹那のほうは、まだドックの中だ。スメラギが時間に合わせて発進許可を出す。一度で無理なら、何度か計測目的ということで、トランザムバーストをさせる予定だ。


・・・・用意は出来ました、ニール。・・・・・

 ティエリアもセラビィーのコクピットで近付いてくる光点を睨んでいた。ようやく、本当にようやく治療できるのだ。こればかりは失敗は許されない。確実に、ニールにGN粒子を浴びせて完治させるつもりだ。
作品名:こらぼでほすと 解除8 作家名:篠義